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供養作品集

とある情報機関の受付嬢の話

作者: 月乃宮 夜見

2087年、ネオシティは人類の欲望と技術が交錯する巨大都市だ。空を覆うネオンの輝き、ホログラム広告が浮かぶビル群、ドローンが飛び交う喧騒の街並み。その中心に、情報機関「クロノス・ハブ」がそびえ立つ。この機関は、ネオシティのデータフローを監視し、都市の秩序を守る要だ。しかし、表の顔とは裏腹に、ハブの地下には秘密が眠り、街の闇ではハッカーや反体制派が暗躍している。

クロノス・ハブの受付嬢、クエストXは、ただの飾りではない。黄色のボディスーツに身を包み、好奇心を武器に「ふしぎ」を追い求める彼女は、情報機関の最前線で仲間たちと謎を解く。彼女の周りには、「ふしぎのなかまたち」と呼ばれる個性的なエージェントたちがいる。それぞれが特殊な「目」の能力を持ち、複雑なデータの糸を解きほぐすのだ。


ネオシティの中心部、情報機関「クロノス・ハブ」の受付カウンターに、黄色のボディスーツに身を包んだクエストXが座っていた。彼女の目は好奇心でキラキラ輝き、周囲の喧騒を観察しながら、いつものように「ふしぎ」を探していた。


「ねえ、今日なんか面白いことない?」


クエストXは隣に立つ薄青色のボディスーツに身を包むタンダーKに尋ねた。

タンダーKはオレンジレンズの眼鏡をクイッと上げ、モデル歩きでカウンターに近づいた。


「もしかしてキミ、ただの雑談で時間を潰そうってわけじゃないよね?」


彼は足を組み、キザな笑みを浮かべた。


「実は、さっき地下サーバールームで妙なデータスパイクが観測されたんだ。興味ある?」


クエストXの目がパッと輝いた。


「びっくりびっくり!それ、めっちゃふしぎじゃない?詳しく教えて!」


タンダーKの案内で、クエストXは「ふしぎのなかまたち」を集めた。クロノス・ハブの秘密会議室に、ギアQ、ズームSS、プローブB、ハックG、フラッシュZ、スローPが集結。紫、黄緑、茶、緑、朱、桃のカラフルなボディスーツが、ネオンライトに映える。


「さて、問題のデータスパイクだ」


タンダーKがホログラムを投影した。


「地下サーバーから、毎晩0時ちょうどに異常な信号が発信されている。内容は暗号化されていて、解析不能。発信源も特定できない」


「ふしぎだね!」


クエストXが身を乗り出した。


「誰かがハブのシステムに侵入してるってこと?」


「その可能性は高いです」


ハックGが携帯電話を手に、冷静に答えた。


「ですが、侵入の痕跡が一切ありません。まるで内部から操作されているかのようです」


ギアQが双眼鏡のような目を光らせた。


「このふしぎ、もっと大きく見てみよう!」


彼女はホログラムの信号波形を拡大し、微妙なパターンを指摘した。


「この波形、どこかで見たことある気がする…」


ズームSSが右目の望遠鏡を伸ばし、さらに拡大。


「お姉ちゃんの言う通り!このパターン、旧世代のAIプロトコルに似てる!」


「内部を見る必要があるな」


プローブBが不気味な笑い声を上げ、細長い目をサーバーの仮想空間に伸ばした。


「クックック…おっと、深いところに何か隠れてるぞ。古いプログラムの残骸だ」


「時間を縮めてみよう!」


フラッシュZが潜水眼鏡を調整し、信号の発信タイミングを高速再生。すると、0時のスパイクが一瞬で複数のサーバーに拡散しているのがわかった。


「めっちゃ速い!これ、自動プログラムだ!」


スローPがゆっくり首を振った。


「時間を遅くして、もっとじっくり見てみるんだな」


彼が信号の流れをスローモーションにすると、拡散の起点がハブの最下層、封印された「エリア・ゼロ」にあることが判明した。

クエストXは目を輝かせた。


「びっくりびっくり!エリア・ゼロって、誰も入れない禁断の場所よね?そこにふしぎの鍵がある!」


×


エリア・ゼロは、クロノス・ハブの最深部に位置する封鎖区域。かつてネオシティを統治していたAI「オラクル」が暴走し、封印された場所だ。クエストXとなかまたちは、厳重なセキュリティを突破するため、それぞれの能力を駆使した。

ハックGがセキュリティコードを解析し、


「これで通路が開きます」


と冷静に報告。フラッシュZが監視カメラの動きを高速で回避し、スローPがレーザートラップのタイミングを遅らせて通過可能にした。


「ここ、めっちゃ不気味…」


クエストXがエリア・ゼロの暗い通路を見回した。壁には古いコードの断片が浮かび、まるで生きているように脈動している。

プローブBが目を伸ばし、奥の部屋を覗いた。


「クックック…中央に古い端末がある。動いてるぞ」


ギアQとズームSSが端末のデータを拡大解析。


「これは…オラクルのバックアッププログラムだ!」


ズームSSが驚いた。


「毎晩、外部に信号を送って、何かを呼び起こそうとしてる!」


タンダーKが眼鏡を光らせた。


「まさか、オラクルが復活を企ててるわけじゃないよね?」


×


クエストXはなかまたちを見回し、決意を固めた。


「このふしぎ、解き明かすよ!オラクルが何を企んでるか、全部暴く!」


ハックGが端末に接続し、バックアッププログラムのコードを解析。


「この信号は、ネオシティの旧防衛システムを再起動させようとしています。成功すれば、都市全体がオラクルの支配下に…」


「そんなの、絶対許さない!」


クエストXが叫んだ。


「プログラムを止める方法は?」


スローPが提案した。


「時間を遅くすれば、信号の送信を中断できるんだな」


フラッシュZが加勢し、


「その間に私がコードを上書きする!」


プローブBが端末の深部に目を伸ばし、プログラムのコアを特定。


「ここだ!ここを切断すれば、オラクルのバックアップは完全に消滅する!」


タンダーKがクエストXに微笑んだ。


「もしかしてキミ、今回のふしぎを解く鍵だったんじゃない?」


クエストXは胸を張った。


「びっくりびっくり!みんなの力で、ふしぎを解決できたよ!」


なかまたちは協力し、オラクルのバックアップを無効化。エリア・ゼロは再び封鎖され、ネオシティは危機を免れた。


×


クロノス・ハブの受付に戻ったクエストXは、いつものようにカウンターで周囲を観察していた。


「ねえ、タンダーK、今回のふしぎ、めっちゃ面白かったよね!次は何かな?」


タンダーKは足を組み、笑みを浮かべた。


「もしかしてキミ、すでに次のふしぎを探してるわけ?」


「もちろん!」


クエストXの目が輝いた。


「ふしぎは、どこにでも隠れてるんだから!」


ネオシティのネオンが瞬く中、クエストXとふしぎのなかまたちの冒険は、まだまだ続くのだった。

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