表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元・社畜系女子が人生フルベットで運命ガチャを回したら~傾国の美女の人生は一度でいい~  作者: いづかあい


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/14

第3話 SSR・時間逆戻し券ゲット!…そして、リベンジ人生、スタート。


彼女の名前は、リッハシャル・ルドヴィガ。

異国の母譲りの長く黒い髪は、まるで絹のよう。こちらを見据えるウルトラブルーの瞳は高貴なる生まれの父親と同じで、その容姿は誰もがため息をつくほど美しかった。


―――しかし、出生はとても複雑だった。


豊かな緑と、大きな湖に囲まれたアズレア王国の中でも最も由緒ある名門・ルドヴィガ家。

現伯爵である、父親・レイドック=ヴァン=ルドヴィガは、ある日キャラバンと共にやって来た流浪の踊り子・リア―ネと出逢い、互いに一目で恋に落ちる。が、しかし…彼には既に妻がいた。

それにより、二人の間には身分の差と不義理という大きな壁が立ちはだかる。

しかし、レイドックの強い想いと、友人たちの支えにより、リア―ネは『妾』の一人として、ルドヴィガ伯爵家にやって来た。

そして、生まれたのがリッハシャル…異国の言葉で『導きの歌』という意味を持つ彼女は、いわゆる『婚外子』となってしまったのだ。

それだけでは収まらず、運命は彼女を破滅へと導いていく。それが、伯爵夫人『ロザベーリ』と欲深い傍系達との確執だった。

夫人と父の間に子供はおらず、このままではどこぞの異国の血を引く妾の子供が長子となる。それを心よしとしない周囲の大人たちは、婦人をけしかけた。


「お前さえいなければ!!!」


リア―ネは、日々ロザベーリのいびりを耐え忍んだが、リッハシャルが生れる頃には精神的にも肉体的にも追い詰められ、数年後息を引き取る。

伯爵はリッハシャルをそのまま養子として迎え入れたもの、母親によく似たその容姿は全てが伯爵夫人の目には不快に映り、その毒牙は幼いリッハシャルに向かうこととなる。


「あんたの容姿は、あの妾の顔を思い出してイライラする」


そんな理由で、幼いリッハシャルは鞭で打たれ、食事も制限されていた。

父は仕事で忙しく、養母となる夫人との相性最悪な日々…しかし、更なる悲劇が彼女を襲う。

夫人が男児を出産したのだ。

ようやく生まれた年下の弟は、溺愛され、後継教育を施されることになる。しかし…ほどなくして父も母の後を追うように他界。家の権威は夫人とその子供にわたってしまう。


味方を完全に失ったリッハシャルの人生は、それから更に不幸のどん底へと落ちていく。

その整った容姿がいらぬ災いを呼ぶことを知って、彼女は自ら顔に蝋燭を押し付けひどいやけど痕を遺したのだ。

異常な行動に恐怖した伯爵夫人は、そのまま離れの邸に閉じ込め、いないものと扱った。

だが、それでも満足しない夫人は、リッハシャルをさらに苦しめる方法を思いつく。

世間の目にさらされていないことをいいことに、彼女の悪口雑言をあちらこちらに言いふらし、遂には「黒魔術に傾倒している。毎夜男を買っては、呪術の実験をしている」などという偽情報を流したのだ。

元々婚外子の立場は弱く、格好の噂の的。

徐々にリッハシャルの噂は独り歩きし…結果、この処刑の日を迎えることになったのだ。


「ん…あれ?」


目を覚まして、顔に手を触れる。

左側は……やけどの跡が痛々しい、つまりそういうことだろう。

美女の人生ってば、大変なのね。


「…あなたも、ろくでもない人生だったんだね、リッハシャル…」


それから比べると、自分など、まだましな方かもしれない。

重たい身体を励ましながら起き上がると…複数付いていた傷は手当されていた。


(罪人に手当までするの?どんだけ死んでほしくないわけ??)


最後に聞いた、たいこう様だかは、何者なのか?

あまりに整った顔過ぎて、まるで印象に残っていないが、まどろっこしいことするくらいなら、助けてくれればいいのに。

さて…ここはどうやら独房のようで、冷たい石畳みの上には、簡素な藁が敷き詰められた布団が一枚だけ。手足は自由に動くので、枷はしていないようだった。


「どちらにせよ…私はわざわざ死ぬ為にここに来たのかな」


確か、直前人生ガチャとか言っていたけど……あれはただの夢だったのかもしれない。もういいや、再び諦めて横になろうとしたら


「いて」…こつん


何処からか、何かボールのような物が転がって来た。


「ボール…どこから」


手に取ってみると…それは金色の卵のような形で、材質は…触り慣れたプラスチックのようだ。

よくある500円ガチャに似てるような。この世界、ガチャもあるの??

手に持ってみると、からからと音がする。


「まさか、開いたり」


ぱかん、と乾いた音共に卵が割れた…割れた、というよりこれは。

中から、ふよふよと蛍のような弱々しい無数の光が浮かび上がる。それを手に取った瞬間、頭の中で声がした。


『運命ガチャを回しますか?』

「…はい?」

『もう一度聞きます。運命ガチャを回しますか?制限時間は10秒です。10,9,8』


ぽかんと口を開けたままの私は、ふと我に返る。


(え?!今運命ガチャって言った…!)


『3.2』

「あーーーやりますやります!!ガチャ!回します!!!」


ぴたり。カウントが止まった。そして…ふよふよ浮いていた光の粒は、SSRと書かれた銀色の卵型になり、私の両手にすっぽりと収まった。ぎゅっと捻ると、どうやら開きそうだ。


「ガチャって…これ?」


さて、ガチャ、というのは…いわゆる一種の宝くじのような物、と認識している。

と、言うのも、私はこういったガチャはあまりやらない。だって思っていたものと違うものが手に入ったら、もったいないような、損したような気分になる。

さて、運命の場合は…どうなるんだろう。


「開けるよ…!えい」


ぱきん。

間抜けな音が響き、金色の卵が割れる。

そして中から飛び出してきたのは…紙切れ五枚。


「紙切れ…五枚…って」


これは外れ?

いや、違う。よく見ると、時間戻し引換券とかいてある。

時間戻し‥‥って、え?

斜め上すぎる景品に、ひとまず紙切れを隅々まで調べてみる。紙質は…厚紙系、書かれた文字は、多分日本語。しかも筆字‥‥そして、大きく「時間戻し引換券」とでかでかと書いてあったのだ。


「……ひい、ふう…うん、五枚」


不親切なのは…どの程度まで時間が戻せて、一枚につきどれ位の効果が得られるのか、時間を戻した後はどうなるのか、など説明が不足している!等々多々あるけれど。


「一枚で一秒とかだったら終わりだけど……」


私は独房なう、数日後には処刑される運命、多分。うーん完全に詰んでる。

このまま待ってても、恐らく待つのは――― ダメだ想像したくない。ついでに言うと、万が一そうなったとして、またあの現代の社会になんて戻りたくない。


「ま、まあ…そのまま消えちゃう可能性もあるけどさ…でも」


…これは、一枚一枚ちまちま使うべき?

それとも一気に行っちゃう?

私の決断は…。


「とりあえず!!一枚使おう!!!」


そう叫んだ瞬間…ぱっと私の周りが明るくなり、どこからかカチカチ…という歯車のような音が聞こえた。その音はどんどんどん加速していき、目を開いていられないくらい眩しくなる。そして


「ほぁ?!!」


ビュンっ!!!とジェットコースターにでも乗ったかのような突風が巻き起こると…私の目の前の景色は一変していた。

光が一筋しかないくらいの暗闇に、締め切られたカーテン、そして、ほこりをかぶった家具の数々。

そして私の手には…ほとんど燃え尽きそうな蝋燭に、たっぷりと煮えたぎった蝋の入った入れ物だった…

更には恐ろしいことに、まさにその液体を自分の顔にぶっかけようとしている寸前だった。


(ちょ?!え??!これどういう場面!!?)


「ぎゃあああ!!!!!」


…もう間に合うわけがない。

私は絶叫の後、心の中で必死に祈った。


「時間戻し!時間戻し!!!時間戻し――――!!!!」


そして…また、パッと光に包まれ、場面が変わり…私が次にやって来たのは―――


「!!」


ざく。


「?!」


足元を見ると…ここはどうやら屋外のようだ。

ざああ、ざああ…と雨の音が聞こえてきて、吸い込む空気は湿り気を含んでいる。


「ここは…」


目の前にいたのは…喪服の陳列。

皆、黒い傘をさして100メートルくらい先に見える白い壁の教会に向かって歩いている。

これは、誰かの葬式だろうか。


「何をぼさっとしているの?」

「!」


甲高く、いかにも不快と嫌悪がにじみ出たような…イライラした声の方を振り向くと、燃えるような赤い瞳でギロリとこちらを睨む美女と目が合った。

弔いの日にそぐわぬ派手な宝石のついたイヤリングに、血のように真っ赤な口紅。金色に輝くブロンドの髪には赤い髪飾り。

喪服らしいと言えるのは、着ている黒いドレスとブラック・へアドレス位なものだろう。

なるほど、これが。


「伯爵夫人…」

「もたもたしないで」


か細くつぶやいた声にかぶせるように話すあたり、私と会話する気がないのだろう。

私は押し黙り、黙々と前を行く人の歩調に合わせる。


(白い花‥‥じゃあ、これは)


「もしかして…お母さまの、お葬式…?」




間違えてひとつ飛ばして投稿してしまいました。読んでいただき、ありがとうございます!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ