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元・社畜系女子が人生フルベットで運命ガチャを回したら~傾国の美女の人生は一度でいい~  作者: いづかあい
第2章 あれ、人生やればできるかも。

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第11話 レインボーガチャ発動!SSR・スキルまでゲットしちゃったけど大丈夫?


「なあ…これ、なんだ??」


午後の光が徐々に変わり、赤みを帯びた光が差し込み、カーテンの隙間から漏れた光が、まるでスポットライトのように幾何学模様がたくさん描かれたこの奇妙な箱を照らす。

私は箱を手に取り、隅々まで調べてみる。描かれた模様一つ一つがパズルのように動くけれど、肝心のカギ穴が見つからない。

大きさは…封筒一つが丸ごと入るくらいで、小さく揺らすとカタカタ音がする。


「あ、音がする」


ケディが小さく揺らすと、微かに音がする。

私は思わず身を乗り出した。


「あの…開けられる?」

「貸して、ケディ」

「ん」


フォーレが手に取り、隅々まで調べていると…模様の一つがすっと横に動いた。


「??ど、どうなってるの、これ」

「!動いた。コレ…やっぱり、じい様からもらった箱と同じだ!」

「ええと、さっき言ってた…」

「壊せばいいじゃん」


デリカシーのない発言にぎょっとしてしまうが、フォーレがぴしゃりと言い放つ。


「…ケディックはそこで黙ってみて。触るな、壊すな。」

「う。な、なんだよう」

「フォーレはパズルとか得意なの?」

「まあ…だって、正解は一つしかないし」


過去、経理の仕事をしている人が同じことを言っていた。

…私は、実はこういう作業、あまり得意ではないのだ。

どうやら模様一つ一つを決まった順番でスライドしていかないと動かない仕組みらしい。


「前、爺様からもらった箱も開けていたよな、フォーレ」

「うん…あれはここまで難しくはなかったような」

「やっぱり…難しい?」

「!あ…いや、すぐはできないだけで。これは、リッハシャルの大切なモノなの?」


あれ、そう言えば…忘れていたけど。ケディがあまりにも普通に名前で呼んでいたけど、フォーレは違った。


「…いいよ、シャルで。長いでしょ?私のなまえ」

「え?!」


驚いた声をあげた後、フォーレの顔がみるみる赤くなっていく。


(何これ、可愛い。)


フォーレは今ドレスを着ているせいか、可愛さ倍増だ。

元の顔が綺麗だからかな?まさに美少女って感じ。


「あ…えっと、うん、わかった」

「なあ、俺は?俺は?!」

「…ケディははじめて会った時からずっとそうよんでるじゃない」

「呼んでいいよっていうのと、勝手に言うのじゃぜんぜんちがうんだぜ?!」

「そ、そんなに?…もう、好きに呼んでいいよ」

「えへへ、やったあ!」


うーん…こういうところは年相応というか。子供なのよねえ。


(…私の実年齢ならこれくらいの年齢の子供がいてもおかしくないわけで。なんだろう、とても複雑だ…)


「どした?シャル!」

「な、何でもない…それで、どう?フォーレ」

「少しわかったかもしれない」


どうやら、コツをつかんだらしく、上の蓋部分の開錠に成功したらしい。

でも、更にその中にもう一つ箱があるのが見えた。


「これ、何が入ってるの?」

「う…うーん、わかんないけど…なくなったお母さまの大切なものなの」

「…ん。わかった!絶対僕が開けるてやる」

「うん!お願い!あ…でも、もう少しで夜になっちゃう」


窓の外を見れば、もう外は暗くなり始めている。なんだか、急に寒くなったような、妙な雰囲気を醸し出す。


「ええと、ライト、ライト…」

「…あなた達、何をしているの」

「!」


音もたてず、ゆっくりと。

突如響いた低い女性の声に感情の抑揚はない。


(…ロザベーリだ)


「あ…えっと、初めまして…?」


うろたえた様子で、ケディがこちらを見る。

そう言えば、ロザベーリは、エイデン一家が来てからも体調不良と言って表に顔を出さなかった。

それが…どうして、今ここで?


「…伯爵夫人」

「ここがどういう部屋か知っているの?」

「知っています」


(そうだ!飾り箱…もしこの女にみつかったら…)


ぱっと後ろを振り返ると、何かを察したケディは箱を持ったフォーレを背中に隠した。


「あ、あの…」

「…エイデン侯爵家のご嫡子ね。ここはね、あまりいい場所ではないの…呪われても、責任はとれませんわ」

「呪い、なんて…!」


真っ赤な口紅がくい、と右側に上がる。実母が亡くなったこの部屋で、その娘に向かって呪いとか言い放つ様は、さながら絵本に出てきそうな魔女のよう。

思わずカッとなった瞬間…か細い声が聞こえてきた。


「…怖い」

「!!!」


そこで私は見た。…フォーレがなんともか弱く儚げな様子でケディの背中に隠れている姿を…!


(私より…か、可愛い?!)


「け、ケディ、大丈夫か?」


あ、こら!ケディ、声が上ずってるじゃない。せっかくフォーレが渾身の演技をしてるのに!


「うん…呪いなんて怖い、お兄ちゃん」

「おにっ?!…いてて」


あ、多分今、背中でフォーレがケディのお尻をつねったっぽい。


「あら、か弱いお嬢様の前で、お失礼を。…早く、戻りなさい」

「わ、わかりました…」


ケディを先頭に、くっついて離れないフォーレを先にすすませ、私も後に続く。去り際、ちらりロザベーリを見ると…まるで汚いものを見るような目で、私を見下ろしていた。


(あの女…何でリッハシャルをそこまで敵対視するんだろう…)


ううん、違う。

あれは…多分、嫉妬だ。

職場にいたわ…「大卒です!」って入ってきた新入社員の女の子を、今のロザベーリと同じようなまなざしで見つめる連中が!!


「二人とも、こっち来て」


ある程度走った後、私は二人を自分の部屋に押し込んだ。

しっかりと鍵をかけ、私達はその場に座り込む。すると、ケディは足を投げ出して天井を見上げた。


「すげー…あれ、シャルの母様なのか?!おっかねえ」

「母様っていうか…うーん」


なんて言ったらいいんだろう。

立場的には保護者になるだろうけど、私はあの人を母とは思えない。


「それより…もう少しで解けそうだよ」


そう言って、自分のスカートを捲し上げてフォーレが取り出したのは…模様がほとんど綺麗に内側に入り込んだ飾り箱だった。


「も、模様が消えちゃった?!」

「うん。大きい箱の中に、更に箱が入ってる…みたいな。最終的には、ほら」


まるでマトリョーシカのように箱が組み合わさっているらしい。

三層になっている箱の底にあった、一番大きさが小さい箱に鍵穴が付いている。


「鍵かかってる?!」

「シャル、この鍵は?」

「ええと…うーん…わかんない」

「そっか。何かない?亡くなったお母さまから預かってるものとか」


フォーレの言葉に、静かに首を振る。


「…お母さまがお亡くなりなるとき…ほとんど、会えなかったから…」

「…シャル」

「大丈夫だよ。ありがとう、フォーレ、ケディ」


表情から、私を心配してくれるのはよくわかる。

でも…実は心配無用、なんだよね。


(ごめん、二人とも)


私は心の中で謝罪をし、夜の食事ははいらないとだけ伝えた。

そして…誰もいなくなった部屋で、私は『礼のモノ』を取り出す。


「ふっふっふっ…!これを使う時が来たわ!!」


それは、部屋の隅にある小さな戸棚の一番下の引き出しの奥の小箱の中。

先日、エイデン一家からもらったお土産の中で、飴玉が入った瓶があったので、それを大事にしまっている。

そこには…


「じゃーん!『マル秘な扉を一度だけ開ける魔法の鍵』よっ!!」


コルクの蓋を取り、小さく丸めた紙袋を取り出した。


「小さい針金…漫画とかでは、これを鍵穴に挿し込んで何かしてるけど…?」


さて、どうやって使おう。

などと悩んでいると、突如ピカ!と針金が発行し、そのまま吸い込まれるように小箱の小さな鍵穴に吸収された。

そして…カチン。と音が鳴る。


「あ…すごい、溶けちゃった…」


跡形もなく消えた針金は、やっぱり物理的に説明できない何かなんだろう…こうなると、やっぱり私の人生は、暇な神様の良い退屈しのぎの一つなのかもしれない、と考えてしまう。

こうなったら、とことん楽しむしかないけどね。


「何が入って…」


蓋を開いて…私は言葉を失う。

箱に入っていたのは、とても小さな…まるで目薬を入れるくらいの、小さな瓶。

中身は、一見すると無色透明だけど、光に当てるとしたの方はうっすら金色の光を帯びて琥珀色になる。蓋はしっかりと布をかぶせて紐で閉じているけれど、何度か使用した痕跡がある。


(まさか…これって、毒薬だったり、するの?)


「ああ…もう、こういう時にスマホがあれば一発で調べられるのに…」


現代の科学文明は素晴らしいに尽きる。

思わず天井を仰ぐと…備え付けのシャンデリアに、佇む黒い影…っていうか四角い。あれは


「ガチャ…?!」


思わず立ち上がると、例の如く羽の生えたガチャは私の前に降臨した。


「なんてタイミング…」


言いかけてはっとなる。そうだ、このタイミングで来たからと言って、いいガチャがどうかわからない。


(あー…喜んで、損した)


『…ガチャをしますか?』

「なんの?」

『ガチャをしますか。』

「だから何の…」

『ガチャをしますか?1.2.3…』

「わかった、します。やります!!やりますって!!」


ええいもう、どうにでもなれ!

今回は珍しく、自分でレバーをひねるタイプだったので、思い切り捻ってやった。

そして、飛び出してきたのは。


「!あれ?いつもの金色じゃない…これって ?!」


虹色のボールはゴムボールのように部屋中を飛び跳ね、最終的に私の頭上に落ち、吸い込まれるように消えた。


「え?え?どうな」


その時、脳に直接文字が浮かんできた。

それは…


『スキル名:記憶の書庫(エコー・ライブラリ)。あなたが、過去に見たもの、記憶した物が全て頭の中の図書館に収納され、いつでも引き出し可能となるスペシャル・ギフトです。制限、容量には限りがあるのでご注意を』


嘘。まさかの脳内スマホ?!

私…この世界に来てなんかすごいスキルまで貰っちゃった?!


(けど…これ、大丈夫?便利すぎて…ちょっと怖いんだけど…)


ああ、今後の人生、無事に行けるかなあ。

――こうして、私は一抹の喜びと、9割以上の不安と心配を抱えるのであった。




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