第七節 〜ごめんなさい!!!〜
「………で、です。」
椅子の姿勢となった父の臀部に鞭をふるう。
「 十 何 年 も 家 を 留 守 に し て 一 体 何 し て た ん で す か ? 」
「いだぁっ!!!ちょっ、ちょっと待っ」
「こちらが?」
「実の娘にこんな…おぶっ」
「どれだけ??」
「タンマ!タンっぐえッ」
「探したかと???」
「ごッ…ごめ…げぇあッッ!!!」
「……(ピシッッッ)洗いざらい吐いて貰いますからね。これまでのこと。」
「げほっ…ごめん!!わかった!!!わかったからその手に持ったモノしまおうかハヤテ!!!!!!」
「“なさい”は?」「ごめんなさい!!!!!!!!!!!」
『…感動の、再会?』「じゃ、ねぇだろ。明らかに。つーか探すどころか向こうの方から来ちゃったじゃねぇかよ親御さん。」「………アタシもう帰っていいかな。着いてけねぇ。」「俺も。レフティス潰しに来たハズなのに何がどうして後輩の複雑な親子事情を見るハメになったんだか。」
「ゔぇ………待ちたまえ…せめて説明まではさせてくれないかな………………」
「やだね。もう知ってるし、俺は帰るよ。それじゃ。」
「あっ、ちょっと先輩…………」
去っていったその背中は、何処となく機嫌が悪そうであった。
「…少々やりすぎましたかね?」「いやゼッテーやり過ぎただろ。後で謝れよ。アタシにも。」
「ゔぇっほ……えほ………気を取り直して。此処は“SH-VA”。先ほどブライトくんが言った“神徒”のような者達を取り締まる為に作った、政府公認の敵性神聖存在執行機関だ。
で、そして私はそれを纏める総司令官にしてここの創設者、“チェイン・ミドリカワ”。以後、お見知り置きを。」
そう言い、全員に手際よく名刺を渡していく。
「つい数秒前に司令としての威厳も大人としての尊厳も崩れ落ちたけどな。」『青龍さん。言うな言うな。』
「やめてくれたまえ少年。ヒトの心は脆いものだぞ。」「少年じゃねぇし、当たり前の事を言って何が悪いんだ?」「もうやめてくれませんかね!!!司令のライフは0ですよ!!!!!!!!」
「……此処はだな。ほぼ、神徒の制圧と大進化教の調査の為に活動している。本来なら警察とか、キリンさんの様なお偉いお方に任せておけばいいんじゃないか、となるかもしれないが、やむを得ん事情があるのだ。」
「やむを得ん事情?」ジンさんが首を傾げる。
「あぁ。第一に、各国の特殊部隊や特殊警察だと、まず歯が立たない。戦闘面も、情報戦でも、だ。そのせいで今までは其処の教えやルール、崇拝神や構成員。果てには教祖の存在まで、何から何まで掴めていなかった。
そこでここには、各国各種族から集まった国境を超えた情報と戦闘のエキスパート達を集結させている。
ほんのちょっぴりの足しにしかならないだろうが、少しだけでも着実に調査は進歩してきている。
構成員も、幹部以外なら4分の1程度が身元の確定ができている。
そしてまた厄介なのが…」
『ゲート?』
「そう、ゲートだ。よくできた、其処のロボット『電子生命体です。』………奴らはアレを用いて神出鬼没に活動する。数回ほど神徒に紛れてゲートを潜った者が居たものの、通達が途絶えて行方不明になってしまった。」
「そうすると、潜入も不可能…って事か。」とウルさん。
「あぁ。恐らく潜入先の本部ではちゃめちゃにボコさ……ん゛っ゛ゔ ん゛!!!排除などされたか、ゲートそのものの負荷が人間に耐えられないものなのだろうな。」
「へー。」青龍さんは特に興味が無さそうな態度で話を聞いている。わかりやすい人が多い。ここ。
「…と、まぁこのような諸々の理由で我々が活動しているのだが………他に聞きたい事のある者はいないか?」
「はい父さん。」
「………忙しそうなのは理解できたけど、何で今まで連絡の一つもよこさなったの?」
「…お「“お前達をこんな危険な事に付き合わせたくなかった”なんて言えばその首をへし折ります。」
「………ケータイが…壊れて………」
「手紙は?」
「…………」「まさかさ。住所を忘れた………とか、ないよね?」
「……さて!!!ファントムくん達は部屋に戻っててくれ!!!!!!キミ達も疲れただろう!来客・宿泊用のスペースがあるから数日くらいはそこでゆっくり休むといい!!!私は仕事に」
「二度と逃すかああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」
「ひぃッ……!!!!ごめんなさああああああああい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」