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BLUE IMPACT   作者: 御紡 飛燕
3/13

第三節 〜父と子と〜

ある日、私はウルさんに誘われてまだ私に紹介していなかったメンバー、そのうちの一人に挨拶しに行く事になった。


現在地:空港 ゲート前にて


「ほら、ここが天界行きのゲート。これを潜ればもう天界だよ。」

「ちょっと待ってくださいウルさん。なんでリーダーの青龍…さんや同等の力を持つジンさんとかじゃなくてウルさんが案内役なんですか?」

「…あの人、アイツと仲悪いからな。会ったら何があるか分からん。」

「あ〜〜〜…納得です。たしかに動画でも酷い目にばっかり逢ってますからね…“キリン”さん。」


キリン。

天界の地方を治める「竜王」という凄く偉い役職に就いている男であり、身長が高くイケメンでファンも多く、役職上法に忠実、性格がまず良い…など、モテる要素しかない男。



…なのだが、ブルドラの動画では常に青龍とジンに酷い扱いをされている。例を挙げるとなると、戦闘では煽られるわ完膚なきまでにボコボコにされるわ(わざと)、寝起きドッキリを仕事が多い日に限ってやったり(これもわざと)、挙句の果てには折角の貴重な休みをほとんど邪魔されたり(もちろんわざと)。

とにかく…言うなれば、とても「かわいそうなイケメン」なのである。

そんな人のところに彼らは向かう訳だ。


「キリン様、客人がお見えになりました。」「分かっているとも。すぐ向かうから待っててね。」

支度を済ませ、仕事部屋から長い豪華な廊下を渡ったあと。厳しい扉を開けた先に、二人が待っていた。

「お。キリン。」「あ…わわ……ハジメマシテ…(カクカク)」

「ウルさん、こんにちは。良く来てくれましたね。あと…ハヤテさん、でしたっけ。そんな畏まらなくても……」

緊張をほぐそうと肩に優しく手を置く。

「ひゃっ!?」

彼女が驚いた拍子に、ポケットに入れていた“ナニカ”が落ちた。

「………?これは…」「わ!ちちちょっとソレは見ちゃ!!!!」「えっ何何?」

ソレは、少し歪に削られた、“翼のついた涙”を模したような白いネックレス。

「…!ハヤテさん、コレって……………!」驚いた拍子に素早くネックレスを奪い返される。「…これは、父との思い出の結晶なんです。」「ハヤテさんのパパの?」「…それ、詳しく聞かせて貰えないでしょうか。お茶のついでに。」


——————私の父は、多くは語ってくれなかったがとある組織のお偉いさんだった。私が小さい頃から仕事熱心で、立場上家に帰ってくるのもちまちま。でも、それでも帰ってくるたびにたくさん遊んでくれた、良き父親だった。

このネックレスは、そんな父が、私が小さい頃に頑張って御守り代わりに彫ってくれた手作りのネックレスだった。

私は、それをいっつも、何日も大事に持っていた。


だが父は、その数ヶ月後。父は何やら、「大事な仕事」に行ったっきり帰って来なかった。

私は、父が帰ってくる目印にこの大事なネックレスをさらに何年も、この高校生の年齢になるまで持っていた。

だが、父はやはり帰ってこない。

だから——————

「私から、父さん…あの人に、“私から”近づく事にしたんです。」

「読めた。だから同じく悪性存在を敵とする俺らに近づいて、(パパ)とその痕跡…足跡に、一歩でも近づこうとした…ってワケか。」

「……はい。でも利用しようってワケではないです。ファンなのも本当ですし。

…お願いです。


父を、私の父さんに!一緒に……会うための手伝いを!してください!!!!」

いつのまにか泣いていた。受け入れられない可能性もあるし、せっかくここまで来たものが水の泡になる気がした。

怖かった。


「…ハヤテさん。」「…はい。」

肩に手が置かれる。

「……私達が、手伝わないとでもお思いで?」「…!」「否。こちらは全力で、貴女が父に会える手伝いをさせてもらいますよ。

……というか、そのような事であればもっと早く言ってくださいよ〜…」

「いや3話時点で言うのは十分早くないか?」「ちょっとウルさん。急なメタ発言はよしなさい。」

「…ふふっ。」

なんだ。隠しておく必要なんてないんだった。やっぱり面白いな。この人たちは。

そう思って、自然に笑みが溢れていた。

「……(咳払い)ま、とにかくだ。青龍たちは居らんが、その依頼。このTEAM BLUE DRAGONが受け負った!」

「…はいっ!」


突如、巨大な揺れが天界を襲う。

「…!?」「チッ……ハヤテさん…目、付けられてたみたいですよ…?」「!まさか、あの怪物!?」「なんですかそれ!まった青龍さん(あのヤロウ)が厄介事持ってきたんですか!?!?!?」「「うん」」「だーーーーっ!!!!!もういい!対処しますよ二人とも!!!!」


揺れの方向、音の先へと向かうと、前にハヤテを襲いかけた怪物と同じ姿のモノがそこに立っていた——————。

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