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待ってました

「待ってました!!」

調理場に行くと、そう言って待ってたのはさっきの男の人だけじゃなく、アンナともう1人男の人がいた。

それも、ちゃんと材料が用意してあった。さっき私が何を使ったのか見ていたからだろうが用意周到に少し驚いた。

「早く、さっきの作って貰えますか!見張りの交代の時間になるんです!!」

必死の顔で私の腕を引っ張って、調理台に立たされた。

3人のまるで犬のまて、みたいな感じ私を見つめる目が、なんだが、


よし!


と言う気分にさせてくれて、急かされるとは違う、使命感のような気持ちでさっきのを作ってあげた。

「うまっ!!」

「美味しい!!」

「うわっ!!酒飲みてえ!!」

それは、ダメでしょうね。だって、さっき見張りの交代て言っていたもの。

と言うよりももう少し静かに喋ってくれないと、こんな夜中なのに、と私がキョロキョロと奥から誰かやってこないか不安になるくらいだった。

「私はもう終わりだけど、お酒持ってきたら良かったなあ」

ああ、失敗した!!とアンナの悔しそうな顔に、それも、どうかと・・・

「なあ、交代したヤツらにも食べさて貰えないか?」

「これで良ければ・・・」

「でも。あまり食材使うと怒られるんじゃない?」

不安そうに聞くアンナに、そうか、食材までは聞いていなかった、と思った。

言われてみれば、この食材も何日間かのメニューを決め全部計算して購入しているはず。朝食は下準備が終わっているから問題ないとしても、昼食や、夕食に何を使うのか知らない。

もしかしたら、この豚バラを使ってしまったから、足りなくなる可能性もある。

それなら、

「キャウリー様に頼んでみます。もし、食材が足りないようであれば、街に買いに行きます」

もう、腹を括った。

自分がまいた種だ。

買った分のお金は、ここで、働いて返そう。どうせ、お父様が賭けで作った借金でこにいるんだ。増えたら増えたで、ここに長くお世話になれる。

「・・・なんかそれも・・・。ねえ、皆で明日の朝キャウリー様にお願いしてみましょうよ」

「そうだな」

「皆共犯者だしな」

「そうと決まれば、交代してくるね!シャーリー様、作っててね。行きましょう」

「あ、待って・・・ませんね・・・」

3人は満足そうな顔で、去っていった。

少しして、お腹空かせた犬が、お預けしてるような顔の3人がやってきた。

どうぞ、と出してあげると、さっきと同じように、美味しい!!と何度も言ってくれて、とても嬉しかった。

そう言えば、と思う。


お父様も、お姉様も、御義母様も、1度も美味しい、と言ってくれなかった。


当然のように、食べ、当然のように文句を言っていた。

冷めてる、というのが1番多かった。

だって、出来ました、と声をかけても無視して、喋っていて、終わった頃には冷めている。

料理というのは出来たての温かいうちに食べないと美味しくない。

それを何度も説明しているのに、お前の作り方が悪いからだろ、としか言われなかった。


前向き考えられない、とても悲しい気持ちになり、


でも、前向きに考えれる、キャウリー様や皆の笑顔が、とても気持ちを暖かくした。



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