シャーサー目線
頭・・・痛い・・・。
「・・・!!」
何?うるさいな、もう少し寝させて・・・。
「・・・ろ!!」
・・・お父様・・・?
「シャーサー!!起きるんだ!!」
酷く耳に響く。重たい瞼開けると、凄い形相のお父様がたっていた。
「・・・何・・・お父様・・・?」
ギリギリ痛む頭で、ゆっくりと起き上がった。
いつ間にかソファで寝ていたようだった。何故か、ドレスは脱ぎ、下着もはだけている。
「何てことをしでかしたんだ!!」
「・・・何・・・?飲みすぎたのは・・・謝るわ・・・」
乱れた下着を整えながら、周りを見回すと、御義母様と目があった。
酷く狼狽え、口を押え倒れそうなまでに真っ青だった。
「馬鹿者!!そんな、そんな事では無い!!」
怒鳴るお父様が、通常ではないと、気づいた。まるでこの世の終わりのような暗い顔。
背中に寒いものが走った。
「何?何をそんなに怒ってるの?」
「覚えてないのか!?昨夜の事を!!」
「昨夜?昨日はケイト様とルーンと休憩室で飲んだだけよ。それがどうしたの?」
「・・・お前・・・本気で言っているのか・・・!?」
震える声で、信じられないと首を振る。
「だから、何?」
意味が分からない。
「昨夜の事だ!!思い出せ!!」
「・・・昨夜・・・?だから、ケイト様とルーンと・・・飲んでいたわ・・・。他は・・・」
何だろう、他に誰かいたような気がする・・・。記憶が曖昧で・・・。
「思い出せんなら教えてやろう!!お前は、お前は・・・媚薬を使用し乱行パーティーさながらを、この王宮でやったんだ!!どういうつもりだ!!」
「・・・は・・・?そんな事・・・」
お父様の言葉が信じられなかったが、曖昧な記憶ながらも、
何か、
何か、
浮かんでくる。
待って・・・そんな記憶というか・・・夢じゃないの?
ゾッと一気に体が冷え震えるくる。
「・・・あ・・・!!・・・嘘よ・・・!!媚薬、そんなもの使う訳ないじゃない!!馬鹿でも分かるわ!!ここは、王宮・・・よ・・・」
はっとした。
そうよ・・・王宮・・・。ここに来れたのはシャーリー・・・まって・・・。
あの言葉。
1つだけあなたがした事を返して上げるわ。
あの女!!
「シャーリーだわ!!イエーガー様のご子息に媚薬を入れた腹いせに」
バシッ!!
頬に鋭い痛みが走った。
「・・・何て馬鹿なことを・・・お前は・・・イエーガー様にそんな事をしたのか!!表立ってその事が明るみに出れば、どうなる!?いや、そんな馬鹿げた事を誰が信じる!!お前が媚薬を持っていた!だからこんな愚かな事をしでかしたんだ!!」
「違うわ!!シャーリーよ!!シャーリーに飲まされたよ!!」
バシッ!
また叩かれた。
「この期に及んでまだ言うか!!」
「お父様!!あの女を信じるの!?愚かで馬鹿なあの女を!!」
「当たり前だ!!あの出来損ないにそんな事できるわけがないだろ!!」
「さて、その茶番は帰ってからやってもらおうか」
冷静な声が、部屋に響く。
お父様がその声に体を震わせ、声の方を向いた。
ウインザー公爵とシャーリーだ。
「シャーリー、お前は部屋に帰りなさい。公爵令嬢が見る光景ではない」
「はい、御義父様」
ゆっくりと会釈し、静かに私を見た。
「まちなさいよ、シャーリー!!」
笑った!
あの女、私を見て笑った!!
愕然とする中シャーリーは笑って去っていた。
でも、
まるで、
泣いているかのようにも、
見えた。