話爵位返上式典
とうとう御義父様の爵位返上の日がやって来た。
あれから、オーリュゥン様はこの祝いの日の為の警護の準備などで忙しくなったようでお会いしていない。
カルヴァン様も、お忙しいようで、お会いしていない。
つまり、何の進展もなく、私的にはとても平和に御義父様とノーセットと過ごしていた。
あと少しで、式が始まる。
控室には、御義父様とあの4人と私とノーセットだけで、他の方はそれぞれのご家族の控室にいる。
「さあ、時間だ、行こう。我々の古き友人の晴れ舞台を拝もうではないか」
サーヴァント公爵様の一声に、古き友人5人は顔を見合せ、誇らしげに微笑むとソファから立ち上がった。
正装で颯爽と歩く御義父様のお姿に、朝から、
素敵です御義父様!!
と何度思ったか。
御義父様と離れ、私達は王の待つ謁見室へと向かった。
その場に選ばれた人のみが招待され、この後に、盛大なパーティーが催される。
緊張はしていない。御義父様がとても冷静に王宮を歩く姿に、私の気持ちは落ち着いていた。ノーセットも、皆が当然のように立ち居振る舞いをするので、同じような気持ちになったのだろう。
謁見室では、奥に王様と王妃様が立ち、入口からその王様の前まで、豪華な赤い絨毯が引かれている。その両脇に役付きの方、招待されされた方が並ぶ。王様に近い人程立場が上の人が並ぶ。
今回は御義父様なので、私とノーセットは、王様に1番近い所で並んでいるナリッシュ王子の次に並んだ。
おおお!!!こ、こんな場所、もう2度並べないよね!!
そうして1番最後に並んでいるのが、サヴォワ家とヨークシャー家だ。
断りたかったでしょうね。でも仕方ないよね。あれだけ私に関わりたかったんでしょ?だったら最後まで付き合って貰わないと。
扉が開き、御義父様がゆっくりと王様の前へ歩いていき、跪いた。
王様が、頷き宰相であるサーヴァント公爵様から、古びた剣を受け取った。
「永きに渡り爵位を預かっていたが、今ここで返上しよう。これよりウインザー公爵となり、国を民を、これまで以上に慈しみ、そして我が友人となり、支えて欲しい」
「有り難きお言葉。このおいぼれを友と呼んで頂くとは嬉しき事。この先、死する時まで我が友人達と共に、貴方様をお支え致しましょう」
ゆっくりと立ち上がり、微笑む御義父様はとても、とても、素敵だった。
「それはまた、頼もしいのう」
王様は楽しそうに笑いながら、剣を御義父様に渡した。
あの剣は終戦の時、爵位を返上する代わりとして、王家に預けた、御義父様が使っていた大切な剣だという。
それが今、爵位と共に御義父様の手に返上された。
われんばかりの拍手喝采が巻き起こった。
勿論私も力一杯泣きながら拍手した。
感動です!!
素敵です!!




