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何だかイライラします


ホールに戻ると、変わりなく生演奏が流れ、穏やかな空気だった。御義父様の側に行くと、


「帰ろうか」


御義父様の優しい微笑みが、


素敵です!


と、つい側に寄ると、何となく・・・何となくオーリュゥン様の視線を感じてしまい、ちらりと向くと、とても凹んだ顔をしていた。


すみません、御義父様は1番なので!


さき程の騒動は、ルーンが酔って絡んできた所をオーリュゥン様が助けた、という事にしたらしい。幼なじみだったとはいえ、今はウインザー家の息女に粗相をしたと、今日の主役でありながら退場させられた。


馬鹿な人。放って置いてくれたら、まだ道はあったものを、自分から断つなんて・・・。


シャーサーはケイト様と一緒にに慌てて帰ったようだった。


ため息しか出ない。


「では、キャウリー家へと参ろうか」


は?


イエーガー侯爵様の得意気な顔に御義父様を見ると、苦笑いしながら言われた。


「ここにはもう用はない。私の家での飲み直し、という事だそうだ。お前の料理で、という事になった。頼むよ」


なんですって!?


すかさずオーリュゥン様の見ると・・・ですよね・・・困りますよね・・・。


私もです・・・。


「シャーリーのつまみを所望だ、とさ。どうした?困るのか?」


御義父様の不思議そう顔に、いいえ!


何を仰います。御義父様に頼むよ、と言われるともう頭の中は何を作るか、と言うので一杯です。


オーリュゥン様の事は二の次三の次です。


「御義父様の為なら、困ることはありません。只・・・」


ちらりとオーリュゥン様を見る。


「お爺様、ウインザー様、お伝えしたい事があります」


オーリュゥン様の真摯な顔にとりあえず、この場を去ろうとすぐにホールをでて、馬車に乗った。


が!


説明が始まると空気は一変。


シャーサーが媚薬を使いオーリュゥン様に迫った事を説明すると、御義父様が見たことの無い鋭い目付きと、怒りがこもった顔で睨みを効かせオーリュゥン様を、まあ、わかりやすく言うと、威嚇ですね。


シャーリーに何かしたのか!?


と。


また、微笑みながら言うから、さすがに私も怖かった。


何もありません!!あの程度の媚薬など問題ありません!!


と言うオーリュゥン様に、当然私も、何度も頷き何もありません!!と弁解を助ける訳では無いが、一緒に説明をした。


馬車と言う狭い空間という中、上下関係があからさまに見えるな、と私はオーリュゥン様には悪いが冷静に見てしまった。


イエーガー侯爵様はニヤニヤと御義父様とオーリュゥンを交互に見ながらも、私を見て、また楽しそうに笑っていた。


こういう時、自分の周りを観察してしまう癖が、嫌になる。


・・・何だか・・・面倒だな・・・。でも・・・。


と思う。


自分の中で、御義父様も大事だが、オーリュゥン様も助けたいな、と思う気持ちに驚いた。


一生懸命に、私に何もしていないと、説明する姿にだんだんイラッとしてきた。


抱き合ったでしょ?それは、何も無いになるの?


つまり、私が特別と言ったけど、イエーガー侯爵様や御義父様の前だと、すぐに覆るの?


と、イライラしてしまった。


ううううう!!なんだろう、この気持ち!!!


屋敷に帰る馬車の中、モヤモヤとした気持ちの中で、オーリュゥン様が話しかけくるのにイライラする。


何で隣に座るんだろう、と気持ちがざわめく。


屋敷につき馬車から降りると、オーリュゥン様が側に寄ってきた。


「・・・シャーリー・・・怒っているか?」


「別に!」


「・・・後で話をしよう・・・」


見つからないように手を握り、そっと呟く言葉に、あんなに苛立っていた気持ちが萎んでいく。


もう・・・。なんなの・・・。なんでこんなにこの人に右往左往するの・・・?


「・・・分かりました・・・」


屋敷に入ると、さっきのもやもやは一気に吹き飛び、手を離すと、オーリュゥン様は寂しそだった。


残念ですが、これから私は忙しいので。


「では、御義父様私は失礼します」


「ああ、頼むよ」


「はい!」


すぐに部屋に行き、この重たいドレスを脱ぎ着替えます。


さて、今日は何作ろうかな。




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