シャーサー目線
あら、丁度ルーンが連れていってくれたわね。
上手く1人になってくれたわ。
ワイングラスを2つ持ち、側に行った。
「初めまして。オーリュゥン・イエーガー様。いかがですか?」
すい、とワイングラスを渡すと、私の顔を見て少し考えているようだったが、受け取ってくれた。
「シャーリーにそっりくりだな」
「双子ですもの」
ふふっと笑うと、じっと私を見つめ、面白そうに笑いながらワインを飲み干した。
私も、飲んだ。
まあまあねの味ね。ケイト様の所とは違うわね。
「ケイトはいいのか?お前の相手なのだろう?」
「そういう訳ではありません。ケイト様が是非ついてきて欲しい、と言われたから来ただけですもの。そうでなければ・・・シャーリーが招待されていたと知っていたら来ませんでしたわ」
下を向き首を振った。
「どうだか」
やはり、頭はいいみたいね。
シャーリーを招待しているとケイト様から聞いたから、わざわざ私は来たのよ。
ケイト様と知り合って、シャーリーの事を話したら、面白いことばかりを考えてくれた。
この姿もそうだし、私の美しさがあれば、イエーガー様もサーヴァント様も女に慣れていないから遊べるよ、と言われた。
シャーリーのおかげで、ルーンと婚約解消して、ケイト様に知り合えた。
ルーンは好きだけど、他にまだまだ上がいるもの。私が勿体無い。
「・・・イエーガー様・・・。少し話しませんか・・・」
そっと腕に胸を押し付け、上目遣いで見る。
騎士団副隊長で、この顔、この体、本当に素敵。
馬鹿なシャーリーに騙されているのだろうけど、いい男ばかりを連れてきてくれて助かるわ。家柄も申し分ない。
「・・・シャーリーとは・・・話せないけれど、イエーガー様にどうしても教えてあげたいことがあるんです・・・」
「教えてあげたいこと?」
掴んだ腕が熱くなっできたのがわかった。
「・・・ええ・・・。ねえ・・・外で・・・」
私を見つめる瞳が、とても真っ直ぐで強くなる。
「・・・そうだな・・・。2人でな」
私の腰に腕を回し、そっと耳元で後囁いてきた。
なんていい声。
私達は、庭に出た。隅々までこの庭は知っている。だから、どこが人気がなく、邪魔されないかも知っている。
静かな場所まで、イエーガー様は私の腰から手を離さず、たまに、引き寄せるように強く腰を触った。
「・・・ここなら、邪魔は入りませんわ・・・」
イエーガー様の前に立つと、私を抱きしめてこられた。
ふふっ。簡単だわ。
「話とは?」
囁く声に、ゾクゾクする。
「・・・シャーリーは、嘘つきなんです」
「嘘つき?そんな風には見えないが」
「ああ・・・イエーガー様も騙されてしまっている・・・。サーヴァント様も騙されているんです・・・。シャーリーは自分で勝手に家を出て、メイドとして働きに行ったんです。それなのに・・・お父様のせいみたいに言って・・・。私何度も迎えに行ったのに、私のことを罵倒して・・・酷いことばかり言ったのに・・・。皆には皆には・・・私が虐めているって・・・言ってるのでしょう!?」
ぐいとイエーガーを押し退け、涙を流しなら訴えた。
「・・・それは本当か!?私達には、父親の借金の為に、屋敷に降ろされたと聞いている。姉からはいつも酷いことばかりされらていると」
「違います!!確かに借金はしましたが、誰が娘を売るような真似をしますか・・・!?あの子は・・・いつだって・・・被害妄想が酷くて・・・自分が虐められているように言うんです・・・!!」
泣きじゃくる私をそっと抱きしめてくれた。
ふふっ。効いてきたわね。
「・・・ルーンも、いいえ、他の男性にもシャーリーは、いつもそうやって、同情を引ひいて・・・自分のものになったら捨てるの・・・!!」
びくりとイエーガー様の体が震えた。
「・・・成程。そんなに酷い女なのか・・・」
ゆっくりと私を離し、熱い瞳で見つめ顔を近づけてくる。
「・・・ええ・・・イエーガー様・・・は、騙されて欲しくない。私・・・私・・・」
「・・・シャーサー・・・」
「・・・オーリュゥン様・・・」
ぐっと私の両肩をもつ手に力がはいり、
ドン!
押された。
な、何!?
尻もちをついている私を、イエーガー様は朝笑うかのように見下げていた。
「なかなか面白い話だったな。だが、残念ながら、シャーリーの事は全て共有されている。お前たちがシャーリーをどれだけ蔑ろに、傷つけ追い込んたかもな!」
はっきりと淀みなく吐き捨てるように言ってきた。
「・・・な、なんで!?ワインを飲んだでしょ!!」
どうして!?あれには、かなりの量の媚薬を仕込んだのに!!
「ああ、あれか」
ニヤリとと楽しそうに笑いながら、私のスカートの裾を強く踏みつけ、膝を着いた。
「あれくらいの量耐性をつけてる。誰だと思っているんだ、私を」
「・・・ぐっ!!」
私の顎を強く持ち上げた。
痛い!!
逃げようにも裾を踏まれ動けず、じたばたするしか無かった。
「騎士団副隊長、オーリュゥン・イエーガーだ。よく覚えておけ」
さらに強く頬を掴んだ。
「・・・!!」
痛い!!
なんなの、この男にしても、シャーリーの周りにいるやつらは!?
「それと、書面の内容は全て共有されている。つまり、我々もその書面に従い行動する」
やっと離されと思ったら、
ビリっ!!
裾を破かれた。
「さあ、帰るしかない。悔やむがいいさ。この行為の結果をな」
くっくと笑い立ち上がるその姿に、冷や汗が出た。
暗がりで顔は見えなくても、その纏う、剣呑さは否応なく感じた。
あの・・・女は・・・何を手に入れたの?こんな、こんな・・・!!
いや、違うわ!!
「違うわ!騙されているのよ!!」
「ほう。さすがシャーリーの姉だな。ここでその威勢をはれるとは、だが、残念だな」
「・・・何が?」
「さあな。お前はもう戻れない。私は、戻るとしよう。彼女の側にな」
それだけ言うと颯爽と去っていった。
何・・・?
この不安な気持ちは・・・?