表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

57/65

シャーサー目線

あら、丁度ルーンが連れていってくれたわね。


上手く1人になってくれたわ。


ワイングラスを2つ持ち、側に行った。


「初めまして。オーリュゥン・イエーガー様。いかがですか?」


すい、とワイングラスを渡すと、私の顔を見て少し考えているようだったが、受け取ってくれた。


「シャーリーにそっりくりだな」


「双子ですもの」


ふふっと笑うと、じっと私を見つめ、面白そうに笑いながらワインを飲み干した。


私も、飲んだ。


まあまあねの味ね。ケイト様の所とは違うわね。


「ケイトはいいのか?お前の相手なのだろう?」


「そういう訳ではありません。ケイト様が是非ついてきて欲しい、と言われたから来ただけですもの。そうでなければ・・・シャーリーが招待されていたと知っていたら来ませんでしたわ」


下を向き首を振った。


「どうだか」


やはり、頭はいいみたいね。


シャーリーを招待しているとケイト様から聞いたから、わざわざ私は来たのよ。


ケイト様と知り合って、シャーリーの事を話したら、面白いことばかりを考えてくれた。


この姿もそうだし、私の美しさがあれば、イエーガー様もサーヴァント様も女に慣れていないから遊べるよ、と言われた。


シャーリーのおかげで、ルーンと婚約解消して、ケイト様に知り合えた。


ルーンは好きだけど、他にまだまだ上がいるもの。私が勿体無い。


「・・・イエーガー様・・・。少し話しませんか・・・」


そっと腕に胸を押し付け、上目遣いで見る。


騎士団副隊長で、この顔、この体、本当に素敵。


馬鹿なシャーリーに騙されているのだろうけど、いい男ばかりを連れてきてくれて助かるわ。家柄も申し分ない。


「・・・シャーリーとは・・・話せないけれど、イエーガー様にどうしても教えてあげたいことがあるんです・・・」


「教えてあげたいこと?」


掴んだ腕が熱くなっできたのがわかった。


「・・・ええ・・・。ねえ・・・外で・・・」


私を見つめる瞳が、とても真っ直ぐで強くなる。


「・・・そうだな・・・。2人でな」


私の腰に腕を回し、そっと耳元で後囁いてきた。


なんていい声。


私達は、庭に出た。隅々までこの庭は知っている。だから、どこが人気がなく、邪魔されないかも知っている。


静かな場所まで、イエーガー様は私の腰から手を離さず、たまに、引き寄せるように強く腰を触った。


「・・・ここなら、邪魔は入りませんわ・・・」


イエーガー様の前に立つと、私を抱きしめてこられた。


ふふっ。簡単だわ。


「話とは?」


囁く声に、ゾクゾクする。


「・・・シャーリーは、嘘つきなんです」


「嘘つき?そんな風には見えないが」


「ああ・・・イエーガー様も騙されてしまっている・・・。サーヴァント様も騙されているんです・・・。シャーリーは自分で勝手に家を出て、メイドとして働きに行ったんです。それなのに・・・お父様のせいみたいに言って・・・。私何度も迎えに行ったのに、私のことを罵倒して・・・酷いことばかり言ったのに・・・。皆には皆には・・・私が虐めているって・・・言ってるのでしょう!?」


ぐいとイエーガーを押し退け、涙を流しなら訴えた。


「・・・それは本当か!?私達には、父親の借金の為に、屋敷に降ろされたと聞いている。姉からはいつも酷いことばかりされらていると」


「違います!!確かに借金はしましたが、誰が娘を売るような真似をしますか・・・!?あの子は・・・いつだって・・・被害妄想が酷くて・・・自分が虐められているように言うんです・・・!!」


泣きじゃくる私をそっと抱きしめてくれた。


ふふっ。効いてきたわね。


「・・・ルーンも、いいえ、他の男性にもシャーリーは、いつもそうやって、同情を引ひいて・・・自分のものになったら捨てるの・・・!!」


びくりとイエーガー様の体が震えた。


「・・・成程。そんなに酷い女なのか・・・」


ゆっくりと私を離し、熱い瞳で見つめ顔を近づけてくる。


「・・・ええ・・・イエーガー様・・・は、騙されて欲しくない。私・・・私・・・」


「・・・シャーサー・・・」


「・・・オーリュゥン様・・・」


ぐっと私の両肩をもつ手に力がはいり、


ドン!


押された。


な、何!?


尻もちをついている私を、イエーガー様は朝笑うかのように見下げていた。


「なかなか面白い話だったな。だが、残念ながら、シャーリーの事は全て共有されている。お前たちがシャーリーをどれだけ蔑ろに、傷つけ追い込んたかもな!」


はっきりと淀みなく吐き捨てるように言ってきた。


「・・・な、なんで!?ワインを飲んだでしょ!!」


どうして!?あれには、かなりの量の媚薬を仕込んだのに!!


「ああ、あれか」


ニヤリとと楽しそうに笑いながら、私のスカートの裾を強く踏みつけ、膝を着いた。


「あれくらいの量耐性をつけてる。誰だと思っているんだ、私を」


「・・・ぐっ!!」


私の顎を強く持ち上げた。


痛い!!


逃げようにも裾を踏まれ動けず、じたばたするしか無かった。


「騎士団副隊長、オーリュゥン・イエーガーだ。よく覚えておけ」


さらに強く頬を掴んだ。


「・・・!!」


痛い!!


なんなの、この男にしても、シャーリーの周りにいるやつらは!?


「それと、書面の内容は全て共有されている。つまり、我々もその書面に従い行動する」


やっと離されと思ったら、


ビリっ!!


裾を破かれた。


「さあ、帰るしかない。悔やむがいいさ。この行為の結果をな」


くっくと笑い立ち上がるその姿に、冷や汗が出た。


暗がりで顔は見えなくても、その纏う、剣呑さは否応なく感じた。


あの・・・女は・・・何を手に入れたの?こんな、こんな・・・!!


いや、違うわ!!


「違うわ!騙されているのよ!!」


「ほう。さすがシャーリーの姉だな。ここでその威勢をはれるとは、だが、残念だな」


「・・・何が?」


「さあな。お前はもう戻れない。私は、戻るとしよう。彼女の側にな」


それだけ言うと颯爽と去っていった。


何・・・?


この不安な気持ちは・・・?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ