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ルーンからの招待状

「何の御用ですか?御義父様」


夕食が終わると、大切な話があると呼ばれた。


「座りなさい」


言われ、ソファに座る御義父様の前に座ると、机に一通の手紙があった。


見た事のある紋と封筒だ。


「ヨークシャー伯爵家からの招待状だ」


やはりか。


「・・・ルーン・・・」


「そうだ。その者の誕生日パーティーの招待状だ。私と、お前にな」


忘れていた。来月誕生日だ。毎年、私とシャーサーにそれぞれに招待状をくれた。私はそれが凄く嬉しかった。

いつもシャーサーと連名で書いてあり、私個人での招待はルーンしかいなかったから。


「・・・私を呼んでいるのですね」


「それしか考えれん。これまで1度して招待されたことは無いし、何の接点もんない。どうする?嫌なら断る」


会いたくない。でも、ここで断ってもまた何かしらの動きをしてくるだろう。


「御義父様?」


「何だ?」


いつものようにハザードが、静かにお茶を入れてくれた。


「ヨークシャー伯爵家には、何かをされたのですか?」


「いいや。ヨークシャー伯爵家にしてもサヴォワ伯爵家にしても、何一つしていない。ただ、ヨークシャー伯爵家はサヴォワ伯爵家とはグリニジの誕生日以来断絶している。2人の婚約も解消された。まずもって、我々を招待するのであれば、サヴォワ家は呼ばんだろう。火に油を注ぐ行為だ。ご子息が何をしたのか、理解しているようだ。さて、どうする?」


意地悪な顔をしますね、御義父様。あえて、サヴォワ伯爵家の名を出す所が。


という事は私に嫌がらせするつもりではなく、謝るつもりなのだろう。


御義父様が何もしていないのなら、納得するまで、また、会おうとするだろう。


確かに、御義父様を招待している時点で、サヴォワ家は呼ぶことはしないだろう。まさか、喧嘩を売る??


ん??


いや、ないな。ルーンの性格はよく知っている。自分から波風立てる人ではない。


ただ、自分の意思が弱いと言うか、人の意見に左右されやすい。


「行きます」


「許すのか?」


また、嫌な事を聞きますね。


「いいえそれは有り得ません。私ならともかく、御義父様を侮辱したのですから、絶対に許しません。だから、二度と私に、いいえ、ウインザー家に関わらないで、と伝えます。サヴォワ家と同じです。もう、あの2つの家とは関わり合いたくない」


絶対に、許さない。


だから、静かにしていて欲しい。


「宜しい。では、返事をしておこう。今回はグリニジにも招待状が届いている。薄いながらも、取引があるからな。お前が行くと言うなら、オーリュゥンも連れていくと言っていたから、一緒にいなさい。何かあってはいけないからな」


「はい、御義父様」


それは助かる。ルーンの誕生日なら、サーシャーの友人も、勿論私の知り合いもいる。


知ってはいた。


私には、友人という友人がいない事を。


皆シャーサーに横に私がいたから仲良くしてくれただけ。


あの頃はそれで良かった。


シャーサーがいるから私が存在価値がある、と思っていた。


でも、私は今は、ウインザー家の娘だ。


シャーリー・ウインザーだ。


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