表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

52/65

他人

朝目覚め、自分がウインザー家にいるととても安心した。


食堂に行くと、御義父様だけだった。


「おはようございます、御義父様」


「おはよう、シャーリー」


「ノーセットはどうしたのですか?」


「今日は朝の当番とかで朝早く出かけたよ」


「ギリギリまで寝てましたから、大慌てでしたけどね」


ため息混じりにハザードが言う。


「座りなさい」


「はい」


座るとハザードがすぐに朝食を、準備し始めた。


「カルヴァンは必要なものがあるからと、昨夜自分の屋敷に取りに行き、明け方戻ってきた。今は寝ている。起きたら、挨拶しなさい」


夢では・・・なかったんだ・・・。


「カルヴァンはお前を心配している。それは、私もだ。いいか、シャーリー、私はお前がどのように冷遇されていたのかを知っていて、養女にした。つまり、情けがあったからだ。だから、諦めなさい」


「・・・え・・・?」


「私と出会い、娘になったことを」


「・・・御義父様・・・?」


「仕方ないだろう?これが必然だったのだ。お前は、私の娘になる為に産まれてきたんだ」


優しい言葉。優しい気持ち。


「・・・でも・・・私のような・・・何も出来ない娘は・・・後悔します・・・」


シャーサーは、誰が見ても、いい娘だ。


「さて、それは誰と比べてかな?我が家にはお前以外にはノーセットしかいない。ノーセットと比べたら、シャーリーはとてもよく出来ている」


「・・・御義父様・・・?」


「私はお前達を比べるとことをしたことは無い。そんなに、赤の他人と比べたいのか?」


仕方なかそうに微笑みながら、核心でありながら、私の気づかなかった、赤の他人、という言葉を当たり前に口にした。


とても、体が軽くなった。


・・・御義父様・・・。


「親バカかもしれないが、私にはお前達が勿体ないくらいの素晴らしい子供だ。他人と比べても、まだ余るほどの。全く、朝から泣くなど、時間が勿体ないぞ。いつもお前が言うだろう?美味しいものは暖かいうちに食べるのが当たり前。冷めては不味くなる、と」


「・・・ええ・・・ええ・・・御義父様。その通りでございます。料理は暖かいうちに、それも、出来たてが1番です」


涙を拭き、御義父様に微笑んだ。


「では、頂こう」


「はい、御義父様」


少し冷めたパンやスープだったけれど、とても美味しかった。


その後、カルヴァン様が目覚めた様で、ご挨拶に行った。


「おはようございます、カルヴァン様。昨日は・・・見苦しい所を見せてしまい、申し訳ありません。ですが、もう、大丈夫です」


御義父様の言葉が私の気持ちを、とてもスッキリさせた。


私が部屋に入ると、ソファに促され、前に座った。


「・・・シャーリー・・・?いや、分かっている。俺が、シャーサーを見て、あまりに似ていたから名を呼んでしまったことは、つい、という言葉では許されない事を」


ん??いや、そんな事は私は別に気にしていない。


だって、確かにシャーサーはとても私には似せていた。髪だけでなく、服装も私好みだった。


私でさせ、理想の私がいる、と思った程だもの。


だからそんなに必死に言い訳しなくても大丈夫です。


「カルヴァン様・・・私は別に気にしていません。・・・それよりも」


「いや!それでは俺の気がすまん。何か贈り物でも」


「・・・いえ・・・だから・・・」


そんなものいらないって。立ち上がらなくてもいいです。


「そうだ。あまり宝石とかつけていないな」


隣に座ってくる。


「だから、いりません」


「宝石商を呼ぼう。シャーリーに似合う首飾りを」


「いりません!!人の話を聞きなさいよ!!前から思っていたけど、勝手に喋るのやめてくれる!?私は気にしてないし、宝石もいらないし、ともかく何もいらない!!そんなにあげたのだったら、自分で買えば!!」


「・・・わかった・・・」


私の剣幕に、驚き頷いた。


全くこの人本当に真面目すぎて、面倒な人だな。


「仕方ないですね。そんなに気になさるのなら、今回は許してあげますよ。でも、次はありませんからね」


「・・・ありがとう・・・。約束する」


ほっとしたように言うと、カルヴァン様は笑いだした。


「いつものシャーリーだな。何だが会うといつも怒られているような気がするよ」


「そうかもしれないですね」


顔を見合せ笑った。


「お仕事の邪魔になっては申し訳ないので、私は昼食の準備をしてきます。何か食べたいものありますか?」


「作ってくれるのか?」


その餌を貰えるような、キラキラの瞳・・・。なんだか、弱いな。


「希望があればどうぞ」


「そんな事を聞かれたことがないからな・・・」


そうでしょうね。勝手に出てくるからね。


「では、適当に作ります。嫌いなものはありますか?」


「いや、ない」


「分かりました」


部屋をでて、厨房に向かった。


「お、何だ?今日は昼飯を作るんですか?カルヴァン様が来られてますからね」


さすが料理長、察しがいいですね。


「ですね。まあ。あるもので作ろうかな、と」


ゴソゴソと残り物をみながら、ハッシュドポテトがあったし、魚の白身が少し残っていた。。


定番だが、サンドイッチと行きますか。


ハッシュドポテトに塩コショウをし、ハムの上にのせる。ハッシュドポテトの上にチーズを乗せて、その上にハムをのせる。


あとは、白身魚の骨がないかを確認し、その2つに、かるく塩コショウをふり、馴染ませる。


「今日は楽だな。ご自分で昼食作らるのなら」


料理長、その考え方どうかと思うよ。


白身魚に小麦粉、卵、パン粉を付け、揚げます。


よし、いい感じ。


さて次は、サンドイッチ用のパンにカラシとタルタルソースを塗り、揚げた白身魚とハムとレタスを挟み、半分に切り、出来上がり。


あとは・・・。


サラダと、スープか。


「料理長、朝のコーンポタージュ残ってます?」


「残ってるよ。温めようか?」


「お願いします」


その間にサラダを準備した。


カルヴァン様は美味しく食べてくれ、お土産というか、前に言っていた揚げ菓子を渡すと嬉しそうに夕方帰られた。本当なら御義父様にお会いしたかったが、やるべき事がまだあるようで残念そうに帰っていった。


御義父様が帰りその事と、今日のことを伝えると、何だ、シャーリーの餌付けが一人増えたな、と笑われた。


どういう意味ですか?


誰も餌付けしてるつもりはありません。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ