おつまみ7
鶏むね肉1枚を用意します。
「お?珍しいな。肉か」
料理長の言葉をききながら、鶏むね肉の皮を剥ぎ、皮無しむね肉に塩コショウします。
「はい。むね肉は脂肪も少ないし、あっさりですしね」
「で、その皮は?」
お、そうだ。よく良く考えればここに暇している人がいつもいるな。
「では、料理長この鶏皮を1口大に切って、塩コショウして下さい」
「へっ!?俺か!?」
急に声をかけられ大きな図体の割には、可愛いくらいに慌てだした。
「では、お願いしますね」
「お、おう!」
良かった。皮って切りにくいんだよね。
お酢に卵黄に塩、油を準備します(ようはマヨネーズです)。
お酢、卵黄、塩を混ぜ、最後に油を入れマヨネーズの出来上がり。そのマヨネーズと、お味噌、レモンをお肉に馴染むように揉みこみます(現実ではビニール袋に入れて揉んでください)
それを10分程置きます。
「切らんのか?」
そのままのむね肉に下味をつけたので中まで染みるのか?と心配なんだろう。
「どっちでもいいです。確かに切った方が味がしみますからね。でも、ソースを用意するので、好みかな?」
次にソース。粒マスタードにマヨネーズを混ぜて出来上がり。
「そのソースなんでも合いそうだな」
「そうですね普通に野菜のディップでもいいですよ」
さてそろそろお肉いいかな?
「あ、その皮パリパリに焼いてください。出てきた油を拭きながら、パリパリにですよ」
「おう、任せとけ」
得意げに言いますが簡単ですけどね。
さて、鶏ムネ肉を1センチくらいのそぎ切りにしていき、中火で焼いていきます。薄いのですぐ焼ける。
焼きあがったら、お皿に乗せ、ブラックペッパー(味付きソルトなどでもいいです)、パセリを散らし、出来上がり。
「これくらいか?」
皮の焼き具合を聞いている。
見ると、これまた好みなんだけど、皮の内側が少しぷるんと残っているのが好きな人と、全部油を出して、パリパリにる方が好きな人といる。
御義父様は・・・?でも、むね肉がさっぱりしてるから、今のぷるんが残っていた方がいいかな?
「はい、それでいいです。最後にもう少し塩コショウして下さい。焼いている間に落ちているので」
「わかった」
料理長が火を止め塩コショウをし、軽く混ぜた。
「はい、それで出来上がりです」
1口パクリ。
うん。いい味だ。
「あ!!待って!!!!それは御義父様のです。あとは自分達で作ってください」
「えー。少しくらいいいだろ」
ダメですよ。全く油断も隙もないんだから。
さっさとワゴンにのせ、御義父様の部屋へ向かった。
「先日街へ行った時、騎士団の者に声掛けられたらしいな」
「はい」
「あら、これとても柔らかいですね」
いつの間にか、ハザードも仲間になり食べるようになっている。
「美味い」
ありがとうございます、御義父様。そのお顔がとても嬉しいです。
「オーリュゥン様が助けて下さったので、問題なかったです」
「えらくオーリュゥンが皆を叱っていたぞ。見ず知らず子女性に声をかけるとは騎士団としての意識はあるのか、とな」
「でも、お休みであれば、自由ではないのですか?」
「そうだが、シャーリーに声をかけた事が問題なんだ」
「偶然ですよ」
「だが、噂になってるぞ。綺麗なご息女ですね、と。私も鼻が高い」
「・・・それは、どうかとは・・・。でも御義父様にご迷惑でなければ嬉しいです」
「謙虚も宜しいですが、もう少しシャーリー様はご自分のご容貌を理解した方がよろしいですよ。ご自分が思っているよりも、お美しいのですから」
「まあ、そんな事をシャーリーに今更言ってどうする。気にしてないようなのだから。それよりも、オーリュゥンはどうだっのだ?」
ああ、そこを聞きたかったのですね。
「・・・まあまあ・・・ですか?」
御義父様が指導している手前、この方も面倒な方だとは言いづらい。
「まあまあか。シャーリーが言うと、面倒な人だ、と取れる顔をしているな」
苦笑いしながら、当てられてしまった。
「・・・すみません・・・」
「いや、いい。この2人でなくともいいのだから」
優しく微笑みながらも食べる事も飲むことも忘れていない、御義父様だ。