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オーリュゥン様と街へ3

「お嬢さん。一緒にお祭りを楽しまない?」


1人が笑いながら聞いてきた。


見る限り、庶民ではなさそうだ。背筋が伸び、服も質のいい生地を着ているし、言い方もきちんと教育された物言いだ。


「そんなに怯えなくても大丈夫。誰と来たの?」


「・・・あの・・・連れがいるので・・・」


嘘ではない。


「家族でしょ?少し話そうよ」


少し近づいてくる。


少し下がる。


「じゃあそれを食べたら少し歩かないか?」


ん?


2人の間から見える。


「・・・あ、あの・・・、そこに・・・、連れが・・・」


ガン!!


ガン!!


「お前ら何やってる!!休日にいつもこんな事をやってるのか!?その女に気安く声をかけるな!!」


「わっ!!イエーガー様!!」


「な、なんで!?」


2人のおののきに、ああ、騎士団の方か、と思った。


「え!?じゃあイエーガー様の婚約者とかですか!?」


違います。


「いつの間にそんな人が出てきたんですか!?」


いや、出来てません。


「・・・そんな恐ろしい事口が裂けても言えんわ。そこにいる方は・・・ウィンザー様のご息女だ」


「え!?」


「まじですか!?」


2人が驚き、ずさっ、と後ろへ下がった。


あからさまにそんな怖がられると、どうしていいのか分からないが、御義父様が尊敬されている、と言うのは3人の瞳を見て理解出来たから、嬉しかった。


「・・・はい。シャーリー・ウィンザーと申します。では、お邪魔のようなので、失礼します」


早く逃げよう。冷めたら美味しくなくなるし、ノーセットが一人になってるから、席がなくなってないか心配だ。


軽く微笑みを会釈し、その場をさった。


知らない人と喋るのは苦手だし、それよりも冷めちゃう!!


「ちょっ、シャーリー!!」


オーリュゥン様の慌てた声が聞こえ、私についてきた。


「お話はよろしいのですか?」


「・・・話なんかある訳ないだろ。シャーリーが絡まれていたから助けに行ったら、あいつらだったんだ」


「そうなんですね、ありがとうございます。ノーセットお待たせ。さ、どれにする?」


座り、袋を広げる。


「色々ある!!」


「・・・シャーリー、食い気か・・・?もう少し・・・立場とか・・・自分の容貌とかを・・」


「あのね、これが普通のじゃがいもで、これが牛肉で、これがコーンで、これがかぼちゃで、これがクリーム。全部食べれるように半分に切ってもらったから、食べよう。ね、ノーセット、オーリュゥン様」


ん?何故だろう?


オーリュゥン様が諦めのようにため息をついているのは??


ん?


この2人は誰だっけ?なんか増えてる??


良くかわからなかったが、とりあえずコロッケです。


やっぱりコーンは季節がズレてるから、正直美味しくなかった。甘みが足りず、皮が固くて、すこし残念な味だった。


でも、かぼちゃコロッケは期待通り!!


香りもいいし、何よりも、厳選され熟したかぼちゃを使用してるみたいで、かぼちゃ本来の甘みがじゅわあああ、とひろがった。

もちろん、かぼちゃのホクホク感は残っますよ。それも、大ぶりに切ってふかしているみたいで形も皮も残っていて、とても満足です。


クリームコロッケは、びっくりするくらいトロトロで、クリーミーで美味しかった。生クリームの味もして、これ、露店か!?と思うくらいだった。


幸せ・・・。


「お前ら帰れ。いいか、今回ウィンザー様に許しを頂き私はここにいるんだ。許しを得ず勝手にご息女であるシャーリーに近付くということは、ウィンザー様に楯突くという事になるんだ。いや、別にそれで、構わん、と言うなら、私も止めん」


「帰ります!」


「お邪魔しました!」


それはそうでしょ。そう答えるでしょ。オーリュゥン様の捲したてる言葉の内容もそうだが、顔が怖いもの。


2人は一目散に去っていった。


「あの、ついでにオーリュゥン様も帰らないのですか?」


「何故が私が帰る!」


ええ、そんな睨まれても・・・。何故って、帰って欲しいからに決まってるじゃないですか。


「シャーリー、僕喉渇いた」


口をナプキンで拭きながらノーセットが言った。


睨んでくるオーリュゥン様から逃げるように立ち上がった。


「果汁とか果物見てみようか。ないのだったら、喫茶店に行ってもいいしね。私喫茶店に行くの久しぶりだから」


「・・・そうなのか・・・?」


ああ、またその顔ですか。


憐れむような、寂しい顔で、カルヴァン様と同じ顔でオーリュゥン様が私を見る。


「この街の喫茶店に行った事がないのです。前に住んでいた街では行ったことありますよ」


嘘ではないが、嘘でもある。変に心配をこの方たちにかけたくない。


「あ、ああそうか」


明らかにほっとした感じが、この人も悪い人ではないな、と思った。


「僕、露店がいいな。喫茶店はいつでも行けるけど、今日はお祭りなんでしょ?」


ワクワクと目を輝かるノーセットにオーリュゥン様も楽しそうな顔になった。


「私も賛成だ。見回りで街を見ることがあったが、こんな露店で何か食べる事なんかなかったからな」


「じゃあ行きましょう」


これ以上の説明はしない方がいい。貴族で産まれた時点で、庶民とは違う。それは、住む場所だけではなく、食べる物も違う。


自分で知るのが1番だろう。



お祭りだ!

というのを感じたのは移動サーカスの大きなテントを見て実感した。

ただ残念ながら、チケットは全て完売だった。

ちぇっ。見たかったなあ。


「主催者に私の名前を言えば通してくれる。待ってろ」


へっ!?


「オーリュゥン様、ここは御義父様の領地ですので、僕が言った方がいいのでは?」


はっ!?


「そうだな、では」



「ま、待って!!!!」


何がそうだな、ですか!?何故私が止める事に疑問を持ってるの!?


無理やり権力を使い入ろうとする2人をなだめ、急いでそこを離れた。


「なんだよ、見たかったんだろ?こんな事大した事ではない」


「そうだよ。シャーリー、凄く見たそうだよ」


「いや・・・そうだけど・・・」


なんか違うって・・・。


「あ、あのね、カルヴァン様を誘って皆で、そう、皆で来ましょう?また、狡いとか言われたら困るからね」


「そっかあ、そうだね」


「それは一理あるな。そこまで考えていなかった。急に決めるのは卑怯だな。さすがシャーリーは周りを見てるな」


いや、そこではないけど・・・良かった、納得してくれて。


その後はまたウロウロしながら、露店を楽しんだ。お土産は、この間買った焼き菓子の中身の種類が増えていていたので、色んな味を買いました。


それと、新鮮魚も売っていたので、生秋刀魚を買った。


今日のつまみは、秋刀魚を焼いてあげよう。






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