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シャーサー目線3


「何よ!何で止めたの!?サーヴァント様と仲良くなりたかったのに!!」


警備ではなく、ルーンが私の腕を引いてきた。


何故こうなったのかさっぱり分からない。サーヴァント様が何故あの書面をしっているのか?

あの人は全く関係ないはずだ。

それも、あの怒りの瞳で、ずっと私を睨んでいた。


その上、


「シャーリーが何故あそこにいるの!?ねえ、知ってるの!?」


俯くルーンに詰め寄った。


「・・・おじさんに聞いてないのか?」


「お父様?ここに来てすぐ離れて会っていないわ。お父様なら、何か知ってるの?何よそんな死にそうな顔してどうしたの?」


「・・・シャーサー・・・僕達の婚約は無くなった。僕の家と君の家は断絶された・・・」


辛そうにぽつりぽつりとルーンは言ったが、意味がさっぱり分からなかった。


「婚約が無くなった?断絶?どうして急にそうなったの?」


「・・・おじさんに聞いたらいい・・・。君といると僕の立場がより危うくなる・・・。元気で・・・」


それだけを、なにかに操られるのようにつぶやくと、どこかに歩いていった。


何なの!?何が起こってるの!?


まあいいわ。お父様に聞いたらわかる事なら後で聞くわ。とりあえずルーンとの婚約が無くなったのであれば、ケイト様を捕まえた方がいいわね。


急いでケイト様を探し、ダンスをしたが、得意のはずがどうしてか上手く踊れなかった。


曲は同じでも速さが違うのはわかったが、たったそれだけなのに、足がもつれた。


赤いドレスが否応なく目につく。


とても優雅にまるで、この場にいるのが相応しいように、踊っていた。


誰かが、美しいとか、綺麗とか、言うのが聞こえる。


歯がゆい。ムカつく。


「気になるの?ウインザー子爵様の所に来た、養女、シャーリー嬢が」


ダンスが終わり、ケイト様が聞いてきた。


「別に。ドレスが派手だからつい見てしまうだけよ」


「今回のイエーガー侯爵様の誕生日は、あの娘の為だと、もっぱら噂だ」


より、苛立ちが募る。


運良くここに来れたから、綺麗に着飾っているだけだわ。


でも、ウインザー家、どこかで聞いた名前だけど思い出せない。


それも奥の方達と知り合い?という事?


あの子は年寄りの養女になったはずだわ。


「何だか似てない?」


「まさか!赤の他人よ。初めて見たもの」


「そう、それなら良かった。あそことは関わりたくないからね。面倒な人ばかりが集まっているからさ」


心底嫌そうに顔をしかめ、ワインを渡してくれた。


「そうなの?」


「頭の古い爺さんばかりだから、僕達若い考えがついていけないみたいなんだ。だから、目をつけられている」


「例えば?」


「シャーサーみたいな若い女性がこういう所でお酒を飲むのははしたない、とかね」


「あら、それは確かに古いわね」


「だろ?そうだ、向こうに友人がいるんだ行かないか?」


「紹介してくれるの?」


「勿論だ。こんな綺麗な女性なら皆喜ぶよ」


「うふふ。上手いわね。行きましょう」


婚約がなくなったんだもの、丁度良かった。色んな方と知り合って、ルーンよりも、素敵な殿方を見つけるわ。私はいつだって、選べるんですもの。


紹介してもらった人達も、とてもいい人ばかりで、上級貴族ばかりだった。楽しく喋っていたのに、お父様が、凄い剣幕で離してしまった。


そこで話を聞くと、シャーリーがどこに養女に言ったのか聞かさ、愕然とした。

お父様も、御義母様も真っ青で、虚ろになっていた。

だから、ルーンがあんな事を言ったのね!


「イエーガー侯爵様にはご挨拶できたの!?」


とりあえず、少しでもつては持たないといけない。その為にここに来たのだ。


「・・・ウインザー子爵様が側におられて近づけん・・・。と言うよりも・・・皆様がご存知のようだった・・・」


「・・・!!」


サーヴァント様の言葉が浮かぶ。


書面。関わり合いを持つことは許されない。


「・・・シャーリーだわ!シャーリーが自分が愚かだから捨てられたのを、逆恨みしているのよ!!あの女に皆が騙されているんだわ!!」


そうでなければなにかもがおかしいわ!!


「あの時の書面の時も、シャーリーが言わせたのだわ!!」


「・・・もうやめなさい・・・。シャーリーの事よりも、これからの事を考えねばならない・・・」


弱々しくお父様は項垂れ、帰ろう、と言い出した。


「嫌よ!それならそれで、ここで私に相応しい殿方を選べばいいじゃない。奥の方々だけが全てでは無いのよ。それにシャーリーがチヤホヤされるのは後ろ盾があるからよ。すぐにボロが出て飽きられるわ」


「・・・あなた・・・シャーサーの言う通りかもしれないです。シャーサーはとても美しいです。もしかしたら・・・」


「・・・そうだな。せっかくここにいるんだ・・・」


2人の顔がやっと明るくなった。


当たり前だわ。サーヴァント様も、すぐに気づくわ。毛色の違う女がが珍しいから気に入っただけよ。それに、あの顔がいいのなら、私の方が明らかに優れている。


そうよ。私の方が綺麗なんだから。


どうして私が負けた気分にならなきゃいけないの。



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