表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

31/65

キャウリー目線2

「キャウリー様!!」

屋敷に帰ると、まだ、私は玄関ホールにいるというのにシャーリーが走ってきた。

不安でたまらなかったのだろう。

息を上げながら、私の側までやってきた。

「さすが、我が娘だな。元気がいいな」

私の言葉に綺麗な赤い瞳大きくさせ、涙をこぼした。

「では、では・・・お呼び出来るのですね。御義父様と」

シャーリーが歓喜に満ちた顔で、私に涙を流しながらも微笑んだ。

胸がぎゅっとなる。

「シャーリー、もう一度言ってくれ」

「はい。御義父様」

知らず笑みがこぼれてくる。

「もう一度」

「御義父様」

「もう一度」

「御義父様」

ごほん、と咳が聞こえ、横を見るとハザードが苦笑いしていた。

「ご主人様もシャーリー様もお喜びのお気持ちは分かりますが、ともかく、ご主人様はお着替えを。シャーリー様は化粧を直しましょう。それに、ご夕食の準備もありますよ」


そうだった。


「シャーリー、夕食は店を予約している。ノーセットと家族3人で、お祝いしようかと思っている」

また、嬉しさに泣いてくれるかと思っている、と。


「夕食!お店でですか!」


どうやら食い気が勝ったようだ。


涙はとまり、今度は目をキラキラさせ嬉しそうだった。

「とりあえず部屋へ向かおうか」

「はい、御義父様」


いい響きだ。


「初めだな、外食するのは」

「はい。先日カルヴァン様との夕食もとても久しぶりだったので、楽しかったのに、こんな、すぐにまた外食出来るなんて・・・夢のようです・・・」

大袈裟な、と思うし、貴族の娘には有り得ない話だが、シャーリーの育ちならいたしかたない。本当に不憫な時を過ごしたのだろう。


それなら毎月連れて行くのも、いやいや、それでは甘やかしてしまうな。


だが、これまでの事を考えると、少しぐらい甘やかしても、シャーリーは変わる事はないだろう。そう言えば、カルヴァン殿と夕食に行ったな。あの時は何とも思わなかったが、娘になると、何故であろう?

「・・・」

スクルトが勧めてきたから、先々の事を見据え、これは良い縁談になると思っていたが、まてまて、そうなると、シャーリーがこの屋敷が去っていく。

「・・・」


それはならん。だが、


「ご主人様!部屋の前ですよ。入らないのですか!?」

「わっ!」

いつの間にか部屋の前に立ち、隣でハザードが怒っていた。


「シャーリー様も声をかけておいででしたのに、ご自分の妄想に浸るのは結構ですが、それは1人の時にして下さい」

「それはすまない。シャーリーは?」

「お部屋に帰りましたよ。夕食の準備がありますのでね」

「わかった」

「では、失礼致します」

忙しいのだろう、さっさと去っていった。


しかたないだろう浮かれるのは。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ