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夜会1

「キャウリーの言うように、可愛らしい子だな」

「本当に。こんな可愛らしいのに、非道なことをするなんて、許せないわ」

「・・・御心配頂き、ありがとうございます」

ミネルバ侯爵ご夫妻が、いや、皆さんがとても怒って下さるから、やはり、お父様がしたことは許されない事だと、痛感する。

そして、心からほんわかしてくる。

今日は、キャウリー様の夜会の日だ。

少ない人数なので、ホールは使わず、サロンで開催している。料理長と相談しながらメニューは決めた。

参加者は予定通りの古くからの御友人の4人の方とその奥様。そして、何故かカルヴァン様だ。

ただ、今回の御友人達の正式な名前を知っておこうと思いキャウリー様に聞くお、何故だか意地悪な顔をされ、当日ね、と教えてくれなかった。

仕方なくハザードに聞くと、とても、嫌な顔され、


そんな意地悪するなんて子供じみてます!


と言われ、ハザードが優しく教えてくれた。


が!!


まじですか!?と言う名前と役職ばかりが連なり、それを教えくれないキャウリー様が確かに意地悪に見えた。

まず、よく聞くスクルト様が、


スクルト・サーヴァント公爵様。

宰相だ。

次に、

ウイニー・ミネルバ侯爵様。

祭祀大臣だ。

次に、

ベジット・ギャウカ公爵様。

財務大臣だ。

次に

グリニジ・イエガー侯爵様。

法務大臣だ。


全ての方が王宮の役付きで、空いた口が閉まらないとはこの事だ。キャウリー様って凄い!!と素直に思ったが、


結果的に友人が凄い人になっだけだ、


と、キャウリー様なら、言うな。あの方はとても謙虚で、とても暖かい。

よく、昔からの友とか、戦友とか、口にしていたので、共に戦場で戦った人なのだろう。

不思議な人だ。ここに来た時から、私を伯爵令嬢として扱い、それを配慮した召使いへの指示。

一線置きながらも、たまに踏み込んでくる心地いい距離感。


まるで・・・理想のお父様の様な人だった。


そんな気持ちになる自分に、いけない気持ちだと振り払っていた。

「このような場に、私の様な新参者を招待して頂けるとは、至極光栄でございます」

見てわかる、社交用の微笑みを貼り付け、キャウリー様にカルヴァン様が綺麗に礼をした。

とても、紳士的で、見本のような貴族だ。

初めて会った時は相手をするのに忙しく見ているようで見ていなかったが、軽いくせっ毛のある赤茶色の髪に、青い瞳で綺麗な顔立ち。

正装の姿での微笑みは、キャウリー様の言うように女性との噂がたたないのは不思議な程素敵だった。

立場も、見栄えも申し分ない。


きっと・・・シャーサーなら釣り合い見目麗しい恋人同士に見えるだろう。


ずん、と胸が重たくなった。

「シャーリー?何処に行くんだ?」

名を呼ばれはっとする。

無意識に、壁の方へ歩いて行っていた。

「・・・カルヴァン様」

「何だその顔は。心配しなくても、話は聞いている。そんな悲しい顔するな」

微笑みながら、私の手を軽く摩り、近づいてきた。

「・・・見違えた。街で会った時と、全然違うだろ・・・」

ボソリと切れ切れに耳元で囁いた

顔が熱くなる。異性とこんなに近くにいるなんて、ルーン以外になかった。いつも、シャーサーの側に殿方は集まり、私はお情けでルーンの側にいただけだ。

それに、今日はキャウリー様が仕立て屋に頼んだ、1番いいドレス。薄桃色の軽くて綺麗で、私には勿体ないと言ったが、キャウリー様がシャーリーの為にあつらえのだから、シャーリーが着るしかないよ、と言ってくださった。ドレスに合うように、と髪型や化粧をハザードがしてくれただけだ。

大して変わっているとは思えない。


あ、背筋は伸ばしなさいと何度も怒られたから、気をつけておかないと。


あの家にいたからなのかいつの間にか猫背で、下を向く癖がついていた。


「・・・ドレスを着ているだけで、それ程変わりは、ありません」

「そう言う事にしておこうか。なにか食べようか」

手を擦るのやめ、私の前に差し出した。

「はい」

その手に手を置いた。



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