街へ1
あ!!ヤマメの塩焼きだ!!
綺麗に串焼きにされ、パタパタとうちわを仰ぐとまた、煙と一緒にいい香りが流れてくる。
「シャーリーどこ行くの?」
フラフラと匂いの方へ引き寄せられる。
「ノーセットはいる?ワンも食べるでしょう?」
「勿論です」
護衛のワンは即答だった。
「え!?これを?」
ノーセットは酷く驚き、私とヤマメを見比べ、私を見た。
「私は食べるよ。どうする?」
「じゃあ・・・僕も・・・」
おずおずと返事を確認して、待ってて、と2人に声をかた。
「おばさん、3本下さい」
「はい、どうぞ」
クシに刺されたヤマメを3本渡してきた。
「ありがとう、これお金」
「はい、ありがとさん」
「ノーセット、あそこで座って食べよう」
「・・・うん・・・」
とても不安そうなので顔で私についてきた。
約束の週末になり、一緒に街に散歩がてら、蛙取りにやってきた。
やっと知ったが、私の屋敷からキャウリー様の屋敷までは2時間もかかる場所だった。馬車に乗ってやってきている間は、とても不安で、時間も、その景色も見る余裕もなかったが、結構遠い。
だが、王宮にとても近く、キャウリー様の屋敷は位置的に、貴族の屋敷が集まる一角に建てられている。
その場所は一等地となり、王宮に関係のある方々か、もしくは上級貴族達が集まる、と聞いた覚えがある。
益々キャウリー様がどんな方か不思議に思った。
だからこの王宮に最も近い街は王宮に、国1番の巨大な街だから、とても賑わっていた。
街に出るならと、少しお金まで貰って、私たちの護衛であるワンと一緒に来た。
「はい。どうぞ」
私とノーセットは椅子に座り、ワンは護衛なので立ったままだ。
ノーセットはとても訝しそうにヤマメの串焼きをと私を交互に見た。
その挙動不審が可愛かった。
当たり前か。
貴族が露天の物を口することも無く、買うことない。だって、何が使われているか分からない上に毒味もされてないものを口には出来ない。だから、貴族御用達の喫茶店にいくものだけど、私は、その喫茶店なんて、お母様が生きていた頃に数えるぐらいしか行ったことがない。
逆にお姉様の頼まれて街に品物を取りに行ったり、食材の買い物を来ることが多かったから、露天の食べ物ほうが口にすることが多かった。
だって、あの家にいる限り私の口に入るものは少なかった。
だから、街へ出かける時は、ウィッグがお金を持たせてくれて、こうやって露天の食べ物を食べていた。
「さ、食べよう」
「はい。美味い!!」
ワンはもう食べている。
私もパクリ。
いい焼き加減に、ほろりと崩れる実が口いっぱい広がる。
いい塩加減で、唾液がでてくるのが、食欲をそそり、また、パクリ。
ううううう!!
美味しい!!
そして、尻尾の部分がまた、いい感じに焼けてて、かじるとパリっ、食感がいい。
美味しい!!
「そこ、俺も好きです」
ワンの言葉に頷いた。
「やっぱり?本当は頭ももう少し焼いてくれたら、頭も食べれるのだけど」
少し足りないな。
「通ですね。でも俺も一緒です」
「だよね」
ノーセットを見ると、いつの間にかパクパクの美味しそうに、食べていた。
良かった。
私とワンは先に食べ終わり、すこしこぼしながらも一生懸命に食べるノーセットが微笑ましかった。
「ふう。美味しかった!!こんなの食べたこないよ」
「ふふっ。良かった。今日どうする?蛙取りは次にして、食べ歩きするか、それとも蛙取りに行く?」
「勿論!!食べ歩き!!!」
はい、と元気よく手を上げるノーセットに、おしっ!と思う。
「では、次は甘いもの食べよう。あれにしよう!」
「なに?」
「揚げ餅だよ」
「また、いいチョイスですね」
「揚げ餅?」
「待ってて」
私はまた3つ買って戻ってきた。
「はい」
「何?」
「揚げた餅だよ。あまじょっぱくて、美味しいよ。冷めると固くなるから早く食べたい方がいいよ」
そう言いながら私は、
パクリ。
サクッ。
じゅわあああ、とあまじょっはい味が口に広がり、それでいて後を引く少しピリ辛で、揚げたところはサクサク、でも中の少しとろりとしたところが混ざって、
うまっ!!
です。それも、ちょうど揚げたてを買えたのも、ラッキーだった。
幸せ・・・。
「シャーリーってば、本当に美味しそうに食べるよね」
「本当に。見ててこっちが幸せになります」
「だって、美味しいもの!」
私の顔を見ると何故か2人は急いで食べだし、ほおおおお、と満足気な顔をした。
そうそう、それだよ。うまうまだもん。