ルーン目線2
「父さん、サーヴァント公爵様におじさんが夜会に招待されたらしいのだけど、そこに招待された人達を調べる事出来る?」
夕食時、父さんに聞いてみた。
招待された人達が分かれば、誰かは知り合いがいるだろう。そこからシャーリーが何処にいるのか調べれるかもしないと思ったからだ。
「この間の夜会だろ。ナバラが招待状を自慢気に見せに来た。だが、これであいつがサーヴァント公爵様に気にいられれば、私にも運が向いてくる」
「確かに。父上とおじさんは仲がいいから、橋渡ししてくれかもしれないな」
父さんと兄さんが嬉しそうにするが、僕が聞きたいのはそれでは無い。どうも話が外れてきそうな予感だったから、急いで話をした。
「父さん、シャーリーがおじさんのトランプの賭けに負けて、その支払いの為に働いて返す、と言って誰か知らない所に働きに行かされているみたいなんだ。調べて貰いたいんだけど」
「・・・え?」父さん
「なんだそれ?」兄さん。
「・・・信じられないわ・・・」母さん。
「そうだろ?早く助けてあげたいから、調べて欲しいんだ」
「やめろ」
兄さんの吐き捨てるような、バカにするような、嫌な言い方に、戸惑った。いや、部屋の空気が和やかな空気から一変冷たくなった。
「・・・兄さん?」
知らず声が震える。
「どうせ、手篭めにされてる。元々、お前は何で、シャーリーなんだ?あんな愛想の悪い、陰気な女の子がどこがいい?」
何を言っている・・・んだ・・・?手篭め・・・?
「そうだ。前々から思っていたんだ。いいか、ルーンお前は次男なんだ。つまり、跡取りにはなれん。それなら、爵位ある家に婿養子で入る事が望ましい。つまり、シャーサーと婚姻を結ぶのが望ましいんだ。あれは、誰が見ても綺麗で申し分ない愛想の持ち主だ。それに比べシャーリーを選んでしまったら、お前は分家となり、爵位もない。つまり、我が家にとって役に立てないという事だ」
「いや・・・でも・・・父さん、そんな事ないよ」
「ルーン私も父上と同じ気持ちだ。ましてや、今回シャーリーはその男の所に行って帰ってないんだろ?普通なら、屋敷の主が何がなんでも返してるはずだ。それが無いという事は、そう言う事だ。そんな穢れた女と結婚してなんの得がある」
違う!
と言いたかったが、それを証明する証拠もなく、もしかしたら、という不安が浮かんでしまい、言葉が上手く出なかった。
シャーリーはそんな軽々しい女性ではない。近くにいた僕が1番知っている。
けれど、シャーリーの意思と反して、相手はどうなのだろう?
シャーリーは見かけは確かに暗く陰気に見えるが、シャーサーと双子。持って生まれた美しは変わりはしない。僕は知っている。でも、それを知るのは僕だけでいいんだ。
しかし・・・気づくものをいるだろう・・・。
ゾッとした。
「ルーン。よく考えろ。お前の将来と、この家の将来を考えた時、何がいいのか」
父さんの言葉が重くのしかかり、それ以上何も言えなかった。




