表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/65

ルーン目線1

「いない?どこへ行ったんだ?」

「・・・それは・・・少し、説明しずらいというか・・・」

金の綺麗な髪をクルクルさせながら、言いにくそうにシャーサーが言うが、いつものようにつまらなさそうだ。

双子でありながら、2人があまり仲良くないのは知っている。

僕の前であからさまなら態度をとる時もある。本当は言いたいが、いつもシャーリーがやめて、と言うから言葉を飲み込んでいる。

最近シャーリーに会ってかなかったら来たものの、屋敷に来てすぐに、何故かシャーサーの部屋に呼ばれソファに座らされ。

シャーリーは?

と聞くと、そんな答えが帰ってきた。

「何があったんだ?病気か?」

「違うわ。あのね・・・、お父様がこの間、サーヴァント公爵様の夜会に招待されて行ったのだけど、そこで嫌だって言っているのに、賭けのトランプをさせられて、負けてしまったの」

それはないなだろう。おじさんが賭け事を好きなのは知っている。それは、2人からよく聞いていたのに、何故そんな嘘をつくんだ?

どうせ自分からやりたいと言ったんだ。

「それが、シャーリーに関係があるのか?」

シャーサーの目が楽しそうに変わった。

「ダメよ、と言ったのに、あの子ったら真面目でしょ?自分から、私が働いて返すわ、と言ってきかないの。それで、その家に今働きに出てるの。あ、でも心配しないで。ちゃんと様子は毎日見に行ってるわ」

「いつからだ!?何故そんな事平気でさせるんだ。おかしいだろう!?」

「先週の話よ。だから、心配しないで。毎日見に行ってるから。毎回帰るように言ってるんだけど、言うこときかなくて・・・」

困ったものだわ、もいいながらも、他人事にしか聞こえない。

「何処なんだ?僕が言って連れ戻りしてくる!」

「そうね」

甘い声を出すと、ぼくの横に座ってきた。

「ルーンが言ってくれたら帰ってくれるわ。でも、もう少し待って。納得しないと帰らないわよ、あの子は」

より、僕に近づき上目遣いで、手を握っててきた。

豊かな胸と、綺麗な顔立ち。いつ見ても、素敵だと思う。実際僕の友人達も、狙っている者も多いから、幼なじみを妬む声を聞く。

だが、僕にとって、シャーサーはただの幼なじみにしか見えなかった。

「確かにシャーリーは、何でも自分が納得するまでするからね。でも、やはり、普通じゃない。とりあえず何処の家に行ったか教えて貰える?」

「お父様しか、知らないのよ」

また、嘘だ。さっき毎日行っているのに帰らない、と言った所なのに。という事は、様子を見に行ってないな。

「そうか・・・だが元気なんだろ?」」

「勿論よ」

ふうと溜息をつき、握ってきた手を外した。

「僕、帰るよ」

シャーリーに会えないのならここに来た意味がない。それに、父さんに聞いたら、シャーリーが何処にいるか知っているかもしれない。

立ち上がると、また、手を繋いで引き止めるように悲しい顔になった。

「待ってよ、もう少し話をしたいの。別にシャーリーがいなくてもいいでしょ。私は2人っきりでもっと色々は話をしたいの」

「シャーサー、その言い方はやめた方がいいよ。僕だからいいけど、他だったら誤解するから」

変な期待を持ってしまう、この距離の密着感と、潤んだ瞳。

「ルーン以外にはしないわ。どうしてそんな意地悪言うの?」

よく言うよ。何かを男性に頼む時によく見る光景だ。だが、それが女性の武器なのも分かっているが、悪いが興味が無い。

「ねえ、お願いがあるの」

甘える声に、面倒だと思いながらも、何?と答えるしか無かった。

「これ・・・」

テーブルに乗っている、2枚の演劇のチケットを指さした。わざと無視し、このまま帰ろうと思っていたが、そうもいかないのか。

「ねぇ、一緒に行きましょうよ。本当は・・・シャーリーと一緒に行くつもりだったのだけど、来週なの。珍しくいい席がとれて・・・1人で行くのは寂しいし・・・」

「シャーリーが帰ってくるかもしれないだろ?2人で行っておいでよ」

「でも・・・もし帰ってこなかったら・・・?そうしたら一緒に行ってくれる?」

「僕よりも、シャーサーと行きたい男性は沢山いるだろ?その人達を誘ってあげれば?」

「・・・酷い・・・わ・・・。私・・・、そんなの・・・嫌よ・・・。ルーンと・・・行きたいの」

急に悲しそうに泣き出した。こうなってしまっては、男の負けだ。

分かった・・・、今回だけだからね、と約束してしまい、どうにか席を立った







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ