朝ごはん
「おはようございます、料理長」
私の挨拶にとても不機嫌そうに、仁王立ちで立っていた。
「・・・はよ・・・」
不機嫌、まさに、ぶすりと睨みをきかせながら返事された。
思い当たる事は1つしかない。昨夜の事だ。フライパンも使った食器も全部綺麗に洗い、布巾で拭き、元あった場所に帰したが、そんなのは問題でないだろう。
こういう人は、何か一つ少しでも動いていればすぐに勘づく。
ましてや、キャウリー様からの一筆の置き手紙は無くなっている。それも、気に食わないんだろうな。
自分の手伝いをしてくれるのは喜ばしいが、勝手な事をするのは、癪に障る。
こういう時は、間違いなく、
「すみません!!」
「なんで!俺にも食わせん!!」
「・・・へ・・・?」
思っていた言葉じゃなかった。
「聞いたぞ!酒がすすむ1品なんだろ!!なんで俺がいる時に作らん!!」
「はい!?」
そこですか!?凄い顔怖いんですが。
「あ、あの・・・勝手に食材を使ってしまったのは・・・」
「はあ?美味いものが食えるなら問題ないだろ。足りなきゃ買えばいい。キャウリー様はそんなケチじゃねえ」
「・・・はあ・・・。では、作りしょうか?」
「おう!酒屋で出来そうなやつなんだろ!!」
ワクワクと今度は顔をゆるませ、また、犬のまて、で横にたっていた。
誰かに作って、と言われるのは何て楽しいんだろう。勝手に頬がほころんできた。
私が作っている間に、皆は朝食、昼食の準備をしていた。
本当はそっちも見たかったし、手伝いたかった。
作り終わり、お皿に盛ると、皆がわらわらと集まり、昨日と同じようにお美味しい!!言って食べくれた。
食べている時の笑顔は大好きだ。
寂しかったお腹がどんどん満たされ、比例すように気持ちが満たされていく。
また、考えちゃうな。
お母様がいる時はそれが当たり前だったのにいつの間にか、私は一緒に食事を出来なくなった。
「シャーリー様、そろそろ朝食に行って下さい!!あなた達!!仕事しなさい!!!」
「やべっ!!」
「うわっ!!」
「す、すみません!!すぐ行きます!!」
ハザードの雷に私は急いで食堂に向かい、皆も動きだし、何か背後でカラカラと落とす音もして、大丈夫かな?と心配になった。
「おはようございます、キャウリー様。おはよう、ノーセット」
「おはよう」キャウリー様。
「おはよう」ノーセット様。
もう三人分の朝食がテーブルに並んでいたので急いで私も座った。
焼きてたパンにオレンジ色のいい卵を使っまてます!と主張してくる、ふわふわのオムレツ。
色とりどりの野菜に、絶対こだわっているきらきらドレッシング。
うわあああ。
「頂きます」
揃っての挨拶後、すぐに、フォークを取った。
とりあえず先にサラダを食べる。
うん。美味しい。
ドレッシングから色々なカット野菜が見える。
次はトマトソースのかかったオムレツをパクリ。
「・・・!」
うう!!美味しい!!
バターたっぷりで焼いた卵のとろみが口の中で溶け、少し酸味の聞いたトマトソースがよく合う!
また、カットトマトがいい食感出してる!
卵は、よく混ぜてあるから空気がはいり、ふわふわだ。
コレがなかなか私には出来ない。
そして、クロワッサンも持っただけで、甘いバターの香りとサクッとして、それでいてしっとり感。手にパンくずがついてしまうのが、より、サクサク感を表現している。
美味しい!!
つぎはナッツたっぷりの食パンにいきますか。
うん。美味しい。塩がいい具合にきいてるけど、何かつけても、いける。
ここは、共食い的なはピーナッツバター?それとも定番のいちごジャム?いやいや、いちごジャムだとこのいい感じの塩加減が消えてしまう。またまた定番のバター?
真剣に考えていると、笑い声が聞こえた。
「シャーリーは凄いおいしそうに食べるな」
ノーセットが、目をまん丸に大きくして驚く。
「当たり前でしょ。温かいうちに食べれるなんて、久しぶり、ああ、昨日ぶりね。だって、ここに来るまでまでは」
「シャーリーの言う通り、温かいうちに頂くのがマナーだ。ノーセット今日は珍しく早かったが、朝の着替えが遅かったり、学園の準備を朝からしたり、宿題をしていないとか、そんなことをやっているから冷めて美味しくなくなるんだ」
キャウリー様が私の言葉を遮り喋って気づいた。あえて、ノーセットに私の事を教えないようにしている。
「うっ・・・。だって・・・」
ノーセットは痛いところをつかれ、また、頬を膨らませながらもパンを食べた。
「確かに美味しい!!いつも冷めて固くなってから、なんで、こんなにモサモサしてるんだと思ってたけど、そうか僕が遅いから冷めてたのか」
「やっと気づかれましたか。何度も言いましたがね。でもノーセット様そろそろ出かける準備ですよ」
ノーセットが時計を見て、あっ、という顔をした。
「うん。わかった」
そう言うと、残った朝食を急いで食べて出ていった。