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ポイされました

「・・・もう一度言ってみろ」


さっきも聞きました、その質問。


2度同じ言葉を聞き、益々後ろめたい気持ちになり、顔を見る勇気ももうなく、さすがに俯きました。


「・・・あの・・・何も言わずここで暫くメイドとして働いてこいと言われ・・・降ろされました・・・」


さっきも答えました。


「・・・。お前・・・自分が伯爵令嬢だとわかっているのか?あんな事本気にするのか?」


ガッチリした肉体を持つ白髪のおじ様が、真面目は顔で念押ししてきたが、だって、理由を知らないもの。


でも、はい、と答えるしかなかった。


するとその方は大きなため息と、呆れ顔で、天を仰いだ。




遡ること、たった3時間前です。


私はいつものように、御義母様とお姉様の昼食を準備し、2人が食事をしている間に、お姉様に頼まれている、ドレスの裾のほつれを直していた。


これが終わったら、さっさとお昼食べて、次はお姉様の部屋の掃除をしなきゃ。


昼食後、お茶を飲んでいる間に終わらせないといけない。


そうじゃないと、またお姉様に殴られてしまう。


だめだめそんなの。お姉様を怒られると言うことは、私が至らないからだ。


トロイからお姉様と、御義母様苛立たせてしまうんだ。


お父様も同じように、私を見る度に大きなため息をつき、役に立たないのだから、少し屋敷の手伝いぐらいはできるだろ?と言われ、それからずっと手伝っているが、不手際が多くよく怒鳴られ殴られてしまう。


私、シャーリー・サヴォワは伯爵家の双子の妹として産まれた。17歳。


双子の姉、シャーサーは、5年前に亡くなった綺麗なお母様にとても似て、ふわふわの金色の髪に青い瞳のお人形のような可愛い顔立ちだった。


それに比べ、私は顔立ちは確かに双子でよく似ているが、黒い髪に、赤い瞳の、まるで吸血鬼のようだ、と気味悪がられた。


お姉様のように、気立ても、愛想もなかったから、社交界に出でも、愛想のない、そしてどうやってお喋りをしていいのかも分からない私は、鬱陶しがられた。


だから仕方ないよね。


お父様にしたら、笑えもしない娘は、誰にも紹介したくない。


お姉様にしたら、暗くて愛想のない妹を周りが気遣って声をかけるのを嫌がる。


そんな私だもの、伯爵家に相応しくない、と思われても。


そう・・・仕方ないんだよ。


1年前にお父様が新しい御義母様を連れてきた。とても若くて、綺麗で、3人で並ぶと本当の家族に見え、絵のようだった。


だから、仕方ないよ。


私は、側にいない方がいい。


ぐぐうううううううう、とお腹が鳴った。


お腹すいたな・・・。朝からスープ二口しか飲んでいない。


ダメだなあ。もっと朝食もゆっくり食べれるように、


さっ、


ぱっ、


と、何でも出来るようにならないと。


メイド長のウィッグは私の手伝いをすると、御義母様とお姉様に叱られるから、いつも悲しそうな顔で、口惜しそうに見ているの。


そんな顔させてちゃだめだ。


「ここにいたの!早くこい!!」


急に扉が開いたと思ったら、お父様が部屋に入り、私の髪の毛を掴んだ。


「・・・っ!!・・・・おとう・・・さま!!・・・あるけ・・・るから・・・離して・・・!!」


それでも離してくれず、無理やり引っ張るから、歩きずらくてコケそうになった。その拍子に強く引っ張られ、涙が出た。


連れていかれた場所は、お父様の部屋だった。



ぎゅっと唇を閉め、おずおずと顔を上げると、お姉様と御義母様もいた。


「・・・ごめんなさい・・・。ちゃんと気をつけるわ・・・」


ともかく謝らないと、と心臓が申し訳なさに、とても苦しくなる。


「まあ、いい。お前これからウインザー子爵家にメイドとして暫く行くことになる」


「・・・ウインザー子爵家・・・?」


聞いたことも無い。という事は、親戚や知り合いではない、全くの知らない人だ。


「こい!」


怒鳴り声にビクリと、体が強ばる。


つい、叩かれる、と思ってしまう。


「何も言わず、ただ、メイドとして働いてくればいいんだ!!それくらい役に立て!!さっさと行け!!」


大声を出すお父様に、ひっ、と悲鳴を出し、部屋を出た。


その時、お姉様と御義母様の笑いがとても心に響いた。


ああ・・・さっき変な声出してしまったからだ・・・。なんで、私ってこんなダメなんだろう・・・。


そうして私は着の身着のまま、何一つ持たされず、ウインザー子爵家の前で、


ポイ、


された。

「・・・もう一度言ってみろ」

私の前に座るその方が、言った。

さっきも聞きました、その質問。

2度同じ言葉を聞き、益々後ろめたい気持ちになり、顔を見る勇気ももうなく、さすがに俯むいた。ぎゅっと自分の拳が握られるのが、見えた。

「・・・あの・・・何も言わずここで暫くメイドとして働いてこいと言われ・・・降ろされました・・・」

さっきも答えたが、呼吸がより息苦しく感じながらもどうにか口にできた。

「・・・。お前・・・自分が伯爵令嬢だとわかっているのか?あんな事本気にするのか?」

ガッチリした肉体を持つ白髪のおじ様がソファに座り、私を見上げながら、真面目は顔で念押ししてきた。


あんな事を本気にするのか?


その言葉に心の中で傾げた。

だって、理由を知らないもの。

でも、はい、と答えるしかなかった。

するとその方は大きなため息と、呆れ顔で、天を仰いだ。


遡ること、たった3時間前です。

私はいつものように、御義母様とお姉様の昼食を準備し、2人が食事をしている間に、お姉様に頼まれている、ドレスの裾のほつれを自分の部屋で、直していた。


これが終わったら、さっさとお昼食べて、次はお姉様の部屋の掃除をしなきゃ。


昼食後、お茶を飲んでいる間に終わらせないといけない。

そうじゃないと、またお姉様に殴られてしまう。

だめだめそんなの。お姉様を怒られると言うことは、私が至らないからだ。

トロイからお姉様と、御義母様苛立たせてしまうんだ。

ほつれた場所を綺麗に3つ折りにし、待ち針刺していく。


色は、これが近いかな?それともこっち、かな?


幾つかの候補の糸を出し、ドレスに合わせひとつ決め、針に刺した。

お父様も同じように、私を見る度に大きなため息をつき、役に立たないのだから、屋敷の手伝いぐらいはできるだろ?と言われ、それからずっと手伝っているが、不手際が多くよく怒鳴られ殴られてしまう。


私、シャーリー・サヴォワは伯爵家の双子の妹として産まれた。17歳。


双子の姉、シャーサーは、5年前に亡くなった綺麗なお母様にとても似て、ふわふわの金色の髪に青い瞳のお人形のような可愛い顔立ちだった。

それに比べ、私は顔立ちは確かに双子でよく似ているが、黒い髪に、赤い瞳の、まるで吸血鬼のようだ、と気味悪がられた。

お姉様のように、気立ても、愛想もなかったから、社交界に出でも、愛想のない、そしてどうやってお喋りをしていいのかも分からない私は、鬱陶しがられた。


だから仕方ないよね。

お父様にしたら、笑えもしない娘は、誰にも紹介したくない。

お姉様にしたら、暗くて愛想のない妹を周りが気遣って声をかけるのを嫌がる。

そんな私だもの、伯爵家に相応しくない、と思われても。

そう・・・仕方ないんだよ。


1年前にお父様が新しい御義母様を連れてきた。とても若くて、綺麗で、3人で並ぶと本当の家族に見え、絵のようだった。


だから、仕方ないよ。

私は、側にいない方がいい。


ぐぐうううううううう、とお腹が鳴った。


お腹すいたな・・・。朝からスープふた口しか飲んでいない。


ダメだなあ。もっと朝食もゆっくり食べれるように、

さっ、

ぱっ、

と、何でも出来るようにならないと。


見かねてメイド長のウィッグが私の手伝いをすると、私がノロマのように見せて、わざと手伝わさせている、と私が御義母様とお姉様に叱咤された。それからは、いつも悲しそうな顔で口惜しそうに見るだけになった。だから、なるべく自分の部屋で出来ることはしている。


「ここにいたの!早くこい!!」

急に扉が開いたと思ったら、お父様が部屋に入り、私の髪の毛を掴んだ。

「・・・っ!!・・・・おとう・・・さま!!・・・あるけ・・・るから・・・離して・・・!!」

痛い!

それでも離してくれず、無理やり引っ張るから、歩きずらくてコケそうになった。その拍子にさらに強く引っ張られ、涙が出た。

連れていかれた場所は、お父様の部屋だった。

ぎゅっと唇を閉め、おずおずと顔を上げると、お姉様と御義母様もいた。

「・・・ごめんなさい・・・。ちゃんと気をつけるわ・・・」

ともかく謝らないと、と心臓が申し訳なさに、とても苦しくなり、下を向いた。

誰かと目線を合わせたくなかった。

約立たず、と強い非難の眼差しが分かる顔を見えたから、真っ直ぐに受け止める事が出来なかった。

「まあ、いい。お前これからウインザー男爵家にメイドとして暫く行くことになる」

お父様のゾッとするような楽しそうな声に、寒気が走った。


ウインザー子爵家?


聞いたことも無い。という事は、親戚や知り合いではない、全くの知らない人だ。

「こい!」

怒鳴り声にビクリと、体が強ばった。


叩かれる!


「何も言わず、ただ、メイドとして働いてくればいいんだ!!それくらい役に立て!!さっさと行け!!」

大声を出すお父様に、ひっ、と悲鳴が出て、部屋を出た。

その時、お姉様と御義母様の笑いがとても心に響き、胸が痛かった。


ああ、さっき変な声出してしまったからだ。なんで、私ってこんなダメなんだろう。


そうして私は着の身着のまま、何一つ持たされず、ウインザー子爵家の前で、


ポイ、


された。

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