疑問
朝日を受けて目が覚めた。
シードは太陽とはこうも暖かいものなのかと思った。
夜営の片付けをして二人は歩き始める。
そんな中、シードはリーナに疑問を投げ掛けた。
「リーナ、愛し子ってのは一体なんなのかな?」
リーナは立ち止まらず答えた。
「実を言うと私にも‥ですが、そうですね。
言葉通りの意味なのかもしれません。」
「私両親が居ないんです。
私の産まれる前からエクスクレイム達との戦いがあって‥父は私が産まれる前に‥
そして母も私を産んだときに‥」
シードもリーナの後を追いながら耳を傾ける。
「後から聞いた話なんですが、リアナ様はそんな私を引き取り育ててくれたんです。
その時名前も‥
私のこの青い髪はリアナ様と一緒なんですよ。
だからそうですね。
リアナ様をお母さんと呼んでいた時もありました。
でも私は人で‥リアナ様は神様で‥
でもリアナ様は私を愛してくれていたのだと思います。
」
リーナは振り返り笑顔で
「なんだか照れ臭いですね。」
「さて早く向かいましょう。リアナ様が待っています。」
リーナの足取りは軽く、それに続くシードもそれに釣られた。
「あぁ早く行こう。」
リーナにも疑問はあった。
だがシードに疑問を投げ掛けることはなかった。
リーナにはソルの攻撃なんて見えなかった。
ただの人に神の攻撃を避けることなんて出来るはずがない。
地力が違いすぎるのだ。人と神では。
焼け落ちた洞窟の壁、そんな一撃を‥かすっただけで蒸発するような攻撃のはず。
それを左腕の負傷だけ。
戦いが終わってみればその左腕も負傷はなかった。
だがリアナ様は神ではなく人を連れてくるように仰った。
リーナはシードには聞こえないように。
だが口から疑問が出た。
「シード様 あなたは一体何者なんでしょう?」
もうすぐアルタの平原にたどり着く。
リアナ様は答えを持っているはずだ。
山を下り森を抜ける頃、リーナは足を止めた。
「ここより森を抜けると見晴らしが良くなります。
それは私達にとっても‥他の敵となるものに対しても‥」
シードには武器がない。
ならばここは隠れながら向かうしかないのだろう‥
「私にもある程度戦う術はありますが‥
危険な事に変わりありません‥」
「すまない‥せめて武器さえあれば‥」
シードは申し訳なくなり下を向いた。
「もし‥もし敵に気付かれたのなら私が囮になります。
シード様をお連れするのが私の使命ですので。」
リーナは力強く答えた。
「それだけはしないよ。人を見捨てることは絶対に‥」
シードから出た言葉に嘘はなかった。
だからリーナは驚いた。
嘘ではなく心の底からの言葉だと‥
心に響いたからだ。
それが何故なのか分からないが、リーナは
「すみません‥2人でアルタの平原まで行きましょう!」
2人は森を抜け前進を始めた。
危険な前進を。