坑道の終わり
先程の広い空間を抜けてから通っているこの坑道は朽ち始めているようだ。
「すぐに崩れることは無いだろうが危険だな。」
「あぁ出来ることならはやく抜けてしまいたいな‥」
ラキの言葉にシードが答える。
「ですが灯りがこのランタンだけですからね。
あまり急いでもかえって危険ですよ。」
「だがそろそろこの坑道も終わりだろ。」
ラキが言う。
少しずつ明るくなり始める。
ランタンの灯りが不要になった頃。
プラチナの足が止まった。
「外に何かいる。」
その言葉にシードは紫苑と紅蓮を構えた。
外では複数の増殖者と青い体毛に4つの尾を持つ獣が戦っていた。
シード達は急いで坑道を抜け木の影に身を隠す。
どうやらこの山の坑道などを通り道に利用している増殖者とこの山の頂上を棲みかにしている者が闘っているらしい。
「増殖者に氷結狐か‥」
「先を急ぐべきか?」
シードがラキに尋ねる。
「闘っている間こちらに気付くことはないだろう。
ここは山を降りてしまおう。」
増殖者と氷結狐の闘いは圧倒的な数量で襲い掛かる増殖者が有利だった。
しかし氷結狐も空中に作り出した氷の塊や巨大な氷柱で応戦する。
気付けば氷結狐の喉元に増殖者が噛み付いていた。
氷柱は制御を失いあらぬ方向に突き刺さる。
幸運か不運か先程飛び出した坑道を潰すように突き刺さった。
氷結狐が倒れると同時に辺りに轟音が響き渡り坑道が完全に潰れた。
増殖者達は氷結狐を細かく噛みきりこの山のどこかにある巣穴へと持ち帰った。
「もう少し遅ければ潰されていたかもしれませんね‥」
「幸か不幸か‥だな‥
まぁ坑道に私がいれば幸運にも坑道が潰れる事はなかっただろう。
今回は不幸な事に坑道を潰されてしまったがな‥」
「それにしてもあちこちに敵対するものがいるな‥
出来れば何にも出会わず行きたいな‥」
シードが1人愚痴る。
「何を弱気な事を‥と言いたいが同感だ。
この大地はこれ程たくさんの種族が生息するには狭すぎるんだ。
繁栄を極めようとすれば他の種族の生息域を犯すことになる。」
ラキの言葉にリーナが続けた。
「生息域を犯された種族は反発するか、他の種族の生息域を犯すことになる‥ですか?」
「そういうことだ。
これからも敵が減ることはないだろうな‥」
これからの先行きが不安に感じた。
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