手掛かりを求めて
ラキとプラチナは穴のすぐ近くまでやってきた。
見上げればかつての神都エルドバ。
上に行く手段もない。
「おそらく‥上には‥」
ラキは上に居るであろう者の事を考える。
シードとリーナの見た翼人。
エルドバが浮いているのはそいつの仕業だろう。
「となると‥少なくとも二人居るのか‥」
穴の中は所々草花が生え木々が生い茂る場所もある。
つまりエルドバはかなり長い間飛んでいることになる。
「食糧等を考えれば時々降りてくるのかもしれないな‥」
「プラチナお前は人間を見たことがあるか?」
その言葉にプラチナはワンと吠えた。
おそらく見たことがあるのだろう。
シードの話ではプラチナは森を出たことがない。
つまり統率狼達の生息圏まで人間が来ることがあったと言うことだ。
「上には行けそうにないな‥
だからと言って降りてくるのを待つわけにもいかない‥」
「あそこに行くか‥
おそらく壊されているのか‥壊れてしまったのか‥」
ラキとプラチナはエルドバを横目に北西に向かった。
そこには大きな谷がある。
落ちれば戻ってこれないような大きな谷だ。
シードとリーナは西へと歩み始めた。
「ラキ様は何かを隠していると?」
「隠していると言うより話すかどうか迷っているようだった。
エルドバに着けば話すと言っていたがそう言うわけにもいかなくなってしまったからね。」
「エルドバもその‥想像しないような状態でした。
おそらくは重力魔法によるものだと思いますが‥
あれほどの質量を‥」
「今は考えても分からない事だらけだ。
とにかく西に向かおう。
確か西はもともと幻惑蝶の支配領域だったね?」
「えぇ西に山があり、その山の周辺が幻惑蝶の棲みかでした。
偽装花以上の幻覚、幻聴。
幻を見せて獲物を引き寄せると言われています。
偽装花は木属性の魔法での攻撃もありますが、幻惑蝶は幻に引き込むための霧魔法での妨害が主だと聞きました。」
「偽装花の蔓による攻撃は魔法だったのか‥」
「かつて覇権を争っていた種族が何故甦ったのかは分かりませんが幻惑蝶もその例に漏れず甦っているとみて良いと思います。」
「ならその山には近寄らず先へ進もう。」
シードとリーナは今後の方針を決めた。