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追憶の旅  作者:
53/135

秘密

「なぁラキ。」


「ん?」


ラキは焚き火に木をくべながら答える。


「ラガンやメディス。

いや神器だったが‥彼らはよく分からない事を言っていた。」


「あぁ言わなくても分かるよ‥

そうだな‥今は話せない‥かな?」


「そうか‥」


「エルドバに着けば話してもいい‥

そのときに話そう。」


シードは立ち上がりプラチナに近づく。

プラチナもそんなシードに気付き様子を伺う。


「プラチナだったな。

名前は気に入っているのか?」


「俺達には名前はない。

群れの頂点。王のみが名前を持つ。

だから俺の名前ではなく、お前達の呼びやすいように呼べばいい。」


この会話はシードにしか分からない。

それでもプラチナを気遣って小さな声で聞いた。


「じゃぁ気に入ってないのか?」


「気に入る気に入らないではない‥」


そう言って目を伏せた。

様子から察するに気に入っているらしい。


「どうしてラキを案内してくれたんだ?」


「俺は生まれて50年程だ。

森から出たことがない。

それに父が言っていた。

お前達の言う透明爬(インビジブル)もそうだが‥

400年いやそれよりもっと前から大食鰐(グラトニー)すら見ていないと。」


「つまり‥大食鰐(グラトニー)を含め他の種族達はつい最近急に出てきたと?」


「俺も生まれて50年。

その間に見たことがあるのは増殖者(エクスクレイム)と人間だけだ。」


「そうか。人はいるのか‥」


「だが気を付けた方がいい。

人間は変わってしまった。」


その言葉の真意は分からなかったがプラチナは目を閉じた。


夜が明ければいよいよエルドバに向かう。

頭の中の誰かはフロウとソアラに探せと言っていた。

だがそれもエルドバに着いてからでも良いだろう。


シードは立ち上がりリーナを探した。

リーナはエルドバの方向を見て座っていた。


「リーナ。」


リーナは振り向く。


「シード様。どうしましたか?」


「大丈夫かなって‥」


「私は大丈夫ですよ。

シード様こそ体は大丈夫ですか?

メディス様との戦いであんなにも出血をしていました。」


「リーナの魔法のお陰かな。

何の問題もないよ。」


「なら良かったです。

でもそれはシード様の力だと思います。

普通の人には神器を扱う事なんて出来ません。

きっとシード様は神々に選ばれた存在だと。」


「選ばれたか‥

そんなことないと思うよ。」


「そうでしょうか?」


偽装花(ライアー)が現れた時。

リーナはどう思った?」


「私は怖かったです。

あのままなら死んでいた‥」


「俺も同じだよ‥

一つ一つの攻撃が怖くて仕方ない。」


「でもシード様は動くことが出来ます。

それだけでもやっぱり選ばれた存在ですよ。」


「それはリーナも同じだろ?

同じように動いただろ?」


偽装花(ライアー)との戦いで助けてくれたことを言った。


「‥そうですね。」


「それが人間ってやつだよ。

怖くても誰かの為なら戦えるんだ。」


そう言って二人で笑いあった。

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