表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追憶の旅  作者:
4/135

陽光の長剣

シードが最初に感じたのは腹部への重い一撃。


「ぐっ」


長剣で斬られると思った瞬間、腹部を思い切り蹴られ吹き飛ばされる。

ソルに目を向けた瞬間頭上で長剣がキラリと光る。


それを地面を転がって避ける。それを追うように長剣による突きが放たれた。

長剣による一撃は免れたが、長剣に纏う炎が肌をチリチリと焼いた。


リーナは驚き


「ソル様なぜこのような事を‥」


本当に驚いているのだろう。

声が渇いている。

ソルは立ち止まり答えた。


「我々神々は1つの信念がある。

それは君たち人に理解されないかもしれない。

シードを迎えに行くよう頼んだリアナも。

ここでシードを殺そうとしている私も。

全ては1つの信念を貫く為、その為に行動している。

その信念は人からすれば下らないことかもしれない。

でも私たちはその為に戦ってきた。」


ソルはそう言って斬りかかってくる。

武器を持たないシードに出来るのはそれを避けるだけ。

ソルの攻撃は多彩だった。フェイントを織り交ぜ、確実に息の根を止めるために振り下ろされる。


時には剣の柄で、時には掌底で、距離を取ったり、一気に責めてきたり。

それをなんとか避ける。

何より一度した攻撃を他の攻撃と混ぜ合わせ、こちらに読ませないように放ってくる。


「‥‥シード逃げてばかりじゃどうにもならんぞ?」


自分を殺そうとしてくる癖にそう言ってソルは尋ねてくる。

どうにか出来るならとっくに行動に移している。

しかし武器のない自分に出来る事は逃げ続けるだけ。


ソルはいきなり攻撃をやめるとバックステップで、距離を取った。

長剣を構えなおし、長剣より吹き出ていた炎は長剣の内部へと収束していく。


「オーバーレイ」


鋭い。そう言わせるほどの閃光が長剣より放たれた。

放たれた後、元の洞窟の姿はそこにはなかった。

洞窟の壁面は炎が上がり岩が焼け落ちている。

そしてシードの左腕もまた、だらりと力なく垂れ下がっていた。


ソルの顔に笑顔をなかった。

ソルはもう一度長剣を構えると、今度はシードに向かって走ってきた。

避けきれない至近距離で仕留めるつもりなのだろう。


「オーバーレイ」


そういってソルはシードの間近で鋭い閃光を放った。


閃光は収まり、また壁が焼け落ちている。


「まぁ及第点だな。」


ソルはそう言った。笑顔で。腹部には穴が空いていた。

シードの手には何もなかった。


「シード。リーナの案内でアルタの平原を目指すと良い。そこからが君の旅の始まりだ。」


ソルは腹部の穴など気にしていないようだった。

リーナは驚きオロオロしている。


「ソル様いったい‥なぜ‥?それにこの攻撃は‥」


ソルはこちらの質問に答える気はないようだ。

シードを見据えただ一言。


「天はどこまでも広がり、陽光が見守る、そして月光が道を示すだろう‥」


そう言ってソルは光の粒子になった。

光の粒子はシードの中へと溶けていく。


そしてシードはそこに倒れた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ