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追憶の旅  作者:
38/135

正体

「ここまでか‥」


ラガンは自身の胸の風穴を見下ろし、その場に座る。

鎧で表情は分からないが、その姿はあまりにも悲しそうだ。


「お前はラガンじゃないのか?

あまりにも記憶の中のラガンとかけ離れているんだ‥」


ラガンは顔をあげる。


「その様子じゃ他の奴と戦った時も気付かなかったようだな。

なら他の奴らは役目を全うしたのか‥

俺には出来なかった。

俺はただラガンの守りたかったものを守りたかった。

あの子が生きていくこの世界をより良いものに‥」


独白にも似た呟きにシードは返す言葉を持ち合わせていなかった。


「俺たちは神なんかじゃない。

ここにいるのは神と死ぬことも出来ず、神が死んだ後も共に戦うことを夢見る愚か者だ。」


「シードよ。

俺の‥ラガンと共に戦った記憶を受け継げ。

お前の存在が、確かにこの地にラガンが居たという事実になる。」


ラガンに声をかける前にラガンは光へと霧散する。

そしてその光はシードに溶け込む。

流れ込む記憶。


「これは‥ラガンの記憶じゃない‥!

いや今までもソルもハーランも‥

これは共に戦った‥」


そこでシードの意識は消えた。




また同じ場所だ。

意識が途絶えると同じ場所にいる。


「ここは俺の意識の中。

いや、記憶の中なのか?」


椅子にはハーランとラガンが座っていた。

空いている椅子はソルの物だろうか。


遠く離れた所にある椅子の上には誰かが腰掛けている。

前よりも鮮明に見える。

しかしその姿を確認するにはまだ朧気過ぎる。


「探せ。

楔を、神の戦いの記憶を‥

お前の為すべきことも見つかる。」


遠く離れた椅子に座る影がそう言った。

初めて声が聞こえた。


「楔?

それに神の戦いの記憶って‥」


楔はおそらく塔の頂上の光の粒子のことだろう。

それが一体何なのかも分かってはいないが‥

しかし神の戦いの記憶とは一体?


「お前はすでに4つ手に入れた。」


こちらの考えている事が分かるのだろうか。

4つ手に入れた。

シードが思い浮かべたのはこれまで戦った神達のことだった。


ソルとは二度。

ハーラン、そしてラガン。


これまで通りならラガンの持っていた特大剣も使えるのだろうか?

神器が神の戦いの記憶のことなのだろうか?


シードはひとつ気付いた事がある。

今までシードの中に流れ込んだ記憶は、

ソルやハーラン、ラガンのものでも、ましてやシードの失くした記憶でもない。


あれは神と共に戦い続けた神器の記憶だ。

神器は神の姿を真似、未だに戦い続けているのか。

それはとても悲しいことだ。


悲しみの中視界が白み意識が戻っていくのを感じた。

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