昔話
平原を進み右手に川が見えてきた。
この川が湿地に流れ込んでいるのだろうか。
「そろそろ湿地帯が見えてきますよ」
リーナが後ろから声を掛けてくる。
「ここまでかなり急ぎ足で来てしまったが‥まだ歩けるかい?」
「リーナ、歩けないようならおぶってもらえ。
それかそろそろ夜営かな?」
「おぶってもらう程ではないですが‥
湿地帯に入る前に夜営はしたいですね」
ラキはその言葉に頷き、先を指差す。
「もう少し進んで夜営しよう。
この先の川で魚でも捕りながらな。」
そのまま進路を少し右手にしながら川を目指した。
「魚か‥」
夜営の準備をしているリーナはポツリと漏らしたシードの言葉に反応した。
「魚捕り方分かりますか?
確か釣竿があったはずです。」
そう言ってリーナはアイテム袋から釣竿を取り出した。
「なら私が使い方を教えてやろう。
こっちに来い。」
ラキはやる気のようでリーナから釣竿をもらい川に向かう。
シードはそれに着いていった。
「シード、なにも魚が分からないわけではないだろう?」
ラキはシードが覚えていると確信しているような、そんな質問をした。
「あぁ‥魚がどういう物か分かっているよ。
たださっきラキに魚の事を話されて思い出したような‥」
「少しずつ記憶が戻っているのさ。」
ラキは釣竿から釣糸をたらして川のほとりに腰をおろす。
「昔の話だ。
人が他の種族の進行に怯え、神が先導し他の種族と戦っていた頃の話だ。」
「この先の湿地帯はそいつらの縄張りだった。
全てを食らう大口を持つ者。
そいつらの名は大食鰐。
そしてその森林に住む者。
深き森の狩人、統率狼。」
「特に大食鰐は我々にとっても統率狼にとっても厄介な相手だった。
そんな中大食鰐は統率狼の縄張りである森を目指し始めた。」
「森を薙ぎ倒し生き物を食い散らかしながらな。
我々には2つの選択肢があった。
統率狼と協力して大食鰐を倒すか‥
生き残った方を倒すか‥」
そこで釣竿がグイと引っ張られる。
ラキは釣竿を持ち上げ釣り針に掛かった魚を手に取った。
シードもラキの傍らに腰掛け川を眺めた。
「そんな中そいつは現れた。」
「誰なんだ?」
「言っただろう?統率狼に手を出すと怒る奴が居るって‥
なぁシード、神はどこから来ると思う?」
「確かリーナが天の門が開いたって‥
そして神祖ルーツが天から降りてきたと‥」
「聞いていたか‥
ならその天の門はどこにあると思う?」
いつの間にかラキはさらに魚を吊り上げていた。
シードはラキの質問に首を傾げた。
「魚もそれなりに捕れたな。
そろそろ戻ろう。」
ラキはシードの答えを聞くこともなく立ち上がり戻っていく。
シードはもう一度川を眺めてからラキの後に続いた。
その日食べた魚はお腹まで身が詰まっていた。
私事ですがソウルシリーズが好きなので
ソウルライクを目指しています。
世界観の根底にフロム脳がありますので
他の作品の世界観とはかなり違いがあるかと思います。
それでも良い方 よろしかったら これからもお読みください