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追憶の旅  作者:
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邂逅

上も下も右も左もないような暗い暗い暗がりに1人いた。


必死にもがくこともなく、目を開けることもなく、死んでもいないが、生きてもいない。


ここにどれだけ漂っているのか、知ってるのは居るのだろうか。

居たら彼を助けて欲しい。


そんな願いが通じたのか、流されるだけの彼の前に2つの巨体が姿を見せた。


どちらも10メートルはある巨体、全身は鱗で覆われ、翼も尾も爪もそして牙さえも全てが人の身では抗えないほどの力を感じた。

それでも彼は反応することなく流されるだけの存在。


2つの巨体のうち、赤い巨体は右手から、光輝く金属を出した。

暗がりだったそこは、暖かな光に包まれていた。

その光に反応するように彼の指が反応した気がした。


赤い巨体は右手から光輝く金属、細長い棒だろうか、巨体と比較すれば針のようで、人からすればそれは

両端が折れた金属片で。

それが右手から零れて彼の中へと降り注ぐ。


「お前の物ではない‥だがお前の為に遺された物だ‥

さて、お前は一体何になる?

何者でもないお前は一体何者になる?

扉をくぐる資格はあるかな?」


その言葉に赤い巨体よりも小振りな青白い巨体は憤りを見せた。


「資格がなくては困る。

私はここに居る理由などないのだから。」


赤い巨体は笑う。


「約束を違える事は我には出来ないようだ。

まずはアルタの平原、そこに向かえ。

そこは終演の場所でお前の始まりになる。」


すべての光が彼の中に消えたとき、

巨体も暗がりも消え、彼は冷たい冷たい洞窟の中に横たわっていた。


洞窟の天井から水が滴り彼の頬を濡らす。

彼の肺が大きく膨らんだ時、ゆっくりと体を起こした。


「どこだ‥ここ?」


彼が最初に感じたのは違和感。場所への違和感ではなく、自分自身への違和感。

でもそれを口に出すのも難しくて、だから場所への違和感を先に口に出した。


自分の事を思い出そうとも記憶がない‥

思い出せないのではなく、文字通り記憶がない。

そんな風に感じた。


「とにかく」


自身がいる場所は洞窟の奥なのだろ。

奥まった場所で道は一本のみ、ここに居ても埒が明かないのなら。


「先に進むしかないのか」


彼は歩きだす。洞窟の一本道、先から漏れだす本の少しの明かりを頼りに。


洞窟はきっちり整備されている訳ではないものの所々に、光源となるものが置かれていて先に進む分には何の問題もなかった。

ここがどこか分からない、それよりも自分が何者なのか、記憶が存在しない、それが恐怖を掻き立てた。


途中、洞窟が広がった。

先ほどは両手を広げれば壁に手がつくような、ここはそれより広い。

だからこそ注視した。

壁の一部が崩落している。


「この先には進めないか‥でもこっちに洞窟はまだ続いてるんだな‥」


奥へと続く道。

なんだか頭にモヤが掛かっている、そんな気がする。


崩落した壁を後にし洞窟を進もうとした時、背後で何かが起きた。

青い光が円を描いていた。光は洞窟内部を乱反射し、その光に目を覆う。


「初めまして」


その言葉に反応し、目を向けた。

何もなかった場所に少女が居た。


「貴方を迎えに来ました。」


少女はそう言って笑顔を向けた。

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