決着
目を醒ますとまた視界がボヤけるような何もない空間に居た。
目の前には椅子が。
そこにソルが座っていた。
だが立ち上がるとまた何処かへと歩きだした。
ソルは何処に行くのだろうか。
回りを見渡すと霧の向こうさらに1つ椅子が。
そこに誰かが腰掛けている。
その誰かが声を掛けている気がする。
姿も声もおぼろげで‥
近寄ることも出来ない。
そしてまた意識を手離した。
リーナはシードに回復魔法をかけようと駆け寄る。
ラキも歩み寄り、力の源が消え霧散していく建物を見守った。
「怪我が‥」
リーナは小さく驚く。
ソルとの神器のぶつかり合い。
人の身であるなら蒸発するような炎。
その一撃を受けて‥
何処にも怪我が見当たらない。
それに対してラキは驚く様子も見せない。
「今は必要ないよ。」
そう言って空を見上げる。
塔はどんどん地面に吸い込まれるように消えていく。
塔の頂上が地上へ向かって吸い込まれていく。
最後に残ったのは塔の頂上だけになった。
ラキは塔の頂上から地面に降り立つ。
地面に手を当て。
「久しぶりの大地は気持ちがいいな。
400年も引きこもっていたからな!」
体を治してもらったシードは立ち上がる。
なんだか夢を見ていたような。
「これからどうすればいいんだろうか‥
前はソルが教えてくれたが‥
どこを旅すればいいんだ‥」
「ならばまずは神都を目指すべきだろう。
400年の間にどうなっているか気になるしな。」
「ラキ様もご一緒にですか?」
リーナが聞くとラキは大きく頷いた。
「まぁ君たちだけでは旅も大変だろう。
私もやるべき事があるしな。
だがその前に。」
そう言うとラキの鎧が、岩が。
ドロドロに溶け始める。
そして光となって弾けた。
「命令も次のステップに移行した。
もう呪いを掛けてまで付与する必要もなくなった。」
現れたのは幸運の女神ラキ。
本来の姿。
赤い髪に透き通るような肌。
緑のラインがあしらわれた白い鎧。
岩の大盾はなくなり左手にはガントレットが。
そして右手の岩の棍棒はレイピアに。
ラキはレイピアを腰の鞘に納める。
「さて久しぶりに体が軽い。
ほら行くぞ。」
ラキはテンションが上がっているようだ。
リーナはそんなラキの後を追う。
「ラキ様!そちらは逆方向です!」
ラキとリーナの後にシードも続く。
最後にラキは楔があった場所を振り返る。
その中心には何かが突き刺さっていた。
ラキの視線に気付きシードも振り返るが、そこには何もなく。
風化したそれを風がさらっていった。
私事ですがソウルシリーズが好きなので
ソウルライクを目指しています。
世界観の根底にフロム脳がありますので
他の作品の世界観とはかなり違いがあるかと思います。
それでも良い方 よろしかったら これからもお読みください