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アルタの平原
まさかあり得ない。
至るところからそんな声が聞こえる。
大地を突き破る大鎌に。
空を引き裂く竜巻に。
人を食らう大口に。
森が行進を始め。
湖が雷を放った。
足元には死が広がっていた。
居るはずのない。
もう種の争いに負け滅び去った者達。
その者達がまたこの地に集った。
金の鎧が疾走している。
向かう先には幸運の女神。
戦場に呼び声が響き渡る。
それは怒号と絶叫が響き渡るこの戦場で、確かにその声は目的の人物へとたどり着いた。
戦場の端から金の鎧に向けて。
轟音と爆炎が飛び出した。
轟音は空舞う者を叩き落とし。
爆炎は戦場を二分した。
金の鎧は空を裂く轟音と爆炎に向かって、光の粒子を突き立てる。
轟音と爆炎が霧散し、幸運の女神を中心に巨大な塔が出現する。
人々はそれを見て逃げ出す。
その後を3つの影が追いかける。
人々を食らおうとする巨大な影も‥
それを金の鎧と赤の鎧。そして‥もう1つの影が人々を守るために立ちふさがる。
これは敗戦だ。