女神との戦い
岩の鎧は見た目通りとても重いのだろう。
動く度、床が軋む。
金属で出来ているだろうに。
岩の棍棒が振り下ろされると大きくへこむ。
そしてとてつもない音がその威力を物語る。
なのにラキはそれを感じさせない程軽々それを振るう。
シードはそれを避けるしかなかった。
なぜこんな事になったのか。
ラキは何を思って戦っているのか。
シードには分からない。
だがこのままだと潰されるのは時間の問題だ。
ここにたどり着くまでにエクスクレイムと戦ったことを思い出していた。
どうしてあの時陽光の長剣が現れたのか。
戦いの後、あの長剣はどこに行ったのか。
それを思い出す。
あの時リーナに危険が迫っていた。
無我夢中だった。
もしリーナに危険が迫る。それが陽光の長剣が現れるトリガーなら。
絶対にそんなことはしない。
戦うためにリーナを危険にさらすことは出来ない。
考えても分からず。
ラキの猛攻は止まらず。
「我々神の振るう武器。これは何だと思う?」
ラキは棍棒を振り回しながら聞いてきた。
シードに答える余裕などなく。
「これはな。思いだよ。
人々が神の為に作り上げ。
神々が人の為に振るい続けた。
その思いの結晶。
それが神の武器。
神器となる。
お前にはその思いが理解できるか?」
ラキの猛攻はシードの動きを止めるには十分だったらしい。
横凪に振るわれたそれはシードの体をしっかりと捉えていた。
ラキの棍棒はシードに当たり、シードの体は水平に吹き飛ぶ。
その時シードは自分の中に確かにある存在、その存在に手を伸ばす。
シードはそれを‥右手に持つ長剣を地面に突き刺し、これ以上吹き飛ばされないようにする。
長剣から出た炎で地面が溶ける。
シードは現れた長剣を見た。
吹き飛ばされた瞬間。
ソルが陽光の長剣をどんな思いで振るってきたか。
長剣はどんな思いで振るわれてきたか。
シードの中にあるはずのない記憶。
それが頭の中を駆け巡った。
「忘れるな。お前の中にあるのは思いの結晶。
そのものだ。」
そう言ってラキは棍棒を下ろした。
リーナがシードに駆け寄り回復魔法をかける。
その様子を見ていたラキは
「お前もか‥」
その呟きはシード達には届かなかった。
「さて話の続きをしよう」
「400年前何があったのか」