死の花弁2
まずは地面から根が。
森の中からは複数の蔓と操られた死体が。
シード目掛けて襲い掛かる。
「数が!多い!」
そう言いながらも太陽の双大剣で軽々と捌いていく。
以前とは比べものにならないくらい体が軽い。
まるで何か解き放たれたような、あるべき姿に戻ったような感覚だ。
太陽の双大剣が蔓を切り裂けば操られた死体は地に落ち沈黙する。
根を切り裂き焼き尽すと混合生物は断末魔の叫びを上げた。
「ギィィィ!!」
絞り出すような掠れた叫び。
耳をつんざくその音は聞いていて気持ちのいいものではない。
「決めさせてもらう。
フレアノヴァ!」
太陽の双大剣から陽光の長剣と槍を軽々超える光が放たれる。
圧倒的な光の奔流は混合生物を包んだ。
遅れて爆音が辺りに響く。
「なるほど…切っておかなかった俺のミスか…」
先ほどシードが切り裂いた蔓は混合生物の操る死体、溶炎猿を地に落とした。
混合生物は健在で目の前には操られた鋼殻虫がいた。
所々熱によって溶解しているが、その硬さは目を見張るものがある。
混合生物はそのまま鋼殻虫を振り回すように攻撃してきた。
シードはその場を大きく飛び退いて逃げる。
「さすがにこれはでかいな。
簡単に潰されるな。」
体は泥まみれになってしまったが仕方ない。
混合生物の周囲からたくさんの根が現れる。
太陽の双大剣からすると微妙な違いではあるものの蔓よりは根の方が固い。
固い根よりも柔らかい蔓の方が動かしやすいのだろう。
混合生物の口から大量の水が溢れてきた。
魔法によるものだろうが、異様な量だ。
足元は沼と言うより浅瀬だ。
そんな中固い根でシードを攻撃してきた。
シードはそれを太陽の双大剣で切り裂く。
しかし切り裂けず吹き飛ばされた。
混合生物は存外頭がいいようだ。
太陽の双大剣の切れ味は熱による溶断だ。
根は湧き出る水を吸い上げ一瞬の攻防では溶断するほどの熱を与えられないようだ。
複数の根と鋼殻虫、風迅鳥の死体。
さらには切り落とした溶炎猿の死体をも使って襲いかかる。
だがシードに焦りはない。
足場は悪く動きを阻害され、太陽の双大剣では溶断することが難しい。
だがシードは太陽の双大剣を振るった。
太陽の双大剣からは水の刃が飛び出し風迅鳥の死体を切り落とした。
続けて根を、溶炎猿の死体を。
しかし水の刃は鋼殻虫のその鋼殻に阻まれる。
だから何度も何度も水の刃を放つ。
そして鋼殻虫の鋼殻をも切り裂いた。
だが混合生物を倒す切り札にはなり得ないようだ。
もともと大食鰐が水魔法に耐性があるようだ。
それに以前大食鰐に陽光の長剣の神の裁きを放った時も脚を吹き飛ばすだけにとどめた。その防御力もある。
太陽の双大剣を構え混合生物に走り出した。
足元の水が重い。
だがそれを跳ね除け走る。
「獣王無塵。
Dead or Die。」
シードの姿は消えさりシードが通ったと思われる場所は紫と赤の斬撃だけが残る。
混合生物の全身を高速で移動し切り裂く。
混合生物の全身が紫と赤の斬撃で包まれた頃。
シードはその攻撃をやめた。
混合生物は全身から毒を受け身動きが取れず、全身の切り傷から大量の血が流れでる。
混合生物は絶命し地に伏した。
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