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追憶の旅  作者:
131/135

雷の力

「何故雷だけがそうまで特別なのでしょうか?」


リーナはふと口にする。

ソアラは歩くのをやめ遠くの空を指差す。


「私たち適応者(ドラゴン)からすればこの世界は小さい。

どこへでもすぐ飛んでいける。大地の端から空の端までな。

大地の端には海がある。

だが海と空の先には何があると思う?」


「すみません。検討もつきません…」


ソアラはリーナを気にしつつ歩き出す。


「謝ることはない。

そうだな…世界には理というものがある。」


ソアラは足元の小石を拾う。


「この石。手を離したらどうなる?」


「落ちます。地面に。」


リーナは答える。

ソアラは手を離し小石は地面へ落ちた。


「リーナ。お前は水の中で呼吸が出来るか?」


「いえ…できません。」


「それと同じだよ。

雷の力は扱えない。そういう理だ。」


「理ですか…」


「だが人間は一度その理を破っている。

分かるか?」


ソアラの問いかけにリーナは答えることができない。


「人間だけが使用する魔法。

祈り。

他の属性魔法はこの世界に溢れている原初の力を通じて発動している。

だが祈りは奇跡を願う心、誰かを想う心、神への信仰心。

人の内面にある不確かな何かで発動している。」


「祈りは世界の理から外れていると?」


「祈りには祝福と呪いの2つが存在している。

祝福は他者を癒し力を与える。

呪いは他者を傷付け力を奪う。

似ているとは思わないか?」


「何にですか?」


「誰も手にした事のないおとぎ話の魔法。

再生と破壊。

理を外れて産まれた魔法が世界の理に迫るのは一体どういう事なのだろうな。」


ソアラは笑ってみせた。

リーナはだからこそ不思議で仕方が無い。


「…一体誰が…

ソアラ様。

一体誰が原初の力から再生と破壊を。

そしてそれらの魔法を産み出したのでしょうか?」


「だからおとぎ話なのだろう?

誰が語った話なのかわからない。不思議な話。」


「おとぎ話ですか。」


「そうだ。おとぎ話だよ。」


二人は日が暮れ漆黒が包む夜空の下足を止める。

小さな木々の一画で朝が来るのを待つ。

まだ朝は遠い。



「さてどうしたものか…」


ラキは現状をどう打破すべきか悩んでいた。

西の空の閃光と轟音を目にし、砂漠を後に足を進めようと思った矢先。


「と言う事はやはり…砂漠の向こうが奴の拠点か…」


砂漠の向こうから何かが歩いてくる。

たくましい腕と全身を覆う体毛。

ラキも一度目にしたことがある。

シードが溶炎猿(ボルテージ)と名を付けたものだ。


「あいつは…確か風迅鳥(ソニック)を火だるまにしていたな…

だがあの尻尾…」


その尾は青白く、体毛とは毛質が違う。

さらにその尾は4本生えていた。


「ということはあれは混合生物(キマイラ)か…

火と氷の2属性か?。」


「さて…戦うべきか?

どうやら送り込まれたものの、こちらが付いてきたのがばれた訳ではないらしい…」


その混合生物(キマイラ)は砂漠を抜けるとラキには気付かず一直線に西に向かう。


「西に向かうのはやはりさっきの閃光と轟音のせいか…

なら私がそいつを止めるしかないようだな。」


走る混合生物(キマイラ)に圧縮した風の刃を放つ。

直前で気付かれたものの、混合生物(キマイラ)は避けることが出来ない。


「ボォォォォ!」


雄叫びをあげ混合生物(キマイラ)はラキへ敵意を向けた。


「さて遊んでやる。」


ラキは刺突剣の切っ先を混合生物(キマイラ)に向けた。

読んでいただきありがとうございます。


良ければ評価の方頂ければ励みになります。


これからもこの作品を読んで頂けると幸いです。

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