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追憶の旅  作者:
130/135

玉座

薄暗い洞窟を進んでいく。

それほど深いわけではなくすぐに広い場所に出た。

乱雑とまではいかないが物で溢れかえっている。


周りに散らばる物を横目に進んでいく。

広いと思っていたが暗かったため奥行きが見えなかったためだ。

思ってるより部屋は狭く、部屋の奥には石製の椅子が。

そこには錆びつきながらも小さな光に照らされ輝く鎧があった。


「鎧…」


鎧に触れる。

鎧の頭が音もなく落ちる。

中には何もなかった。


「小さな石の玉座…

そうか…ここで最後を迎えたのか…」


鎧には見覚えがある。

金の鎧は獅子と呼ばれる意匠があしらわれている。

神祖ルーツ、彼の鎧だ。


「なら…」


周りに散らばる物を手に取る。

紙束には色々な文書や図が書いてあるようだ。

ほとんどが書きなぐっているようで読むことができない。


「そもそも読めるのか?」


一つ小さな机の上に一冊だけ本が。

表紙には何もないが使い込まれているようだ。

ページをめくると綺麗な文字が整列している。


「日記…読めるな…」


それが元からなのかそれとも神器から受け継いだ記憶からなのかは分からない。

だが今は感謝し日記を読む。


「日記は…毎日つけられている訳じゃないのか…

最初は…」


『何を書けばいいのか…

だが誰にも話せない。悟られてはならない。

雷滅龍は…適応者(ドラゴン)達は生きる意味を失った。

雷滅龍は話すべきではなかったのだ。

私は…やるべきことができた。』


「やるべきこと…」


ページをさらにめくる。

日付がつけられているわけではない。

だが文章から長い間日記が付けられていないことを察する。


『あれから適応者(ドラゴン)達を見なくなった。

やるべきことは分かっているがそれが正しいとは思えない。

このまま何もせず世界のあるがままを受け入れるべきなのだろうか。』


日記はまだまだ続いている。

シードはそれを閉じ胸元にしまう。

持ち帰りどこかで読もう、そう思っての行動だった。

きっとここには何か大事な事が描かれている。


シードは他に何かないか探す。

めぼしい物はないようでほとんどが何かの図や書きなぐりの文字ばかりだ。


「外に向かおう…」


シードは落ちた鎧の頭を拾い元あった所にのせ、金の鎧に向かって頭を下げる。


「安らかに…」


シードはその場を後にする。

金の鎧がシードを見送っているかのようだ。


扉を抜ければ背後で扉がゆっくりと閉まっていく。

シードは外を目指す。

ここで目覚めた時と同じように。

読んでいただきありがとうございます。


良ければ評価の方頂ければ励みになります。


これからもこの作品を読んで頂けると幸いです。

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