幸運の女神
「ラキ様ですか?しかしそのお姿は‥」
ラキと呼ばれた女神は立ち上がりこれまでの事を語りだした。
「この姿はもう400年程になるか‥アルタの平原での戦から‥」
その言葉にリーナは驚く。
「待ってください!400年ですか?
私は2日前にリアナ様から3日後アルタの平原に行くようにと‥」
「リアナが消えたのは戦の3日前だったな‥
逃げたと思っていたが‥
お前を400年後に送り出したのだろうな‥」
リーナは言葉を失っている。
「リアナは時の女神だ。
未来視により何を視たのか分からないが‥
お前を逃がしたかったのかもな‥
あいつに時を越えるような力はない。
だが方法がないわけでもない。
自分の存在、そのものを使えば‥」
「そんな‥」
「‥そうか。お前はリアナの愛し子か。
お前は愛されていたのだよ。
我々神々は人を愛し、人と共に歩むことを良しとしている。
そんな永遠とも思える生の中で特別に愛したい者に出会うこともある。
そんな存在がお前だったのだろう。
まぁその様子ではリアナは何も伝えなかったのだろうが‥」
その言葉にリーナは小さく。
「お母さん‥」と呟いた。
「次にお前だ。」
ラキは立ち上がったまま腰を下ろしたシードを指差す。
「お前の話を聞かせてくれ。」
「俺は‥気が付いたら洞窟で倒れていた。
何も思い出せなくて。
でも洞窟を抜けなくてはいけないと‥
歩きだしてすぐにリーナに出会ったんだ‥」
「リーナにアルタの平原でリアナと言う女神が待っていると言われ‥
俺は自分が誰なのか知るために‥
洞窟を進んでいく中でソルに出会ったんだ。」
「待て。その洞窟の中でソルに出会ったのか?
それに洞窟の中以前の記憶は?」
シードは首を横に降り。
「それより前の記憶はない‥」
「ソルが何をしたいのか分からなかったが、ソルはその長剣を俺に向け襲いかかってきたんだ‥」
「ソルが襲いかかってきただと?」
その質問にリーナが答えた。
「事実です。
ソル様はシード様に襲い掛かりました‥
私の目にはほとんど見えませんでしたが‥」
「そしてシードお前が勝った‥そう言うことか?」
今度はシードが答えた。
「勝ったかどうか分からない‥
気付いたらソルの腹に穴が空いていて‥
ソルはそのまま光になって消えてしまった‥」
「ソルは光になったと‥」
そう言ってからラキは笑い出した。
「そうか。ソルがお前に剣を振るったのだな?」
ラキは地面に横たわる岩の棍棒を担ぐ。
岩の大盾を構え、シードを正面に捉えた。
「1つ確かめさせろ。
幸運の女神ラキ‥
シード、お前を見極めよう。」