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追憶の旅  作者:
129/135

天の雷

「くそ…」


太陽の化身の胴体には風穴が。

その風穴は一度見たことがある。

薄れゆく意識の中だったか…

あぁソルだ。


太陽の化身は今はシードと同じ姿ではあるが、元はソルを生み出した存在なのだろう。

ソル、陽光の長剣と初めて戦った時だ。

あの時陽光の長剣もまた風穴が開いていた。


「欠片の力…

欠片が集まり…天雷に…」


太陽の化身は光の粒子になりシードに吸い込まれる。

シード自身もまた体へ吸い込まれていく。


かつて空から人々を支配していた存在。

それを地上に堕とした天の雷。

今ここに帰ってきた。


気付けば先程の扉をくぐった所で目が開く。

足を踏み出せば後ろで扉が開いていく音。

差し込む光は弱々しい。

先程シードが開けた穴から光が差し込むのを期待するが、穴の先は暗闇が続くばかり。


「もう夜か…」


鈍い音と共に扉が完全に開くと、小さな光が暗闇を照らし始める。

戦っていて気付かなかったが奥へ奥へと続いている。

人の手が入っているようで足元は均一にならされ、壁の至る所から小さな光が漏れている。


「真実…この先にあるのか?」


太陽の化身もその真実と言うものを探していた。

神器を全て手に入れここにきた。

だがフロウはそれでも真実に辿り着けないなら雷滅龍に会えと言っていた。


「先へ進もう…」


シードの言葉は薄暗い洞窟に消えた。



「先程の光は一体なんだったのでしょうか?」


リーナはソアラに尋ねる。


「おそらくはシード。

もしくは別の何か。それこそ真実に辿り着く事の出来る存在。」


「その真実とはそれほど重要なのですか?」


「…そうだな。私も見たわけではない。

それにシードがもし真実に到達した時、そのことをお前に話すかはシード次第だ。」


「そうですか…

真実に辿り着けると言うのはそれは肉体的強さ、精神的な強さが必要と言う意味ですか?」


ソアラは後ろを振り向きリーナを見つめる。


「…この世界には魔法と呼ばれるものがある。

だがその始まりを知っているか?」


「えぇもちろんです。

原初の力。未だ解明されないこの世界の根源の力。」


「誰にも扱えぬものだ。

だがいつの頃か、その力を手に入れようとしたものが居た。

それはまず原初の力を半分に分けた。」


リーナは頷きソアラの言葉に続けた。


「再生と破壊の力ですね。

しかしそれでも…」


「そうだ。生き物に扱えるような物ではなかった。

だからその力をさらに細かく分けた。」


「再生からは水と土が。

破壊からは火と風が。」


「そうだ。

火と水から霧。

水と風からは氷が。」


「風と土からは砂。

土と火で鋼…ですね。」


「原初の力と言われるものをコントロールするためあらゆる属性が生み出された。

だが火と風からは爆発。水と土は木属性の魔法になった。

一度分解したものは元の再生と破壊に戻ることはなかった。」


「更に火を重ね合わせ光が。

水を重ね合わせると毒が。

土を重ね合わせ重力を手にした。

我々適応者(ドラゴン)はあらゆる環境に適応しその属性に進化した。」


「だが…風を重ね合わせて生み出されるはずの雷に適応したのはただの一体だけだ。」


リーナはソアラが言わんとしていることを察した。


「つまり雷属性は他とは一線を画すようなもの…ということですか?」


「さぁ…だが私が生まれてから雷属性の魔法を手にしたのは。

雷滅龍と神祖ルーツ。そして…超越者(アルティメイト)と呼ばれた男だけだ。

その雷の力の向こうにこの世界の真実がある。」


「雷の力…」


リーナはひとつ疑問を持つ。

きっととても大事な疑問。

しかしシードの身を案じ足早に西へ向かう。

読んでいただきありがとうございます。


良ければ評価の方頂ければ励みになります。


これからもこの作品を読んで頂けると幸いです。

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