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追憶の旅  作者:
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追い打ち

統率狼(コマンダー)の生息域にアーテルは異変に気付く。

森が静か過ぎる。

まるで何も居ないかのように風の音だけが耳に残る。


しかし木々の間から統率狼(コマンダー)を発見する。

それは統率狼(コマンダー)も同じ事で、アーテルを見上げているが、すぐ興味をなくしたかのように深い森の中を歩いていく。


「さて、神はどこだ?

もう居なくなったか?」


そうして辺りを見渡すと高い木々よりも更に高く聳え立つ塔を見つけた。


「この塔。もしかすると…」


塔に近付き舞い降りる。


「僕たちが封印されてた場所にもあった…

この塔があるから出て来れなかったのか。

ならこの下に…」


アーテルは空高く舞う。


「他にも仲間が居るのかな!?」


そう言って手を上げる。

頭上に巨大な岩が現れる。大きさは楔の塔と同程度だろうか。

手を楔の塔に向ければ巨大な岩は重力と相まって落ちていく。

巨大な岩は楔の塔に大きな音を立てて当たる。


存外楔の塔は固いらしく、びくともしない。

逆に巨大な岩は砕け散り辺りに散らばる。

それが森、そしてそこに住んでいる統率狼(コマンダー)を襲う。


アーテルはそれを気にする事もなく、楔の塔に手を向けたまま新たな魔法を発動した。

楔の塔の地面から現れる巨大な火柱。

楔の塔を丸々包み込む。

その火柱が森へと燃え広がる。


しかし統率狼(コマンダー)達はなにもしない。

長が居なくなった彼らに自分で判断するような力は残っていないらしい。

アーテルは火柱を消し去ると、次は空中にたくさんの氷柱を生み出し放つ。

楔の塔は倒れる事はないが、氷柱が当たった場所はひび割れ外壁が吹き飛ぶ。


すると燃え広がっていた木が根本から倒れる。

切り倒されたのだ。

木は燃え広がらないように森から離れるように切り倒された。

森を守ったそれは他の統率狼(コマンダー)達の間を抜け、巨木を登る。


巨木の最も高い場所からアーテル目掛けて跳躍した。

アーテルを切り裂こうと刃のような体毛が迫る。

直前に気付いたアーテルは鼻放とうとした氷柱を自身の前に潜り込ませる。

氷柱は真っ二つに切り裂かれ、氷柱の向こう側に白金の体毛に覆われた統率狼(コマンダー)が居た。


「ちっ。

僕達の邪魔をするな統率狼(コマンダー)

他の奴らと同じように大人しくしてろ。」


空中に浮かぶいくつかの氷柱をそのままプラチナへと放つ。

しかしプラチナの鋼魔法はアーテルの氷魔法で傷付く事はなかった。

風魔法で生み出された空気の塊にプラチナは吹き飛ばされる。


「私達に歯向かうのはお前だけか?

お前一体に何が出来る!」


プラチナに向かって光弾が放たれる。

それはプラチナの目の前で大きく爆発をする。

爆発はプラチナの鋼の体を傷付ける。


「いつまで耐えるか、見ものだな。」


複数の光弾が降り注ぎ爆発する。

プラチナはそれを耐える事しか出来なかった。

一つの光弾がプラチナを逸れ他の統率狼(コマンダー)へと向かう。

プラチナは無我夢中で光弾と統率狼(コマンダー)の間に体を入れた。


プラチナは爆発魔法によりボロボロになったが、アーテルをまっすぐ見つめ立ち上がる。


「おぉなるほど。

じゃぁこれはどうだ?」


そう言ってアーテルはあらぬ方向に光弾を放つ。

その先にもまた統率狼(コマンダー)が。

プラチナは走る。そしてまた爆発をその身で受けた。


統率狼(コマンダー)達の中で何かが変わった。

目の前にいるプラチナはもう。

統率狼(コマンダー)達の守り神、ラガンの子孫でもない。

今は亡き長の息子でもない。


目の前には統率狼(コマンダー)達の新たな長が。

新たな長が身を呈して仲間を守っている姿がそこにはあった。


読んでいただきありがとうございます。


良ければ評価の方頂ければ励みになります。


これからもこの作品を読んで頂けると幸いです。

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