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追憶の旅  作者:
122/135

無手

シードだったものは高速で飛行する。

一時のうちに洞窟の入口までやって来た。


炎の翼が少しずつ小さくなっていくそれと同時に高度が低くなる。

翼が完全になくなると地面に着地する。

そして迷いなく洞窟へと入っていく。


そして洞窟を進んでいく。

そしてある場所で足を止めた。

そこはシードが目覚めた場所の少し手前崩落した壁の前だった。


シードだったものはその手に太陽の大剣を握る。

太陽そのものと言っていいその熱は崩落した岩だけを見事に溶かしていく。

溶岩となったそれは流れ出し太陽の大剣から離れればすぐ冷え固まる。


そうして溶解した場所に大きな扉が現れる。

シードだったものは扉に手を掛ける。

が開かない。


「開かないか…

お前の中を見せてもらうぞ。」


その一言でシードの記憶を読んでいくシードだったもの。

何の抵抗もなく記憶を本のように読んでいく。


「ふん。なるほどな。

私から産み出たお前達は私の言うことは聞かないか。

それが親への反抗心と言うものなのか?」


シードだったものは独り言を話すがそれに返ってくる言葉はない。


「まぁいい。

お前達が協力せずとも、この身体にはお前達の言葉が残っているぞ。」


シードだったものは扉に手を掛けある言葉を放つ。


「天はどこまでも広がり、陽光が見守る、そして月光が道を示すだろう‥」


その言葉と扉はゆっくりと開いていく。

そして扉が完全に開く前に足を踏み入れた。

そして時が止まるような感覚。

あたりは真っ暗だった。


「どこだ?

この世界の真実は。」


そう言って暗がりを進んでいく。

扉が開ききれば僅かではあるが光が入る。

それをシードだったものは待っていた。

しかし一向に光が入ることはなかった。


後ろを振り返り扉を見た。

そして今しがた入ってきた扉を見た。

そこにはシードが立っていた。


扉を通り足を踏み入れようとしているシードと扉を通り後ろを振り返るシードだったもの。

そしてその間にもう一人。

足を踏み入れようとしているシードはまるで時が止まったかのように動かず。

間に立っているシードは両手で自身を触り存在を確かめているかのようだ。


「なるほどな。余計な者が体の中にまだ居たからか。」


シードだったものが怒りの表情を見せる。

それを更なる怒気で返された。


「余計だと?俺の体だ!」


「ハッハッハ!

お前の体だと?

違うな、お前の体などではない。

お前はその体、器を動かすための一時的な人格にすぎない!」


「お前は気にならなかったのか?

記憶を求めて旅をして、普通の人間には倒せないような他種族との攻防。

神器が作り出した記憶とはいえ、強さは変わらぬ神との戦い。

そんなものに臆する事なく何故戦える?」


「記憶を探す?

何を言っている?

元よりお前の記憶などない!

消えろ!お前の役目は終わった!

ここからは私達が…」


そこから言葉が紡がれる事はなかった。

シードがシードだったものを殴ったからだ。


「俺の記憶が…過去がないのは分かった。

だからこれから作っていく。

役目は知らない。この世界の真実とやらも。

だからと言ってここで終わりなんて俺は嫌だね。

だから…」


「お前が消えろ!」


シードがシードだったものに馬乗りになり殴りつける。

それを両手でガードするシードだったもの。


「お前が勝てるとでも?」


その一言と共にシードは後ろへ飛ぶ。

自身を狙ったその一撃を避ける為に。

シードだったものの手には崩拳が。


「俺達に勝てる道理はない。」


シードだったものは左手に崩拳。

そして右手は陽光の長剣を握り締めていた。

読んでいただきありがとうございます。


良ければ評価の方頂ければ励みになります。


これからもこの作品を読んで頂けると幸いです。

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