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追憶の旅  作者:
118/135

死の山に聳え立つ

少し時間が取りづらくなってしまいましたので2日に1度程の投稿にさせていただきます。

申し訳ありません。

すぐにとはいきませんができる限りはやく1日1度に戻せるように努力いたします。

楔の塔に近付けば入り口が現れる。

塔の中に足を踏み入れる。

不思議と熱さを感じない。


一人で塔の頂上へ続く螺旋階段を登る。

外の音も聞こえずシードの足音だけがそこにはあった。


死の山の溶岩が赤く燃える。

その光は弱々しく感じるが一瞬で命を奪うものだ。

その光で今まで幾度となく抜いてきた光の粒子。

この塔の結界の核となる光の楔が怪しく輝く。


少しだけほんの少しだけ、感じたことのなかった感情。

恐怖がシードを襲う。

一瞬の躊躇い。

しかし力強くその粒子に触れた。


そして光はシードに溶け込み、誰かの記憶を見ることになった。



「皆大丈夫か?」


そこには人の波が。

波の先頭にいる者が声を上げていた。

頭上から降り注ぐ陽の光は光と言うには強過ぎた。

炎が降っている。そう形容しても誰も文句は言わないだろう。


そして炎が過ぎ去ればそこに待つのは冷たい世界。

月から降り注ぐ光が人の命を奪っていく。


この砂漠は人はおろか他の種族も生きていけない。

だが人は砂漠を超え西を目指した。

故郷を捨て新天地を目指した。

故郷は内乱で傷付き人間同士での醜い争いが終わることはない。

だから人々は争いを終わらせるために故郷を捨てた。


先頭を歩く金色の鎧の主は知っていた。

西にあるのは更なる争いの大地だと。

人間同士の争いから他の種族との争いになることは知っていた。


だが西に行けばこの灼熱もこの極寒も消える。

緑豊かな大地が待っている。

灼熱の炎が暖かな陽光に。

命奪う極寒が無数の星と月明りを携えた美しい夜空に変わることを知っている。


そしてそれは人々も。

だから人々は歩み続ける。

この灼熱は試練なのだと。

豊かな大地に足を踏み入れる為の通過儀礼。


そして気付けば灼熱の炎はなりを潜め、暖かな陽光で人々を迎え入れた。

人々は太陽を恐れ、そこから降り注ぐ光を崇めた。


それが同一の物と知りながらも別の物として崇めたのだ。



気付けばシードは、死の山の気温が下がっていくような感覚に襲われた。

目の前に立つ女性のせいだろうか。

彼女から冷たい風を感じる。

それは氷煉龍。グランソアラを彷彿させる。


「月光の女神ティア。

陽光と対を成す者。」


淡々とした言葉。

何の感情も湧かないような言葉。

冷たい印象を受けた。


彼女の周りがキラキラと光ったかと思うと、その光が形を持ち始める。

三日月。

夜空から降り注ぐ光、大地をほんの少しだけ優しく照らす月光。


「三日月の大鎌。」


「それが君の名前か?」


彼女は返答する代わりにシードに対し大鎌を構えた。

それをシードは答えとして受け取った。

シードも陽光の槍を構える。


シードが走る。

三日月の大鎌は自身を縦に振るった。

シードに向けて光の粒子が真っ直ぐ向かってきた。

シードは右に避ける。


光の粒子が通過した地面から氷柱が形成される。

シードはそのまま三日月の大鎌へと迫る。

三日月の大鎌は自身を横に薙ぐ。

三日月の大鎌を中心に、三日月状に光が放たれる。


シードは足元から形成されるであろう氷柱に警戒する。

しかしシードが氷柱に襲われることはなかった。

足が地面から離れない。


シードが気付いた頃には三日月の大鎌は自身を大きく振りかぶって目の前にいた。

陽光の槍の纏う炎が大きくなる。

三日月の大鎌の攻撃に合わせて陽光の槍を足元に突き刺す。


シードの動きを止めていた氷は吹き飛び、三日月の大鎌を陽光の槍で防御した。

三日月の大鎌から発せられる冷気は陽光の槍の炎をも凍らせた。

しかし陽光の槍が纏う炎もまた三日月の大鎌の氷を燃やす。

属性の違う力は拮抗し互いを食いあっていた。


読んでいただきありがとうございます。


良ければ評価の方頂ければ励みになります。


これからもこの作品を読んで頂けると幸いです。

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