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追憶の旅  作者:
117/135

追う者

アルバスは後ろは振り返らなかった。

きっと振り返る意味が無い事を知っているから。


「……」


アーテルは飛び去った後だった。

決してカナンを追いかけた訳ではない。

目指すは統率狼(コマンダー)の支配領域。

そこにいる。神が。


「やはり不安定過ぎたな…」


アルバスは住民達の救出へと向かった。

アーテルはエルドバを脇目も振らず飛び出した。


だからその動向を見られている事にも気付かなかった。


「カナンは東に…

集魂者(エンジェル)は…まさか…」


ラキとプラチナがそれを見ていた。


「お別れだな?」


その言葉にプラチナは頷き先程走ってきた道を引き返す。

ラキはカナンを追いかける為東へ走り出す。


「姿が見えると言う事は…

厄介な混合生物(キマイラ)集魂者(エンジェル)の足止めに使ったか…」


東の空に飛んでいくカナン。

こちらに気付いているのかいないのか。

もしかすると罠で誘われているのかもしれない。


「だが乗らない訳にはいかないか…」


ラキはカナンを追いかけて走り出した。



「私が送れるのはここまでだ…

フロウなら塔まで送れたが…」


ソアラは山の麓に降りシードを下ろす。


「いやありがとう。

リーナを頼む。」


「シード様…お気をつけて…」


「あぁ…」


ソアラが飛び立つ。

山から吹きおろす風は頬を焼くように熱い。

シードは死の山へ足を踏み入れた。


木が一つもなく山肌は溶岩が冷え固まったような岩肌で出来ていた。

死の山の名に相応しい生き物の存在しない世界。

きっと元はそうだったのだろう。


だが温度が高くなり近くを溶岩が流れるようになるとそんな世界が一変した。


「あいつは…」


炎を纏っているような赤い体毛に太い腕。

いつだったか風迅鳥(ソニック)を焼き殺し逆に鋼殻虫(マンティス)に貫かれていた奴だ。

溶岩の川を平気な顔で渡る。


「こんな場所にも生息する奴が居るのか…」


そいつは大人しく歩いていたのだが急に太い腕で胸を叩き興奮し始めた。

体毛からゆっくりと小さな炎が見える。

その目線の先にはそいつより一回り小さい棘が歩いていた。


よく見ると棘の下に体がある。

その棘も赤い体毛に気付いたようだが興奮する赤い体毛と違い体を丸くさせ、棘を周りに突き出した球体の様になる。

赤い体毛は口から炎を吐く。


だが以前見た、風迅鳥(ソニック)を焼き尽すような威力ではなかった。

炎に巻かれる棘。そんな炎の中から何かが飛び出した。

棘が赤い体毛目掛けて飛んでいく。

そして赤い体毛を巻き込んで爆発した。


幻惑蝶(イリュージョン)と混ぜられていたのはコイツか…」


カナンが作り出した混合生物(キマイラ)

その素材は目の前にいるコイツのようだ。

仮に名前を爆砕鼠(ブラスター)としておくことにした。

棘をどんどん赤い体毛へと飛ばしていく。


赤い体毛もそれを避けるが近くの岩が爆発四散、ダメージを負う。

赤い体毛はどんどん身に纏う炎が大きくなっていく。

それに追従するように口から吐き出される炎も大きく…


そして爆砕鼠(ブラスター)はその炎に巻かれ大爆発を引き起こした。


「まさかダメージ量で威力が上がっているのか?

いや…怒れば怒るほど火力が上がっているのか…」


赤い体毛にそれほどのダメージはないようだ。

しかし赤い体毛が纏う炎は最初とは比べものにならない。


厄介な相手だ。

もうこの先会うことがないことを祈りつつ溶炎猿(ボルテージ)と名前をつけておく。

気付けば玉のような汗をかきつつ目の前には高く高く塔が聳え立っていた。

読んでいただきありがとうございます。


良ければ評価の方頂ければ励みになります。


これからもこの作品を読んで頂けると幸いです。

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