集魂者(エンジェル)の攻防
放たれた風と岩は大槌と槍に阻まれた。
またどこからか黒い鎧が現れた。
「ねぇ今こいつどこから来た?」
「なるほどな…光魔法か…」
その言葉にアルバスとアーテルは光を放つ。
すると屋根の上に何かが現れる。
「やはり魔法のプロフェッショナルだな。
光の屈折を正されるとは、だが…」
現れたそれはまたすぐ消える。
これではジリ貧だろう。
「あいつ見たことあるよ。
姿を消してた。
でもあんな翼生えてなかった。」
「私の作り出した作品だよ。
硬い鱗をも貫く光魔法。
姿を消す光魔法。
それらを合わせた光魔法の混合生物。
混合生物Ⅷ型。」
「そしてこれが混合生物Ⅰ型。
適応者と人間の融合体だ。」
「お前…」
「…そういえば君は先程混合生物Ⅰ型を見て神なのか聞いていたね?
つまりは神を探しているのかな?」
「…」
アーテルは黙る。
しかしアルバスは焦る。
アーテルは不安定過ぎる。
「アーテル。まずはこいつを倒すぞ!」
「私を倒せば神の手掛かりをなくすぞ?
まぁ私を倒すことは出来ないがな?」
混合生物Ⅰ型が行く手を阻む。
「さてつい今しがただ。
統率狼の生息域に神を見た。
一人は見たこともないやつだったが、もう一人は知っている。
幸運の女神と呼ばれていたやつだ。」
「神は生きているのか!
そうか!それも二柱も!」
「さて私達はそろそろお暇しよう。」
積み上げられていた死体がゆっくりと地上を離れる。
空には奇妙な生物が。
混合生物Ⅳ型と呼ばれていたそれが。
混合生物Ⅰ型がアルバスとアーテルに迫る。
魔法でなら対処するのは容易だがここまで迫られれば避けることはできなかった。
混合生物Ⅰ型は槍や大槌を使わずただの体当たりで吹き飛ばした。
すると混合生物Ⅰ型もカナンもその姿を消す。
「待て!」
アルバスは光魔法を使おうとするが逆に光弾が飛来する。
「くそ!足止めか!」
姿を消していた奴が現れる。
「早くこいつを倒そう!
あいつに神の居場所を聞き出す!」
「…あぁあいつには聞かなきゃいけないことが多そうだ。」
アルバスとアーテルは目の前の混合生物Ⅷ型と対峙する。
放たれる光弾を回避する。
しかし回避したはずの光弾が曲がる。
「くそ!この攻撃面倒だ!」
アーテルが目の前に岩を出現させ防ぐ。
「だが光ならば…」
放たれる光弾に向けて手を向ける。
するもアルバスの目の前まできた光弾が向きを変え混合生物Ⅷ型に吸い込まれるように当たった。
「お前が屈折させるなら俺も屈折させるまでだ。」
混合生物Ⅷ型は怒りさらに光弾を放つ。
それをアルバスは跳ね返す。
しかし数が多く跳ね返したものが更に跳ね返される。
お互いに対処しきれない。
「俺だけに構ってていいのか?」
上空にはアーテルが鋼魔法で作った無数の武器が。
剣、槍、斧、刺突剣…
「バイバイ。」
混合生物Ⅷ型はアルバスに夢中で周りにあるそれに気付く事はなかった。
避ける事なく全身に無数の武器が突き刺さり混合生物Ⅷ型は死んだ。
「追う?」
「まずは住民を…
被害も大きい…」
「そうだね…」
そう言ってアルバスは未だ鎮火していない場所へ向かった。
「…神か…」
アーテルの囁きは誰にも届かない。
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