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追憶の旅  作者:
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集魂者(エンジェル)と適応者(ドラゴン)

運が良かったのは透明爬(インビジブル)明滅蝙(フラッシュ)混合生物(キマイラ)が空を飛ぶのが得意ではなかったことだろう。

戦闘中ならまだしも飛行しながら光魔法を常時使用するのも難しいようだ。


「見つけたぞ!やはりエルドバに向かっているようだな。」


カナンも少なからずダメージを受けているはずだ。

ならば混合生物(キマイラ)の魔法を使って密かに事を運ぶはずだ。


「さてどうしたものかな?

竜巻でも起こせば上に行けるが…

絶対気付かれるな…」


仕方なくカナン達がエルドバを飛び出すまで密かに身を潜めるのだった。



アルバスは悩んでいた。

400年たった一人で人間を守っていた。

だがここ最近新たな同胞も生まれた、アーテルだ。

戦力としては十分だが、それを超えるほどに襲撃も増えてきた。


俺とアーテルだけでは守るのもきつくなってきた。

それにアーテルは不安定過ぎる。

おそらく死の女神との従軍に行ったのが幼い子や戦う意思のない人が多かったからだろうか。


神祖が大軍を連れて進軍することが決まり皆が大きな戦争の準備をしていた。

そんな中境界の地にいくつかの穴、つまりは増殖者(エクスクレイム)の巣穴の出入り口が出来たのだ。

恐らくは偵察。

増殖者(エクスクレイム)も人間、そして神との戦いに向けて準備をしていたのだろう。


しかし大きな戦いの前ということで従軍経験のある者ではなく後衛の者。

つまりは戦闘経験のない者達が多く選ばれた。

危険の少ないの偵察。戦闘能力の高い女神、メディア。

しかし誰も帰ってこなかった。


きっとアーテルを構成する魂達は神を恨んで死んでいったのだろう。

初めてアーテルを見た時、何か危険な匂いが、どことなく危うさを感じたのだ。

だから咄嗟に嘘をついた。

神を全て殺したと。


だが400年前この世に生まれた時、その時同時に神が消えた。

目の前で炎の神と氷の神が適応者(ドラゴン)となっていった。

今思えば彼らは彼らなりに人間を守るため神になっていたのかもしれない。


300年も一人で考えてきた。

つまるところ100年かけてようやく魂が"アルバス"と言う自我を手に入れた。

神とは、そして集魂者(エンジェル)とは何か。

生まれた瞬間自身が集魂者(エンジェル)と呼ばれる存在だと理解できた。


それが何故なのか。最初は気にも止めなかった。

そんな中ある適応者(ドラゴン)がやってきた。

その適応者(ドラゴン)はこの世の真実とやらを伝えに来たと言う。


その話を聞いた時、自身がなぜ集魂者(エンジェル)なのかを理解した。

そして同時に希望をなくした。

だからせめて人間たちだけは真実を知ることなく生きてほしい。

きっと神もそうだったに違いない。

そうやって嘘を重ねなければこの世界で生きていくこともままならない。


「久しぶりだな…」


目の前に漆黒で塗りつぶしたかのような適応者(ドラゴン)が降り立つ。


「お前は…」


「今日はお前と取引をしにきた。」


適応者(ドラゴン)はそう言って近付いてきた。


「取引だと?一体何を求め何を差し出すと言うんだ?」


「何。簡単な話だ。」


すると目の前の適応者(ドラゴン)が姿を消した。

更に人間たちの住む居住区から悲鳴が聞こえた。


アルバスは立ち上がり居住区に向けて飛び立つ。

そんな中遠くのような耳元のような、どこから聞こえたのかはっきりしないが声が聞こえた。


「少しばかり人間をもらうぞ。

何一度この世の真実を教えてやったろう。

お前ではたどり着けなかった真実をな。

ならば人間の何人か安いものだろう?」

読んでいただきありがとうございます。


良ければ評価の方頂ければ励みになります。


これからもこの作品を読んで頂けると幸いです。

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