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追憶の旅  作者:
111/135

慟哭の森

「貴様ー!」


ソアラが叫び低空飛行でカナン目掛けて飛ぶ。

その動きにシードとラキも合わせる。

しかしシードの前には槍を持つ混合生物(キマイラ)Ⅰ型。

かつての水爆龍が。

ラキの前にはかつて金剛龍と呼ばれていた者が立ち塞がる。


シードは放たれる槍の一撃を避け崩拳を叩き込む。

しかし手応えがない。

まるで水そのものを殴っているかのようだ。


ラキはソアラを援護しつつ混合生物(キマイラ)Ⅰ型と対峙する。

プラチナはリーナを背に乗せ辺りを警戒する。

姿を消し光を放つ混合生物(キマイラ)がまだ居るのだから。


「…幸運の女神か…

何が幸運なものか…」


ラキの一歩がどんどん重くなっていく。

軽快な足音から地を揺らすような足音へ。

混合生物(キマイラ)Ⅰ型の目の前に来た時には岩のような鎧に身を包んでいた。

岩のような棍棒が振られそこに大槌が振られる。

鈍い音が辺りに響いた。


カナンへと高速で迫るソアラ。

カナンはあらゆる属性の魔法をソアラへと放つ。

しかし幸運なことにソアラへ着弾することはなかった。

ソアラはカナンを掴みそのまま森に突撃する。


木々をなぎ倒しながらもソアラは止まらない。

大木を見つけカナンを投げつける。

カナンは叩きつけられながらも火属性魔法を放つ。

至近距離で放たれたそれに反応できず着弾した。


カナンはそれを幸いと思い反撃にうって出る。

立ち上がろうとするが運悪く大木に巻き付いていた太い蔓がカナンの腕に巻きついていた。

そこに氷を纏った尾の一撃が炸裂する。


「貴様だけは許さん!」


ソアラの怒りに満ちた攻撃にカナンは為す術がなかった。

しかしソアラに周囲を警戒する余裕はなかった。

どこからともなく現れた混合生物(キマイラ)

その混合生物(キマイラ)から放たれた閃光に目が眩む。


「ぐっ!」


そしてカナンの気配が消えた。


「貴様!逃げる気か!」


しかし答えは帰ってこない。

森にソアラの悲しみの叫びが響き渡る。



シードとラキは混合生物(キマイラ)Ⅰ型と互角の戦いを繰り広げていた。


「こいつ!凄まじい力だ!」


岩の鎧を纏うラキですら大槌の一撃に怯む。

だがそれは相手も同じでラキの岩の棍棒の一撃で怯んでいた。

シードも紫苑と紅蓮で槍を捌き、鎧の隙間に双剣を差し込む。

少しずつではあるが混合生物(キマイラ)Ⅰ型の動きが鈍くなっていく気がした。

だがそれでも止まらない。


視線を外せば森へと消えたカナンがフロウの死体を担いでいたところだった。


「くそ!ソアラもやられたのか!?」


「はぁっ!」


混合生物(キマイラ)Ⅰ型を吹き飛ばしリーナに駆け寄る。

ラキは混合生物(キマイラ)Ⅰ型2体を相手に足止めをする。

カナンはシードを睨みつける。


「今は超越者(アルティメイト)は諦めよう。

だが必ずその技術を物にしよう。」


明らかな宣戦布告。

逃がす訳にいかないがこのまま戦い続ければいつかリーナを奪われる。

そんな漠然とした予感がした。

ラキも足止めすることが出来ず吹き飛ばされる。


「ではまた。」


そんな軽い口調のカナン。

そんな様子が頭に来る。

カナンと混合生物(キマイラ)達の姿が消える。

少しずつ気配が遠ざかっていくような気がした。


透明爬(インビジブル)の透明化は光魔法だったようだな…

明滅蝙(フラッシュ)の光魔法と合わさって他のものも透明化出来るようだな…」


ラキは冷静に解説する。

岩の鎧が溶けて消え冷たい表情のラキが現れる。


「シード様。まずは怪我を…」


そう言ってリーナが近付いてくる。


「まずは、ラキを頼む…」


ラキの拳は固く強く握られ血が滴り落ちていた。


プラチナが吠える。

それに呼応するかのように統率狼(コマンダー)達が吠える。

森のあちこちから聞こえる遠吠えは憤怒の感情か、それとも慟哭か。

それに紛れて適応者(ドラゴン)の悲痛な叫びもこだまする。




読んでいただきありがとうございます。


良ければ評価の方頂ければ励みになります。


これからもこの作品を読んで頂けると幸いです。

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