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追憶の旅  作者:
11/135

アルタの平原

「この丘を越えたらアルタの平原です!」


リーナは行く先を指差し駆け出した。

シードもそれに合わせ駆け出す。

この丘の向こうに自分が探す物が、自分が誰なのかが分かる。

そう思い足取りは軽くなった。


だから丘を超えてリーナは声を失った。

あるのはどこまでも続く平原とその中央にそびえ立つ古塔。

誰もいなかった。

本当にここで戦争をするのであれば人がいるはずだろう。


「誰もいない‥」


シードはポツリともらす。


「そんなはずは‥」そう言ってリーナは歩きだす。


シードはふと思い出す。

愛し子と言う言葉を。

リアナがリーナを子供のように愛しているなら、戦争が起きるような場所に愛する者を近付けたくはないだろう。


だがソルは言った。

アルタの平原を目指せと。

誰もいないこの地を。


「リーナ、あの建物は‥」


「わかりません‥この平原にあのような建物は‥

誰もいないのも気掛かりですが、今はあの建物に向かうしかないかと‥

何か手懸かりがあるかもしれません。」


平原とミスマッチな古い建物。

遠くからでも分かるがそれなりの大きさがあるようだ。


「シード様、あの塔はこの一帯を見渡すことが出来そうです。あの塔の中にリアナ様がいる可能性も‥」


「あぁ急ごう。今日で2日目。

戦争は明日だ‥」


2人はまた歩きだす。


近付く程に塔の大きさに目が眩む。

なにもない平原の真ん中に、まるで地面に突き刺さっているような印象を受けた。

高さは100メートルはあるだろうか?

見張り櫓と言い張るにはあまりに立派で高過ぎる。

何より入り口が見当たらない。


「どうやって中に入ったものか‥」


そう思いさらに近付く。

すると繋ぎ目もない壁がゆっくりと開いていく。


「入ってこいって事かな?」


「入りましょう。リアナ様がお待ちのはずです。」


2人は建物の中へと吸い込まれるように踏み出した。


外から見ていた建物の大きさそれと変わりない大きさの空間が広がっているようだ。

天井や壁、床は僅かに発光していてる。

螺旋階段が塔の上へと伸びている。

それ以外は何も‥誰も居ないようだ。


「誰も居ないな‥」


「そんな‥リアナ様!

私です!リーナです!」


リーナは誰も居ない空間に呼び掛ける。

だがこの広い空間に声が反響するだけだ‥


「シード様。ここよりさらに東に向かえば神都エルドバです。

今はそこに向かうしかないかと‥」


「いや‥そうもいかないらしい‥」


後ろを振り返ると入り口がなかった。

そして‥


「いまリアナと言ったか?

あの臆病者がどこに行ったか知っているのか?」


空間の中心に座っている人物が居た。

いつからそこに居たのか。

もしかしたらずっと居たのか。

少しずつこちらに近付いてくる。


その姿はまるで岩だった。

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