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追憶の旅  作者:
103/135

鎧の下

「コイツとてつもないパワーだ。

気をつけてくれ。」


シードの言葉にプラチナは頷き、黒い鎧の背後へと回る。

シードと挟み撃ちにするかのように。

二体一の状況ならば冷静に対処していけば勝てない相手ではなさそうだ。


黒い鎧はシードとプラチナを交互に見る。

そしてよりダメージが大きいプラチナに狙いを定めたようだ。

プラチナへと迫る、その背後を更にシードが狙う。


黒い鎧はプラチナを両手の爪で引き裂くために飛びかかる。

プラチナは十分に引きつけてから避ける。

急に目の前から相手が消えたように見えたのかもしれない。

その隙をシードが狼王の特大剣で背中を斬りつけた。


「ギィヤァァァァ!」


背中の鎧をも切り裂き血が吹き出す。

しかしそれでも致命傷とはならないようだ。

すぐさま飛び退く。


シードとプラチナを視界に捉え唸りをあげる。

今の攻撃で更に頭に血が上ったのか。

最初は人の様な戦い方だった。


二本足で立ち剣を振るう。

しかし今では獣のように唸りを上げ、両手も爪を立て地面を有らん限りの力で掴んでいる。

口も大きく裂け鋭利な牙が顔を覗かせる。


そこにリーナを隠すようにフロウがやってきた。


「最後はソイツだけだな。

会話が出来るとは思えないが何者か聞く必要もあるだろう。」


「イクス…フロウ…」


黒い鎧ははっきりとそう言った。

姿勢はそのままだが先程まで感じていた殺気が消え去る。

先程シードが切り裂いた背中の鎧が吹き飛び中から一対の翼が現れる。


黒い鎧は口を大きく開ける。

翼を広げ、両手両足は大地に。

大地に広げたその体はまるで大地に根を張る大樹のようだ。


突如穏やかだったこの場所に突風が吹き始める。

先程まで濃霧がこの場所に留まっていたのも、濃霧を吹き飛ばすような風が吹いていなかった為だった。

だが今はシード達の背後から黒い鎧に向けて突風が吹きすさぶ。


よく見ると突風は黒い鎧を中心に集まるように吹いているようだ。

シード達のいる場所と黒い鎧の後ろでは茂みの動きが逆方向だ。


「まさか…いや…そんなはずは…」


フロウは名前を呼ばれて動揺しているようだったが、突風が吹き始めた瞬間更に様子が変わった。

体が赤く赤く燃え盛るような赤へと発光していく。

黒い鎧へ大きく開いた口を向ける。


黒い鎧の体の周りにはとてつもない突風が渦巻き。

フロウの顔の前には赤く小さく光る火の玉が現れた。

シードはその光景を見てリーナをプラチナの背に乗せフロウと黒い鎧から離れる。


走り出した瞬間。


「プロミネンスバースト!」


フロウからは光の玉が、黒い鎧からは圧縮した空気の塊が発射された。


プラチナはリーナを背に隠し衝撃に耐える。

光の玉と空気の塊がぶつかった瞬間。

あたりは目映い光と圧倒的熱量が放出される。

それは大爆発を起こしシード達を襲う。


だがすでにそれを予見していたシードはその両手で守人の大斧を構えている。


「タイダルウェーブ!」


現れた巨大な津波が爆発の余波を打ち消す。

津波が消えるとそこにはボロボロのフロウと黒い鎧の姿が。

お互いにかなりのダメージとなったようだ。


黒い鎧はそれを不利と見たようだ。

翼を更に広げると一気に飛び立つ。

ボロボロの体でもかなりの速度を出せるようであっという間に雲の彼方に消えてしまった。


皆満身創痍で追いかけることは叶わない。


「すぐ治します!」


そう言って慌てるリーナだった。


読んでいただきありがとうございます。


良ければ評価の方頂ければ励みになります。


これからもこの作品を読んで頂けると幸いです。

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