風と風
「さてそろそろ行こうか。
大体ゴークの湖だろう。」
「サマラか…」
そんな会話をラキとソアラはしていた。
特にラキは苦い顔だ。
「お前そーいえばサマラとは仲が悪かったな。」
「仲が悪いんじゃない。
あいつが美しいもの以外に興味がないんだ。
てかあいつの美しいものとやらの価値観も訳がわからない。」
そう言ってラキはソアラの背に飛び乗る。
それを確認するとソアラは入ってきたときと同じように滝を氷のブレスで凍結しようとする。
「乱暴過ぎる!
私がやる。」
ラキとソアラを風が包む。
そのまま滝に向かう。
滝はラキとソアラを避けるように広がっていく。
ソアラは大空へと飛び立った。
しばらく飛ぶとゴークの湖が見えてきた。
さらには雲の間を飛ぶ影も見えた。
「適応者?」
「まさか…見間違いではないか?
同胞はほとんど隠れ過ごしているはずだがな…」
また雲の間からその姿を見つけることができた。
黒い鱗の適応者だった。
「いややはり適応者だ。
黒い鱗の…」
ラキがそう言うとソアラがその場で止まる。
「黒い鱗だと?
バカな!」
ラキが指差す方向雲の切れ間から見えた黒い影。
こちらを振り向いていた。
「…すぐフロウと合流しよう。
奴が何かする前にな…」
そう言って湖へ向かって一直線に向かう。
だが後ろから迫る影。
「クソ。ここで風迅鳥か?
私では振り切れないぞ?」
どんどん影は迫ってくる。
その影はどんどん近付く、それにラキは驚愕した。
「風迅鳥より早いぞ。あいつ。」
「そんな奴まで現れたのか?」
「隕石鳥なんて鳥も居たがあいつはもっともっと遅い。
これは…」
影がどんどん間近に迫る。
「冗談だろ…?
何があったらそうなるんだ?」
「ヒヒーーン!!」
神速馬がそこには居た。
だがその神速馬は空中を走っていた。
ただ走っているだけならまだ良かったかもしれない。
「なんで神速馬に風迅鳥の翼が生えてるんだ!」
翼を羽ばたかせソアラに並んだ。
神速馬よりも風迅鳥よりも強力な暴風にソアラが吹き飛びラキは空へ投げ出される。
体勢を立て直したソアラがラキをキャッチする。
ラキはガントレットを構え竜巻を発生させる。
だがそいつはそれを小さな竜巻で相殺する。
ソアラの氷のブレスも風の防壁によってあらぬ方向へと曲げられた。
「風迅鳥と神速馬のいいところ取りか?
強すぎないか?」
「ラキ。こいつ本来は翼なんてないんだな?
見るからに翼が風迅鳥の物だ。」
「神速馬だけでも地上で私が振り切れないほどには早いぞ。
そこに風迅鳥の翼。
風魔法の威力も桁違いに上がっているな…
さてどうしたものか…」
「決まっている。私たちに喧嘩売ったことを後悔させてやる。
まぁ後悔することなく殺してやるがな。」
「やっぱりお前は苦手だ。
乱暴すぎる!」
ラキは目の前の敵を睨み吐き捨てる。
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