濃霧と爆発
シードと黒い鎧が戦っている最中。
プラチナは濃霧をさまよっていた。
幻惑蝶たちはおそらく濃霧を利用して潜んでいる。
だから静かに足音を立てず匂いを探る。
おそらくこの場に残った幻惑蝶は8匹。
脅威なのはこの濃霧だけでなくあの爆発。
それになぜか幻覚を見せる鱗粉をばらまかない。
「…」
黒い鎧が居るから同士討ちを避けるためか?
匂いが強くなる。
幻惑蝶の匂い。
近い。
濃霧の中だがおそらく2メートル程前方。
飛び上がり鋼魔法を発動する。
鋭く尖る鋼を下に落下する。
サクッと幻惑蝶を切り裂く音。
そして静かに立ち上がり匂いを探る。
今度は二匹。
鋼魔法で体は刃のようだ。
静かにそして素早く走る。
二匹の幻惑蝶が飛び立つ前に切り裂く。
これで三匹。
しかし気付かれたようだ。
周りには羽音が。
そして濃霧を切り裂き棘が飛んでくる。
濃霧を吹き飛ばすほどの爆風。
だが鋼魔法で硬質化した体を傷つけることはない。
しかし何度も耐えられる物でもないのは確かだった。
爆風で吹き飛んだ濃霧の中に幻惑蝶を見つけ飛び上がる。
すれ違いざま羽を切り裂く。
幻惑蝶は暴れながら地面に落ちていく。
それをプラチナが追う。
そして飛びかかる。
その瞬間幻惑蝶が今までの比でないほどの大爆発が起きた。
棘一つであれだけの爆発なら本体のもつ爆発のパワーはそれの比ではないだろう。
その大爆発を至近距離で受けることになったプラチナ。
鋭い刃のような体毛は爆発によってひび割れる。
爆発で吹き飛んだ濃霧から幻惑蝶達が飛び出す。
プラチナ目掛けて飛んでくる爆発する棘を何とか避ける。
先ほどよりも小さな爆発だがプラチナの体を傷つけていく。
だがそれでもプラチナは倒れない。
二匹の幻惑蝶がプラチナ目掛けて突撃する。
プラチナはさらに鋼魔法を発動する。
幻惑蝶は大爆発を起こす。
その爆炎をプラチナはただただ耐える。
足がふらつく。
後二匹。
幻惑蝶は相変わらず棘を射出する。
起こる爆発に耐えきれず走って逃げる。
1度体勢を立て直す。幻惑蝶達は追い掛けて棘を放つ。
湖の畔を走れば湖に落ちた棘が爆発し大きな水しぶきを上げた。
その水しぶきで姿を隠すように幻惑蝶へ近付く。
飛び上がり一匹目の幻惑蝶を踏み台にして更に上空で飛んでいる幻惑蝶を切り裂く。
そして上空から最後の一匹を狙う。
最後の一匹はおそらく自爆をするようだ。
空を落ちていくだけのプラチナは避けることはできない。
さらにさらに鋼魔法を重ねがけする。
鉄塊のようになったプラチナを襲う爆炎。
爆発も収まる頃幻惑蝶の霧魔法も消滅した。
ボロボロのプラチナ。
だがシードが襲われているのを見つけ、その上に跨る黒い鎧に体当たりをする。
吹き飛ばされる黒い鎧。
「助かった。」
ボロボロのシードとプラチナ。
その様子を雲の隙間から見る存在が。
「やはり…神か。
複数の神器は厄介だな…
あの統率狼なかなかの耐久だ。
それになぜ統率狼が?群れからはぐれたか?
通常の統率狼より強い…群れの長か?
とりあえず統率狼も…」
雲の間から見下ろすそいつは統率狼の支配領域に向かって飛ぶ。
黒い適応者が動き出した。
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