右手には
岩山の中でシードは真っ赤な血を浴びて立っていた。
地面で血を流しながらそれは絶命していた。
首と体が切り離され、頭は遠くに転がっていた。
「シード様‥」
「リーナ離れるな‥」
シードの右手に握られた長剣は、増殖者を一刀で切り裂いた。
長剣はどこから現れたのか。
その長剣は炎を上げながら現れた。
どこからともなくシードの右手に。
「陽光の長剣‥」
「あぁソル‥偽物なんて疑ってすまない。
これが贈り物になるのかな?」
それを見た単眼の増殖者は、さらに叫び声を上げる。
岩山のあちこちから増殖者が出てくる。
単眼を止めなければ回りの増殖者の増援は止まらないだろう。
だが
「この長剣が教えてくれる。
この長剣の振るいかたを。
ソルの闘いかたを。」
増殖者は飛びかかるが、飛び上がった瞬間両断され、炎が上がる。
長剣から炎が飛ばされ離れた増殖者はそのまま燃え尽きる。
単眼の増殖者の瞳が炎を上げるのに時間は掛からなかった。
「リーナ!大丈夫か?」
「はい。私は大丈夫です。
私よりシード様を‥」
戦いが終われば忘れていた背中の痛みに顔をしかめた。
リーナがシードの背中に手を当て回復魔法をかける。
そして傷痕は瞬時に回復した。
「すごい回復力です‥」
リーナはすぐに回復したことに驚愕する。
そしてそれ以上にシードの持つ剣に。
「陽光の長剣‥なぜシード様が‥それにどこから‥」
「分からない。気付いたら右手に‥
だがこれがソルからの贈り物らしい。」
「贈り物‥ですか?ですが‥」
話してるうちに長剣は光の粒子になって消えていった。
「先を急ごう。」
シードはリーナの手を取り立ち上がらせる。
シードの中にあった迷いが消えた、リーナにはそう思えた。
まるでソル様を見ているようだ‥
陽光の神、太陽の戦士。
そんなソル様の温かさを、力強さを感じさせた。
シードは胸に手を当てる。
そこに自分の記憶がある気がして。
その記憶の中にソルからの贈り物もある気がして。
シードは1歩を踏み出す。
自分の存在を確かめるために。